「ランヴィエ絞輪」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/hidekazutsutsui/ 筒井 秀和]、[http://researchmap.jp/yasushiokamura 岡村 康司]</font><br>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/hidekazutsutsui/ 筒井 秀和]、[http://researchmap.jp/yasushiokamura 岡村 康司]</font><br>
''大阪大学 医学系研究科''<br>
''大阪大学 医学系研究科''<br>
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2013年11月2日 原稿完成日:2013年11月XX日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年11月2日 原稿完成日:2013年11月18日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
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==ランヴィエ絞輪とは==
==ランヴィエ絞輪とは==
 有髄神経軸索はミエリン鞘(髄鞘)で囲まれる。そこに、1-2 mmおきに周期的に存在する、髄鞘で囲まれていない1 μm程度の間隙のことをランヴィエの絞輪という。[[w:ランヴィエ|ランヴィエ]](L.A.Ranvier)は、フランスの組織学者で、この構造を最初に記載した。この部位を興奮が跳躍伝導することを、日本の生理学者[[wj:田崎一二|田崎一二]]が[[wj:カエル|カエル]]の[[末梢神経]]で世界にさきがけて明らかにした。
 有髄神経軸索はミエリン鞘(髄鞘)で囲まれる。そこに、1-2 mmおきに周期的に存在する、髄鞘で囲まれていない1 μm程度の間隙のことをランヴィエの絞輪という。[[w:Louis-Antoine Ranvier|ランヴィエ]]([[w:Louis-Antoine Ranvier|L.A.Ranvier]])は、フランスの組織学者で、この構造を最初に記載した。この部位を興奮が跳躍伝導することを、日本の生理学者[[wj:田崎一二|田崎一二]]が[[wj:カエル|カエル]]の[[末梢神経]]で世界にさきがけて明らかにした。


==機能==
==機能==
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 またランヴィエの絞輪部の軸索には[[intramembranous particles]] (IMP)と呼ばれる顆粒構造が存在し、これは[[ナトリウムチャネル|電位依存性Na<sup>+</sup>チャネル]]を含んだものだと考えられている。
 またランヴィエの絞輪部の軸索には[[intramembranous particles]] (IMP)と呼ばれる顆粒構造が存在し、これは[[ナトリウムチャネル|電位依存性Na<sup>+</sup>チャネル]]を含んだものだと考えられている。


 ランヴィエの絞輪の両端には[[パラノード]](paranode)とよばれる構造が隣接する。パラノード部では髄鞘が肥大し細胞質成分が観察され、paranodal loopと呼ばれる構造を示す。パラノード部では、40個以上のparanodal loopがらせん状に軸索と[[接着分子]]を介して密着し、電気的な絶縁と、分子の拡散障壁部を形成している。この構造は、ボルト(=軸索)とナット(=paranodal loop)にもたとえられる。
 ランヴィエの絞輪の両端には[[パラノード]]([[paranode]])とよばれる構造が隣接する。パラノード部では髄鞘が肥大し細胞質成分が観察され、[[paranodal loop]]と呼ばれる構造を示す。パラノード部では、40個以上のparanodal loopがらせん状に軸索と[[接着分子]]を介して密着し、電気的な絶縁と、分子の拡散障壁部を形成している。この構造は、ボルト(=軸索)とナット(=paranodal loop)にもたとえられる。


 パラノード部の両遠部には、[[傍パラノード]]部(juxtaparanode)があり、その両遠部がインターノード部(internode)となる。
 パラノード部の両遠部には、[[傍パラノード]]部([[juxtaparanode]])があり、その両遠部が[[インターノード部]]([[internode]])となる。


==分子==
==分子==
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*[[シュワン細胞]]
*[[シュワン細胞]]
*[[跳躍伝導]]
*[[跳躍伝導]]
*[[ケーブル理論]]
==参考文献==
==参考文献==
<references />
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