英語名:dream、独:Traum、仏:Rêve

夢とは、ヒト睡眠中に体験する明瞭な感覚・意識体験である。1950年代にレム睡眠が発見され、それに続きレム睡眠と夢との間の高い関連性が報告されて以降、これまでにさまざまな手法を用いて夢に関する研究がおこなわれ、最近は脳機能イメージングを用いた研究も進んでいる。しかし、夢がどのように生み出されるのか、また夢に生物学的な意義が存在するかなど、現在においても数多くの疑問が残されている。


夢の定義

夢とは、ヒトが睡眠中に体験する明瞭な感覚・意識体験であり、現時点でもっとも妥当と思われる夢の定義は、「ヒトが睡眠中に受容する、感覚・イメージ・感情そして思考の連続体であり、以下の6つの要素を有する。(1) 幻覚様のイメージ体験、(2) 物語風の構造、(3) 断続的で不調和、不安定な奇異的知覚特性、(4) 強烈な情動性、(5) 体験していることをあたかも現実のもののように受け入れる、(6) 忘れやすい」というものであろう[1]

夢に関する記述は古代から数多く見られるが、研究の対象として広く扱われるようになったのはフロイトを筆頭とする精神分析学からである(6「夢と精神分析」を参照)。その後、1950年代に Aserinsky と Kleitman によりレム睡眠 (Rapid Eye Movement sleep: REM sleep) が発見され[2]、レム睡眠中に被験者を起こすと高い確率で「夢を見ていた」との報告が得られることがわかり[3]、夢は科学的研究の対象となった。これまでにさまざまな手法を用いて夢に関する研究がおこなわれ、最近では脳機能イメージングを用いた研究も進んでいる。しかし夢がどのように生み出されるのか、また夢に生物学的な意義が存在するかなど、現在においても数多くの疑問が残されている。

夢の発生機構

現在のところ、夢がどのような神経機構により生み出されるのかについて、一致した見解はない。現在提唱されている夢の発生機構についての仮説には、(1) レム睡眠の発生機構によるとするもの、(2) レム睡眠機構以外の機構によるとするものがあり、さらに(3) ノンレム睡眠中の夢に関しては、夢の発生に覚醒過程が関与するとの説がある。

 
図1 AIMモデル[4]

(1) 夢はレム睡眠機構によるとする説

幻覚様のイメージ体験、断続的で不調和・不安定な奇異的知覚特性、強烈な情動性などがレム睡眠からの覚醒で得られる夢の特徴であるが、これらは視覚野や辺縁系の賦活や前頭皮質の活動低下といったレム睡眠中の脳活動とよく対応していることから、夢はレム睡眠機構により生み出されるとの考えが導かれる。その初期のモデルが、HobsonとMcCarleyが提案した活性化合成仮説 (activation-synthesis hypothesis) である[5]

活性化合成仮説では、レム睡眠中に橋脳幹部で発生する相動的でランダムな入力(ponto-geniculo-occipital wave: PGO-wave)が大脳皮質前脳辺縁系を活性化し、それら部位の活動により生み出された情報が合成されて夢が生じると考えている。活性化合成仮説は、その後新たな知見を基に修正が加えられ、現在はAIM (Activation-Input-Modulation) モデルとなっている[6]

AIMモデルは、夢を含む覚醒、昏睡、意識変容状態などあらゆる意識状態を皮質活動レベル(Activation)、情報入力源が内因的か外因的かのバランス(Input)、神経伝達物質のバランス (Modulation)という3つの要素によって説明しようとするものである(図1)。

AIMモデルにおいて、すべての意識状態は、皮質の活動レベル(activation: A)、情報の入力源(input source: I)、神経伝達物質による調整(modulation: M)の三次元空間の中に位置づけられる(図1a)。覚醒(Wake)では、皮質の活動レベル(A)が高く,情報(I)は外界に依存し,調整(M)はノルアドレナリンセロトニン系が優位で注意の集中状態を維持する。ノンレム睡眠(NREM)では活動レベル(A)やアドレナリン・セロトニン調整系 (M)は弱まり、情報入力源(I)は外因性・内因性の両方となる。レム睡眠(REM)に至ると、活動レベル(A)は再度上昇し,情報入力源は内因性となり,調整(M)はコリン系に移行する。

