「ホスファチジルイノシトール」の版間の差分

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=== SACドメインホスファターゼ  ===
=== SACドメインホスファターゼ  ===


 SAC1, SAC2, Fig4/SAC3の3種類のホスファターゼが存在する。SAC1はPI(3)P, PI(4)P, PI(5)P, PI(3,5)P<sub>2</sub>いずれをも基質とすることができるが、細胞内ではこの中でPI(4)Pの量が圧倒的に多いことから実質的にPI(4)Pホスファターゼである。ヒトのSAC1は被覆小胞の構成分子であるCOP1, COP2と結合して小胞体とゴルジ体を行き来しており、状況に応じてこれらの場所におけるPI(4)P量を調節している。増殖因子刺激が入ることによって分泌が増えている時、SAC1はCOP1と結合して小胞体に移行し、ゴルジ体のPI(4)P量を高くキープし分泌作用を促進させる。一方、quiescentな状態ではゴルジ体のPI(4)Pは必要ないため、SAC1はゴルジ体に移行してPI(4)Pの脱リン酸化を行う。一方、SAC3/FIG4は酵母で[[フェロモン]]に応答して発現が制御される遺伝子として単離されたが、哺乳動物では筋肉の萎縮などを伴うCharcot-Marie-tooth病の患者で変異が認められる遺伝子であることも明らかとなっている。  
 [[wikipedia:SACM1L|SAC1]], SAC2, Fig4/SAC3の3種類のホスファターゼが存在する。SAC1はPI(3)P, PI(4)P, PI(5)P, PI(3,5)P<sub>2</sub>いずれをも基質とすることができるが、細胞内ではこの中でPI(4)Pの量が圧倒的に多いことから実質的にPI(4)Pホスファターゼである。ヒトのSAC1は被覆小胞の構成分子であるCOP1, COP2と結合して小胞体とゴルジ体を行き来しており、状況に応じてこれらの場所におけるPI(4)P量を調節している。増殖因子刺激が入ることによって分泌が増えている時、SAC1はCOP1と結合して小胞体に移行し、ゴルジ体のPI(4)P量を高くキープし分泌作用を促進させる。一方、quiescentな状態ではゴルジ体のPI(4)Pは必要ないため、SAC1はゴルジ体に移行してPI(4)Pの脱リン酸化を行う。一方、SAC3/FIG4は酵母で[[フェロモン]]に応答して発現が制御される遺伝子として単離されたが、哺乳動物では筋肉の萎縮などを伴うCharcot-Marie-tooth病の患者で変異が認められる遺伝子であることも明らかとなっている。


=== PI(3,4)P<sub>2</sub> 4-ホスファターゼ (INPP4A、INPP4B)  ===
=== PI(3,4)P<sub>2</sub> 4-ホスファターゼ (INPP4A、INPP4B)  ===