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 [[脈絡叢]](choroid plexus)上皮細胞の一次繊毛は[[脳脊髄液]]量の調節に関与していると考えられており、繊毛形成の異常は脳脊髄液量の増大と'''[[水頭症]]'''を引き起こす。
 [[脈絡叢]](choroid plexus)上皮細胞の一次繊毛は[[脳脊髄液]]量の調節に関与していると考えられており、繊毛形成の異常は脳脊髄液量の増大と'''[[水頭症]]'''を引き起こす。


 一部の細胞は一次繊毛から派生した'''二次繊毛(secondary cilia)'''を持つ。一次繊毛が1つの細胞に1本なのに対して二次繊毛は細胞種により複数(時には数百本)形成されることがある。複数の二次繊毛が形成される際、中心小体は細胞周期に依存しない機構により複製され、繊毛と同数の[[基底小体]]が形成される。二次繊毛を構成する微小管束はダイニン分子と結合し、その滑り運動により繊毛打を発生させる。脳室壁に存在する[[上衣細胞]]は複数の二次繊毛を脳室面に形成し、その運動により脳室内の脳脊髄液を循環させる。脳脊髄液の流れは細胞外分泌因子の濃度勾配形成にも関与しており、繊毛の機能不全はこのような濃度勾配依存的な神経細胞移動の異常を引き起こすことが報告されている。また、[[嗅覚受容体|嗅覚受容神経細胞]]は複数の非運動性繊毛を嗅上皮面に形成し、繊毛上に嗅覚受容体を局在させてにおい物質を感知する。このため繊毛の形成不全に起因する疾患では嗅覚障害が伴う場合がある。
 一部の細胞は一次繊毛から派生した'''二次繊毛(secondary cilia)'''を持つ。一次繊毛が1つの細胞に1本なのに対して二次繊毛は細胞種により複数(時には数百本)形成されることがある。複数の二次繊毛が形成される際、中心小体は細胞周期に依存しない機構により複製され、繊毛と同数の[[基底小体]]が形成される。二次繊毛を構成する微小管束はダイニン分子と結合し、その滑り運動により繊毛打を発生させる。脳室壁に存在する[[上衣細胞]]は複数の二次繊毛を脳室面に形成し、その運動により脳室内の脳脊髄液を循環させる。脳脊髄液の流れは細胞外分泌因子の濃度勾配形成にも関与しており、繊毛の機能不全はこのような濃度勾配依存的な神経細胞移動の異常を引き起こすことが報告されている。また、[[嗅覚受容体|嗅覚受容神経細胞]]は複数の非運動性繊毛を嗅上皮面に形成し、繊毛上に[[嗅覚受容体]]を局在させてにおい物質を感知する。このため繊毛の形成不全に起因する疾患では嗅覚障害が伴う場合がある。


== 中心体関連遺伝子と神経疾患  ==
== 中心体関連遺伝子と神経疾患  ==