図1b, c, dでは、各次元別(活動レベル(b),情報入力源(c),調整(d))に見たレム睡眠時の生理学的現象とメカニズムを示している。レム睡眠では,橋被蓋部の賦活によって活動レベルは高いにもかかわらず(ただし意志、判断、ワーキングメモリーなどの高次脳機能を司る前頭前野の活動レベルは覚醒時よりも低い)、外部からの入力は遮断され、運動出力もブロックされる。そのため脳は内部で生じる感覚を現実のものと解釈する。さらにPGO-waveによって扁桃体や辺縁系が活動するため情動的な要素が付加される。

(2) 夢はレム睡眠機構以外のメカニズムによるとする説

レム睡眠時の夢の特徴がレム睡眠中の脳活動とよく一致するとしても、以下で述べるように夢はノンレム睡眠中にも生じるとする研究者もいる。また、夢見の消失と脳の病変や器質的変化との関係を調べた研究から、レム睡眠発現の機構は夢の出現に必ずしも必要ではないという見解もある。

主な知見として、(1) 前脳の破壊や病変によるドパミン回路の遮断はレム睡眠の出現には影響を及ぼさないが夢見を消失させ、さらに妄想、幻覚、思考障害などの統合失調症の陽性症状を軽減させること、(2) ドパミン回路の化学的活性化により陽性症状および過度の夢や悪夢が誘発されること、(3) ドパミン回路を遮断する抗精神病薬は高頻度で出現する過剰で鮮烈な夢や悪夢を減少させる、などがある[7][8]

Solmsは、このような一連の知見に基づき、夢の発現機構として前脳のドパミン回路を想定した、前脳ドパミン仮説を提案している[7]

(3) ノンレム睡眠中の夢には覚醒過程が関与するという説

ノンレム睡眠中の夢見には、覚醒過程の混入が関係している可能性がある。いくつかの実験によって、ノンレム睡眠中に混入する覚醒過程が夢の報告と関連することが報告されている。

Conduitらは、短い覚醒反応を伴う聴覚刺激の呈示に一致して、睡眠段階2での視覚イメージの出現率が増加することを報告している[9]。またTakeuchiらは、入眠期のノンレム睡眠における夢の出現が、覚醒や浅い睡眠段階、また覚醒を反映するα活動の増加と関連することを報告している[10]

さらに、夜間の睡眠中には、意識されないほど短い覚醒が頻繁に混入する[11]という知見を踏まえると、ノンレム睡眠中に生じた短い覚醒時に外界からの情報が取り込まれ、それが覚醒直前に体験した夢として自覚される可能性も否定できない。

夢の役割・生物学的意義と意識の研究手段としての夢研究

夢は何らかの生物学的意義を持っているか? 今のところ、明確な答えはない。睡眠が生物学的意義を持つことは、レム断眠(REM sleep deprivation)を含む断眠(sleep deprivation)によって身体機能・認知機能に大きな影響が生じることから明らかである。しかし、夢に生物学的意義があるかどうか、その見解は分かれている。

上述のHobsonとMcCarlyの活性化合成仮説[5]では、夢はレム睡眠中に生じるランダムな皮質活動の副産物であり、明らかな生物学的意義はないとしている。一方Jouvetは、「夢は行動プログラムの作成と模擬演習のために生じる」という仮説を提案した[12]。この説では、遺伝情報を基にした生存に必要な行動プログラムの作成と、生成された行動プログラムの脳内でのシミュレーションがレム睡眠中におこなわれることで夢が起こるとしている。

