「内側膝状体」の版間の差分

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 現在知られている知見を持って内側膝状体の担う聴覚情報処理機能を断定することは非常に難しい。しかし視床の一般的な特徴を俯瞰する時、内側膝状体の機能を推測することが可能である。[[Image:Hiroakitsukano Fig3.jpg|thumb|200px|<b>図4 ゲート機構図</b> 赤ニューロンは視床網様核の抑制性ニューロン。]]  
 現在知られている知見を持って内側膝状体の担う聴覚情報処理機能を断定することは非常に難しい。しかし視床の一般的な特徴を俯瞰する時、内側膝状体の機能を推測することが可能である。[[Image:Hiroakitsukano Fig3.jpg|thumb|200px|<b>図4 ゲート機構図</b> 赤ニューロンは視床網様核の抑制性ニューロン。]]  


 内側膝状体や聴覚野に至らずとも下丘までで基本的な聴覚情報処理はされていると考えられている<ref name=Paxinos />。一方、聴覚野は時間的な情報やハーモニーなど音の組合せ情報の処理・認知など高度な役割が与えられている<ref><pubmed> 18436653 </pubmed></ref><ref><pubmed> 16121182 </pubmed></ref>。内側膝状体はその間に位置し下丘と聴覚野を結び、聴覚野に送るべき情報を選別するゲートであると考えられる<ref><pubmed> 9464683 </pubmed></ref>(図3)。その指令塔の機能を有すると思われる視床網様核が[[腹側視床]]に存在している。視床網様核は視床を囲う様に位置する神経核で、その殆どがGABAニューロンで占められている神経核である。視床から皮質、皮質から視床に至る軸索はほぼ全て視床網様核に側枝を伸ばしている。視床網様核は聴覚野からのフィードバックを元にMGに抑制を与え、[[側方抑制]]などに貢献している<ref name=Paxinos />。さらに視床網様核は前頭葉からの情報を元に内側膝状体に抑制を与え、[[注意]]を向けた対象以外のことに抑制をかけるフィルター機能も有すると考えられている<ref><pubmed> 16837581 </pubmed></ref>。また視床網様核から内側膝状体への抑制回路は[[視覚]]など他のモダリティによる聴覚抑制にも関与している<ref><pubmed> 22101990 </pubmed></ref>。
 内側膝状体や聴覚野に至らずとも下丘までで基本的な聴覚情報処理はされていると考えられている<ref name=Paxinos />。一方、聴覚野は時間的な情報やハーモニーなど音の組合せ情報の処理・認知など高度な役割が与えられている<ref><pubmed> 18436653 </pubmed></ref><ref><pubmed> 16121182 </pubmed></ref>。内側膝状体はその間に位置し下丘と聴覚野を結び、聴覚野に送るべき情報を選別するゲートであると考えられる<ref><pubmed> 9464683 </pubmed></ref>(図4)。その指令塔の機能を有すると思われる視床網様核が[[腹側視床]]に存在している。視床網様核は視床を囲う様に位置する神経核で、その殆どがGABAニューロンで占められている神経核である。視床から皮質、皮質から視床に至る軸索はほぼ全て視床網様核に側枝を伸ばしている。視床網様核は聴覚野からのフィードバックを元にMGに抑制を与え、[[側方抑制]]などに貢献している<ref name=Paxinos />。さらに視床網様核は前頭葉からの情報を元に内側膝状体に抑制を与え、[[注意]]を向けた対象以外のことに抑制をかけるフィルター機能も有すると考えられている<ref><pubmed> 16837581 </pubmed></ref>。また視床網様核から内側膝状体への抑制回路は[[視覚]]など他のモダリティによる聴覚抑制にも関与している<ref><pubmed> 22101990 </pubmed></ref>。


== 関連項目  ==
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