「リアノジン受容体」の版間の差分

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3. 各サブタイプの体内分布とノックアウトマウスの表現型(Takeshima 2004; Takeshima and Kakizawa, 2011; Kushnir et al., 2010)
3. 各サブタイプの体内分布とノックアウトマウスの表現型<ref><pubmed>20214899</pubmed></ref>、


RyR1:骨格筋において極めて高レベルの発現が見られる。また、小脳プルキンエ細胞を始めとする脳内各部位でも発現が見られる他、食道、精巣でも他の部位に比較して高レベルの発現が見られる。RyR1欠損マウスは横隔膜の骨格筋細胞の機能不全に起因すると考えられる呼吸不全により、生後全く動くことなく出生致死の表現型を示す。
RyR1:骨格筋において極めて高レベルの発現が見られる。また、小脳プルキンエ細胞を始めとする脳内各部位でも発現が見られる他、食道、精巣でも他の部位に比較して高レベルの発現が見られる。RyR1欠損マウスは横隔膜の骨格筋細胞の機能不全に起因すると考えられる呼吸不全により、生後全く動くことなく出生致死の表現型を示す<ref><pubmed>7515481</pubmed></ref>。


<br>RyR2:心筋細胞で極めて高レベルの発現が見られる他、平滑筋・肺・脳でも高レベルの発現が見られる。脳全体において最も発現レベルの高いサブタイプでもある。RyR2欠損マウスは、心拍動の開始直後の胎生10日ごろに心筋細胞の小胞体Ca<sup>2+</sup>過剰負荷により心不全となり死亡する。
<br>RyR2:心筋細胞で極めて高レベルの発現が見られる他、平滑筋・肺・脳でも高レベルの発現が見られる。脳全体において最も発現レベルの高いサブタイプでもある。RyR2欠損マウスは、心拍動の開始直後の胎生10日ごろに心筋細胞の小胞体Ca<sup>2+</sup>過剰負荷により心不全となり死亡する<ref><pubmed>9628868</pubmed></ref>。


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RyR3:RyR3は脳cDNAライブラリーからのクローニングにより存在が明らかになったが、脳以外にも平滑筋、骨格筋、一部の上皮細胞やリンパ球培養細胞などにおいて低レベルの発現が見られる。RyR3欠損マウスはほぼ正常に発育し重篤な異常は認められないが、これまでに自発的運動活性の亢進、社会的接触行動の減少、恐怖条件付け反応の低下、海馬CA1領域におけるシナプス長期増強(LTP)の低下などが報告され、その神経系での重要性が示唆されている。ただし、RyR3欠損マウスの軽度な中枢機能異常に関しては、重複して発現する他のサブタイプによる補完作用を考慮する必要がある。    
RyR3:RyR3は脳cDNAライブラリーからのクローニングにより存在が明らかになったが、脳以外にも平滑筋、骨格筋、一部の上皮細胞やリンパ球培養細胞などにおいて低レベルの発現が見られる。RyR3欠損マウスはほぼ正常に発育し重篤な異常は認められないが<ref><pubmed>8702664</pubmed></ref>、これまでに自発的運動活性の亢進、社会的接触行動の減少、恐怖条件付け反応の低下、海馬CA1領域におけるシナプス長期増強(LTP)の低下などが報告され、その神経系での重要性が示唆されている<ref><pubmed>10595520</pubmed></ref><ref><pubmed>11358488</pubmed></ref>。ただし、RyR3欠損マウスの軽度な中枢機能異常に関しては、重複して発現する他のサブタイプによる補完作用を考慮する必要がある。    


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