また、Winsonは「夢は記憶の再生と再処理過程で生じる」という仮説を提案している[13]。これは、日中に蓄えた記憶の中で重要なものがレム睡眠中に再生・編集され、あらためて長期的な記憶として固定されるというものである。この説は、睡眠前の覚醒時の学習・経験が睡眠時にリプレイされることにより長期記憶として定着するという memory consolidation とも一致するが、実際に夢内容とこのような睡眠中の神経活動のリプレイが対応しているとの実証的なデータはまだ報告されていない。

一方、Winsonの説とは逆に、「夢は不要な記憶を消去するために見る」という説がある。この説は、DNAの二重らせん構造の発見でノーベル賞を受賞したCrickらが提唱したもので、レム睡眠中の夢は不要な記憶を消去し神経回路を整理するために生じるとしている[14]。記憶の定着・固定に関して、睡眠には過剰なシナプス結合を減少させる働きがあるとする「シナプス恒常性仮説」[15]は、Crickらの説に近い。しかし、シナプス恒常性仮説では、シナプス結合の減少をレム睡眠ではなくノンレム睡眠中の徐波によるものだとしており、またシナプス結合の減少も特定の結合ではなく、一様に結合を減少させるとしており、夢内容との関係は想定されていない。

夢の生物学的意義を考える上で、レム睡眠の機能と夢の機能、さらにわれわれが全睡眠時間の20%前後を費やして夢を見ていることと見た夢を覚えていることは分けて考えるべきである。そもそもレム睡眠そのものの機能もいまだ明らかではない。また、覚醒時と同様の活動パタンを示す睡眠中の自発的神経活動や睡眠中のシナプス強度の減少が、われわれが見る夢の内容と直接関連するかどうかも不明である。したがって、レム睡眠の特徴を基にして夢が生物学的意義を持つと結論づけるべきではないだろう。

活性化合成仮説が主張するように、夢を見ること自体はレム睡眠の付随現象かもしれない。しかし、われわれの意識・精神活動は脳の神経細胞の電気的活動に基づくものであるが、覚醒時の行動の多くが意識には上らない脳活動の影響を受けている。「無我夢中」という言葉があるように、レム睡眠中の夢では、後述の明晰夢を除いていわゆる自己意識は無い(夢を見ながら、これは現実ではなく、自分は夢を見ていると気がつくことはまれである)。レム睡眠中におけるヒトの夢見という現象を、覚醒ともノンレム睡眠とも異なる、覚醒に近いが自己意識が無い状態における自発性の精神活動として捉えれば(ただし、明晰夢では自己意識が存在する。詳しくは5.2 明晰夢を参照)、夢の脳科学的研究は睡眠にとどまらずヒトの意識や自発性の脳活動と精神活動の関連を研究するための重要な研究手段となりうる。

夢はレム睡眠に特異的か?

レム睡眠の発見に続き、レム睡眠から覚醒させた場合は夢見の報告率が80%以上であるのに対して、ノンレム睡眠 (non-Rapid Eye Movement sleep: NREM sleep) から覚醒させた場合は10%以下であること、レム睡眠中の急速眼球運動 (Rapid Eye Movements: REMs) の出現パタンと夢内容に関連性があることから[3][16]、夢はレム睡眠に特異的な現象とみなされるようになった。

ただし、近年の研究では、レム睡眠での夢見の報告率は先行研究と同様に80%程度であったが、ノンレム睡眠中でも60%程度で夢見の報告が得られるという報告がなされており[17]、夢はレム睡眠に特異的な現象ではないと考える研究者もいる。

このように、夢がレム睡眠に特異的な現象かどうかについて議論が分かれるところであるが、レム睡眠中の夢とノンレム睡眠中の夢には質的に顕著な差が認められる。レム睡眠中に起こした被験者からの夢の報告はノンレム睡眠のものに比べて、内容が長く、鮮明で活発であり、情緒的な負荷が伴う。一方、ノンレム睡眠中の夢の報告は、思考的で現実的内容が含まれることが多い[1]。すなわちレム睡眠とノンレム睡眠から覚醒させた場合の夢見の報告率の相違は、夢の定義の違いに起因している。

