「サブスタンスP」の版間の差分

編集の要約なし
80行目: 80行目:


== ファミリー ==
== ファミリー ==
 サブスタンスPは[[タキキニン]]ファミリーに属している。同じファミリーには、[[ニューロキニンA]]([[neurokinin A]]; [[NKA]])、[[ニューロキニンB]]([[neurokinin B]]; [[NKB]])、[[ヘモキニン-1]]([[hemokinin-1]]; [[HK-1]])が含まれ、そのC末端に共通のアミノ酸配列、-Phe-X-Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub>を持っている。サブスタンスP、ニューロキニンA、ニューロキニンBは[[哺乳類]]でアミノ酸全配列が共通であるが、HK-1は[[ヒト]]と[[マウス]]/ラット間で配列に違いがある('''表1''')。ヒトでは、[[Tac1]]遺伝子から選択的スプライシングによって、α, β, γ, δTac1 [[mRNA]][[スプライスバリアント]]が生成され、それぞれのmRNAからサブスタンスPが[[翻訳]]される。ニューロキニンAもTac1遺伝子に由来するが、β, γTac1 mRNAから翻訳される。ニューロキニンBはTac3遺伝子、HK-1、エンドキニンAおよびBはTac4遺伝子にコードされている<ref name=ref3><pubmed>24382888</pubmed></ref>。
 サブスタンスPは[[タキキニン]]ファミリーに属している。同じファミリーには、[[ニューロキニンA]]([[neurokinin A]]; [[NKA]])、[[ニューロキニンB]]([[neurokinin B]]; [[NKB]])、[[ヘモキニン-1]]([[hemokinin-1]]; [[HK-1]])が含まれ、そのC末端に共通のアミノ酸配列、-Phe-X-Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub>を持っている。サブスタンスP、ニューロキニンA、ニューロキニンBは[[哺乳類]]でアミノ酸全配列が共通であるが、ヘモキニン-1は[[ヒト]]と[[マウス]]/ラット間で配列に違いがある('''表1''')。ヒトでは、[[Tac1]]遺伝子から選択的スプライシングによって、α, β, γ, δTac1 [[mRNA]][[スプライスバリアント]]が生成され、それぞれのmRNAからサブスタンスPが[[翻訳]]される。ニューロキニンAもTac1遺伝子に由来するが、β, γTac1 mRNAから翻訳される。ニューロキニンBはTac3遺伝子、HK-1、エンドキニンAおよびB(エンドキニンは初出ですので、一言説明をお願いいたします)はTac4遺伝子にコードされている<ref name=ref3><pubmed>24382888</pubmed></ref>。
[[ファイル:Tachikinin.jpg|サムネイル|右|350px|'''図. ヒトタキキニン前駆体の構造'''<br>SP: サブスタンスP、NPK: ニューロペプチドK、NKA: ニューロキニンA、NP&gamma;: ニューロペプチド&gamma;、NKB: ニューロキニンB、EKA: エンドキニンA、
[[ファイル:Tachikinin.jpg|サムネイル|右|350px|'''図. ヒトタキキニン前駆体の構造'''<br>SP: サブスタンスP、NPK: ニューロペプチドK、NKA: ニューロキニンA、NP&gamma;: ニューロペプチド&gamma;、NKB: ニューロキニンB、EKA: エンドキニンA、
EKB: エンドキニンB、EKC: エンドキニンC、EKD: エンドキニンD、HK−1: ヘモキニン-1]]
EKB: エンドキニンB、EKC: エンドキニンC、EKD: エンドキニンD、HK−1: ヘモキニン-1]]
99行目: 99行目:
| ニューロキニンB ||align="right" |Asp-Met-His-Asp-Phe-<span style="color:#FF0000">Phe</span>-Val-<span style="color:#FF0000">Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub></span>||Tac3||α、βTac3
| ニューロキニンB ||align="right" |Asp-Met-His-Asp-Phe-<span style="color:#FF0000">Phe</span>-Val-<span style="color:#FF0000">Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub></span>||Tac3||α、βTac3
|-
|-
| マウスヘモキニン-1||align="right" |Arg-Ser-Arg-Thr-Arg-Gln-<span style="color:#FF0000">Phe</span>-Tyr-<span style="color:#FF0000">Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub></span> ||rowspan=4|Tac4||Tac4
| マウス・ヘモキニン-1||align="right" |Arg-Ser-Arg-Thr-Arg-Gln-<span style="color:#FF0000">Phe</span>-Tyr-<span style="color:#FF0000">Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub></span> ||rowspan=4|Tac4||Tac4
|-
|-
| ヒトヘモキニン-1 ||align="right" |Thr-Gly-Lys-Ala-Ser-Gln-<span style="color:#FF0000">Phe</span>-Phe- <span style="color:#FF0000">Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub></span> ||αTac4
| ヒト・ヘモキニン-1 ||align="right" |Thr-Gly-Lys-Ala-Ser-Gln-<span style="color:#FF0000">Phe</span>-Phe- <span style="color:#FF0000">Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub></span> ||αTac4
|-
|-
| ヒトエンドキニンA||align="right" rowspan=2 |–Gly-Lys-Ala-Ser-Gln-<span style="color:#FF0000">Phe</span>-Phe-<span style="color:#FF0000">Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub></span>||αTac4 (Endokinin A)
| ヒト・エンドキニンA||align="right" rowspan=2 |–Gly-Lys-Ala-Ser-Gln-<span style="color:#FF0000">Phe</span>-Phe-<span style="color:#FF0000">Gly-Leu-Met-NH<sub>2</sub></span>||αTac4  
|-
|-
| ヒトエンドキニンB||β、γ、δTac4 (Endokinin B)
| ヒト・エンドキニンB||β、γ、δTac4
|}
|}


注)ヒトエンドキニンAとBはそれぞれ全長47、41アミノ酸の内、C末端の10アミノ酸のみ示している。赤字は共通配列。
注)ヒト・エンドキニンAとBはそれぞれ全長47、41アミノ酸の内、C末端の10アミノ酸のみ示している。赤字は共通配列。


== 受容体 ==
== 受容体 ==