「シナプシン」の版間の差分

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=== 連続刺激の際のシナプス抑圧の制限 ===
=== 連続刺激の際のシナプス抑圧の制限 ===


 シナプシンI/II DKOやシナプシンI/II/III TKOの海馬興奮性シナプスでは、通常のシナプス伝達には異常が認められなかったが、連続刺激を与えた際に観察されるシナプス抑圧が、野生型の場合よりも遙かに速く起こり、かつ増強していた(Hilfiker, 1999; Gitler, 2009; Cesca, 2010)。これは、連続刺激の際に放出可能なシナプス小胞の補充が追いつかず、その数が不足するために起こるものと考えられる。従って、シナプシンは、通常のシナプス伝達には必ずしも必要ではないが、形質膜から離れた予備の小胞プールを維持することにより、連続刺激の際に放出可能なシナプス小胞を動員し、シナプス抑圧を制限する上で、重要な役割を果たすと考えられる。
 シナプシンI/II DKOやシナプシンI/II/III TKOの海馬興奮性シナプスでは、通常のシナプス伝達には異常が認められなかったが、連続刺激を与えた際に観察されるシナプス抑圧が、野生型の場合よりも遙かに速く起こり、かつ増強していた<ref name=ref4 />, <ref name=ref1 />, <ref name=ref2 />。これは、連続刺激の際に放出可能なシナプス小胞の補充が追いつかず、その数が不足するために起こるものと考えられる。従って、シナプシンは、通常のシナプス伝達には必ずしも必要ではないが、形質膜から離れた予備の小胞プールを維持することにより、連続刺激の際に放出可能なシナプス小胞を動員し、シナプス抑圧を制限する上で、重要な役割を果たすと考えられる。


=== リン酸化によるシナプス小胞の動態の制御 ===
=== リン酸化によるシナプス小胞の動態の制御 ===
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