上記の夢の定義のうち、(2) 物語風の構造、(3) 断続的で不調和、不安定な奇異的知覚特性、(4) 強烈な情動性などを夢の必要条件とした場合はノンレム睡眠からの夢の報告率は低くなる。一方、夢を「被験者が睡眠中に生じたとみなす精神活動」と広義にとらえれば、ノンレム睡眠からの夢の報告率は高くなる。われわれが一般に「夢を見た」と言う場合の夢は、主にレム睡眠中に見ている夢である。

夢に関連した諸現象

入眠時心像(入眠時幻覚)

入眠期に幾何学模様や人物、風景が見えたり、その音や声が聞こえたりする現象を入眠時心像 (hypnagogic imagery) あるいは入眠時幻覚 (hypnagogic hallucination) という。

Horiらは、覚醒から睡眠段階2までを9段階に細分し、入眠時心像の発生率を検討している。その結果、α波が連続して出現する時期から入眠時心像は出現し、θ波が連続する時期に最も発生率が高くなり、睡眠紡錘波が出現する時期になると発生率が減少するという逆U字の傾向を報告している[18]

入眠時心像に関する知見は非常に少ないが、入眠時心像の内容については、視覚的な内容(視覚心像)が最も多く、出現率は80%以上であり[19]、この視覚心像の多くは静止映像であり、ストーリー性のある動的映像は少ない[20]との報告がある。

入眠時心像と記憶の関係として、健忘症患者を対象とした研究より、興味深い知見が報告されている。コンピュータゲーム(テトリス)を健常者(テトリスの熟練者と未経験者)と海馬の損傷による健忘症患者に数日間集中的に行わせ、ゲーム後の睡眠時の入眠時幻覚を聴取したところ、テトリス未経験者ではテトリスの入眠時幻覚が出現した被験者ほど成績が向上した。また健忘症患者では前日にテトリスを行ったことを覚えていないにもかかわらずテトリスの入眠時幻覚が出現し、どのようにテトリスのゲームを行うかは覚えていた。これらの結果は、入眠時に出現する幻覚はいわゆる陳述的記憶よりも(declarative memory),手続き記憶(procedural memory)と関連が深いことを示唆している[21]

明晰夢

夢を見ている最中に「今、自分は夢を見ている」という自覚が生じることがある。これを明晰夢 (lucid dreaming) という。

LeBergeらは、明晰夢の経験者を対象として、夢を見ていることに気づいたら手を握って知らせ、また自分が覚醒していると感じた場合には目を動かすようにという教示を被験者におこない、睡眠ポリグラムの測定と夢内容の聴取をおこなった。明晰夢の報告があり、教示した運動が記録された場合では、夢内容と睡眠ポリグラムとが高い割合で一致し、そのすべてがレム睡眠中に生じていた[22]

脳波を用いた研究からは、明晰夢がレム睡眠中でも特異な状況であることが分かっている。Tysonらは α帯域パワと夢の明晰度との関係を検討し、この2つには逆U字型の関係があることを示した[23]。覚醒時のα帯域パワも覚醒水準と逆U字型の関係があることが知られており、明晰度と覚醒水準との間に対応関係を仮定することができるならば、明晰夢には覚醒に至らないまでもかなり高い覚醒水準が求められるのかもしれない。

明晰夢は、被験者が現在夢を見ていることを覚醒後の言語報告ではなくリアルタイムに知ることができるという意味で新たな夢の実験的研究法として1980年代に注目を浴びた。さらに夢の研究にとどまらず、意識がどのように生み出されるのかという観点からも非常に興味深い現象であるが、誰にでも頻繁に生じる現象ではないことから、研究自体は下火になった。近年になってVossらは、被験者の両側の前頭部と側頭部に電極を装着し,レム睡眠時に2~100Hzの閾値下の微弱な電流刺激(250μA)を30秒間与え(経頭蓋交流電気刺激, transcranial alternative current stimulation: tACS)、その後に覚醒させて夢内容を聴取した。その結果、40および25Hzの刺激を与えた条件においてのみ、前頭~側頭領域に刺激周波数に対応したガンマ波が出現するとともに明晰夢を報告する割合が高くなった[24]。tACSの問題点として、陽極と陰極の間で電流が脳内のどの部位を流れるかが不明であり、結果の再現性の問題も含めてさらなる検証が必要ではあるが、明晰夢のみならず、意識の発生メカニズムという観点からも興味深い知見である。

