「ニカストリン」の版間の差分

編集の要約なし
5行目: 5行目:
{{box|text= ニカストリンは、γセクレターゼ複合体の構成タンパク質である。γセクレターゼは多くのタイプⅠ膜貫通型タンパク質を基質とする膜内アスパラギン酸プロテアーゼであり、アルツハイマー病の原因ペプチドであるアミロイドβ(amyloid-β; Aβ)の産生やNotchシグナル伝達過程において働くことが知られる。これに対応し、アルツハイマー病をはじめ、癌や皮膚疾患との関連を示す知見が蓄積されている。γセクレターゼ複合体は、ニカストリンに加え、プレセニリン(Presenilin-1 & Presenilin-2)、APH1 (anterior pharynx defective-1)、PEN2 (presenilin enhancer-2)によって構成される。}}
{{box|text= ニカストリンは、γセクレターゼ複合体の構成タンパク質である。γセクレターゼは多くのタイプⅠ膜貫通型タンパク質を基質とする膜内アスパラギン酸プロテアーゼであり、アルツハイマー病の原因ペプチドであるアミロイドβ(amyloid-β; Aβ)の産生やNotchシグナル伝達過程において働くことが知られる。これに対応し、アルツハイマー病をはじめ、癌や皮膚疾患との関連を示す知見が蓄積されている。γセクレターゼ複合体は、ニカストリンに加え、プレセニリン(Presenilin-1 & Presenilin-2)、APH1 (anterior pharynx defective-1)、PEN2 (presenilin enhancer-2)によって構成される。}}


== はじめに  ==
== はじめに==
 ニカストリンは、家族性アルツハイマー病原因遺伝子プレセニリンの機能解析のなかで、2000年、プレセニリン1結合タンパク質として同定された<ref name=Yu2000><pubmed>10993067</pubmed></ref> 。その報告の直前、プレセニリンがγセクレターゼ切断に関与することが報告され<ref name=Wolfe1999><pubmed>10206644</pubmed></ref> 、それと合わせて、γセクレターゼの分子実体がプレセニリン複合体であることが明らかになった。この経緯から、ニカストリンは当初よりプレセニリン機能を補佐するとの位置付けで認識され、その命名もプレセニリン同定のもとになったイタリアの大家系がNicastro村落出身であったことに因んでいる。
 ニカストリンは、家族性アルツハイマー病原因遺伝子プレセニリンの機能解析のなかで、2000年、プレセニリン1結合タンパク質として同定された<ref name=Yu2000><pubmed>10993067</pubmed></ref> 。その報告の直前、プレセニリンがγセクレターゼ切断に関与することが報告され<ref name=Wolfe1999><pubmed>10206644</pubmed></ref> 、それと合わせて、γセクレターゼの分子実体がプレセニリン複合体であることが明らかになった。この経緯から、ニカストリンは当初よりプレセニリン機能を補佐するとの位置付けで認識され、その命名もプレセニリン同定のもとになったイタリアの大家系がNicastro村落出身であったことに因んでいる。
[[file:Nishimura_nicastrin_Fig1.tif|thumb|'''図1. ニカストリンの構造'''<br>●:糖鎖付加が予想されるAsn残基、A: シグナル配列、B: DAPドメイン、C: 膜貫通ドメイン.]]
[[file:Nishimura_nicastrin_Fig1.png|thumb|'''図1. ニカストリンの構造'''<br>●:糖鎖付加が予想されるAsn残基、A: シグナル配列、B: DAPドメイン、C: 膜貫通ドメイン.]]


== 構造 ==
== 構造 ==