「多発性硬化症」の版間の差分

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== 治療 ==
== 治療 ==
 MSの治療は、急性期の短縮、再発・障害進行防止、対症療法が行われる。急性期の治療として最も一般的なものが副腎皮質ステロイド薬である。短期的な機能改善を促進する作用があるが、長期的な予後には影響がなく再発防止効果もないとされる。[[wikipedia:ja:ステロイドパルス療法|ステロイドパルス療法]]として、[[wikipedia:ja:メチルプレドニゾロン|メチルプレドニゾロン]]1000mg/日を3-5日間点滴静注することが多い。後療法として経口プレドニゾロンを漸減投与することが一般的である。ステロイド不応例や投与困難例については,[[wikipedia:ja:血漿交換|血漿交換]]療法が行われることもある。
 MSの治療は、急性期の短縮、再発・障害進行防止、対症療法が行われる。
 
===急性期===
 急性期の治療として最も一般的なものが副腎皮質ステロイド薬である。短期的な機能改善を促進する作用があるが、長期的な予後には影響がなく再発防止効果もないとされる。[[wikipedia:ja:ステロイドパルス療法|ステロイドパルス療法]]として、[[wikipedia:ja:メチルプレドニゾロン|メチルプレドニゾロン]]1000mg/日を3-5日間点滴静注することが多い。後療法として経口プレドニゾロンを漸減投与することが一般的である。ステロイド不応例や投与困難例については,[[wikipedia:ja:血漿交換|血漿交換]]療法が行われることもある。
===再発・障害進行防止===
 再発・障害進行防止には、病態修飾薬(disease-modifying drug)が用いられる。これには、インターフェロンβ (interferon β, IFNβ)が使用されることが多い。本薬は再発を30%程度減らす効果があり、20年以上使用しても重篤な副作用の出現は稀である。通常、再発寛解型MSまたは二次性進行型MSで再発が重畳している場合やMRIで造影病巣が認められる場合に、IFNβ-1bを800万単位隔日皮下注、 またはIFNβ-1aを30μg週1回筋注する。病初期から慢性進行性の経過をとる一次性進行型MSでは、障害の進行を防止する効果は証明されていない。2011年より我が国でも経口の再発・障害進行防止治療薬としてフィンゴリモドが使用可能となっている。経口内服薬であるため治療コンプライアンスの面ではIFNβより有用であるが、長期使用に関するエビデンスは必ずしも十分に蓄積されてはいない。
 再発・障害進行防止には、病態修飾薬(disease-modifying drug)が用いられる。これには、インターフェロンβ (interferon β, IFNβ)が使用されることが多い。本薬は再発を30%程度減らす効果があり、20年以上使用しても重篤な副作用の出現は稀である。通常、再発寛解型MSまたは二次性進行型MSで再発が重畳している場合やMRIで造影病巣が認められる場合に、IFNβ-1bを800万単位隔日皮下注、 またはIFNβ-1aを30μg週1回筋注する。病初期から慢性進行性の経過をとる一次性進行型MSでは、障害の進行を防止する効果は証明されていない。2011年より我が国でも経口の再発・障害進行防止治療薬としてフィンゴリモドが使用可能となっている。経口内服薬であるため治療コンプライアンスの面ではIFNβより有用であるが、長期使用に関するエビデンスは必ずしも十分に蓄積されてはいない。