レム睡眠時の急速眼球運動と夢の関連(走査仮説)

1953年にAserinskyとKleitmanがレム睡眠を発見した直後から、「なぜ睡眠中に目が動くのか?」ということが問題になった。レム睡眠中に水平方向の眼球運動が規則正しく出現した被験者を起こして夢内容を聴取したところ、「卓球の試合の夢を見ていた。卓球台の真ん中に立って、球の行方を目で追っていた」という言語報告が得られたことから、「レム睡眠時の急速眼球運動は,覚醒時のサッケードと同様に夢の視覚像を追う(走査する)ために出現する」という説(走査仮説,Scanning hypothesis)が唱えられた[3][16]

1960~1970年代には多くの研究者がレム睡眠時の眼球運動パタンと夢内容の間に相関があることを報告したが、視覚的な夢を見ないと考えられる先天性の盲人や新生児でもレム睡眠時に急速眼球運動が出現することや[25]、上述のHobsonによる活性化合成仮説が出てからは、レム睡眠時の急速眼球運動はPGO-waveによって駆動されるランダムな目の動きと考えられ、注目されなくなった。

1980年代後半に、レム睡眠時の急速眼球運動に伴って、覚醒時照明下でのサッケードに伴って出現するラムダ波と同様の電位が後頭の視覚野優位に出現することが報告され[26][27][28]、fMRIによってこの活動が第一次視覚野で生じていることが明らかにされた[29]。またレム睡眠の特徴である骨格筋の緊張の著しい低下が欠如し、レム睡眠になると夢の内容に応じて身体の運動が生じるレム睡眠行動障害患者(REM sleep behavior disorder: RBD)を用いて、レム睡眠中の動作と眼球運動の関連を調べた研究では、対象をつかむ、指し示すなどの目標のはっきりした四肢の動作と眼球運動の方向が一致することが報告された[30]。これらの知見を考え合わせると,少なくともレム睡眠時の急速眼球運動の一部は,走査仮説が主張するように夢の中での視覚像を追うために出現していると考えられる。

さらに急速眼球運動に伴って視覚野だけでなく海馬傍回や扁桃体が活動していることもfMRI[29]およびヒトの皮質電位(Electrocorticogram: ECoG)とsingle unit recordingによって報告された[31]。特にECoGとsingle unit recordingによる結果は,覚醒開眼時のサッケードに伴って海馬傍回に出現するのと同様の活動がレム睡眠時の急速眼球運動でも出現することを報告している(図2)。これらの知見はレム睡眠時の急速眼球運動は,単にPGO-waveによって眼球がランダムに駆動された結果ではなく,レム睡眠時の眼球運動が夢の内容や記憶の処理と密接に関連していることを示唆している。

夢と精神分析

夢という精神現象を単なる現象記述から覚醒時を含む総合的な精神体系の中に位置づけた点は、精神分析学の功績である。ただし精神分析学においても逸話的な報告と恣意的な解釈にとどまり、結果的に夢の研究を脳研究から切り離してしまった感は否めない。

精神分析学に基づく夢分析・解釈は現在でも臨床心理学において用いられているが、(1) 報告される夢は、一晩の間に見た夢のごく一部であると考えられること、(2) 見た夢を覚えていて報告できるかどうかは、覚醒直前に見ていた夢であるかないかに大きく依存すること、(3) 夢分析・解釈の基本となる無意識抑圧と言う過程について、現在の脳科学ではそのメカニズムはおろか、実体すら明らかにされていないこと、(4) 夢分析・解釈の妥当性及び再現性を確認する方法が確立されていないことから、脳科学とは切り離して考えるべきである。


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(執筆者:寒 重之、宮内 哲 担当編集委員:定籐 規弘)