「両眼視野闘争」の版間の差分

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===意識に相関する神経活動と注意に相関する神経活動===
===意識に相関する神経活動と注意に相関する神経活動===
両眼視野闘争で、意識の中身が顔や建物の間で交代する時には、注意が向く対象もそれに伴って交代する。そのため、両眼視野闘争を意識研究のツールとして使い神経活動を計測した場合、意識の中身に相関するような神経活動は、同時に、注意が向けられている視覚処理とも相関することになる。ここで問題なのは、注意と意識の神経基盤は密接に関係があるものの、両者は異なるメカニズムによって支えられている可能性があることである。注意と意識の関係性は一つの大きなトピックであり、現在も議論が続いている([29, 48],  Frontiers in Consciousness Research のリサーチトピックも参照)。
両眼視野闘争で、意識の中身が顔や建物の間で交代する時には、注意が向く対象もそれに伴って交代する。そのため、両眼視野闘争を意識研究のツールとして使い神経活動を計測した場合、意識の中身に相関するような神経活動は、同時に、注意が向けられている視覚処理とも相関することになる。ここで問題なのは、注意と意識の神経基盤は密接に関係があるものの、両者は異なるメカニズムによって支えられている可能性があることである。注意と意識の関係性は一つの大きなトピックであり、現在も議論が続いている([29, 48],  Frontiers in Consciousness Research のリサーチトピック  http://www.frontiersin.org/consciousness_research/researchtopics/Attention_and_consciousness_in/357 も参照)。


実際に、2011年には過去のfMRI実験で示されたV1における意識に相関する神経活動は、実は注意に相関する神経活動であることが示された[49]。両眼視野闘争に関わる神経活動にどの程度トップダウン注意の影響が及んでいるのかは今後慎重に解明されるべき課題である。
実際に、2011年には過去のfMRI実験で示されたV1における意識に相関する神経活動は、実は注意に相関する神経活動であることが示された[49]。両眼視野闘争に関わる神経活動にどの程度トップダウン注意の影響が及んでいるのかは今後慎重に解明されるべき課題である。
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==参考文献==
==参考文献==
Blake, R. & Tong, F. (2008) Binocular rivalry. Scholarpedia, 3(12):1578.
松宮一道 (2002) 両眼視野闘争研究の進展.VISION, 14, 151-164.
Alais, D. & Blake, R. (2005) Binocular rivalry and perceptual ambiguity, MIT Press, Cambridge MA.
Koch, C. (原著), 土谷尚嗣,金井良太(翻訳):意識の探求—神経科学からのアプローチ(下巻),第16章「知覚が反転するとき—意識の足跡をたどる」.岩波書店.
Frontiers in Human Neuroscience “Binocular rivalry: a gateway to consciousness” (Research topic)
http://www.frontiersin.org/Human%20Neuroscience/researchtopics/binocular_rivalry_a_gateway_to/215
==関連項目==
[[一次視覚野]]
[[外側膝状体]]
[[機能的磁気共鳴画像法(fMRI)]]
[[意識]]
[[立体視]]
==引用文献==


(執筆者:竹村浩昌、土谷尚嗣、担当編集委員:藤田一郎)
(執筆者:竹村浩昌、土谷尚嗣、担当編集委員:藤田一郎)
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