「大脳皮質の局所神経回路」の版間の差分

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 GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref><ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref><ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。  
 GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref><ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref><ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。  


 FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞の数%程度であると言われている。その神経終末は、縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。  
 FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞の数%程度であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。  


 2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[Martinotti細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起をターゲットにしている。錐体細胞に入力する多くの興奮性信号を直接抑制するため、その抑制効果は大きい。
 2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[Martinotti細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。


 3つめのサブタイプは、[[Double bouquet細胞]](日本語訳があれば御願い致します)と呼ばれており、軸索がまとまって束となり白質方向に下降するのが特徴である。カルシウム結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。  
 3つめのサブタイプは、[[Double bouquet細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''と呼ばれており、軸索がまとまって束となり白質方向に下降するのが特徴である。カルシウム結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。  


 Late spiking発火特性を持つのは、[[Neurogliaform細胞]](日本語訳があれば御願い致します)である。樹状突起や軸索に多数分岐があり、細胞周辺のエリアに両者が非常に密に分布している。[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応をターゲットに与える抑制細胞として知られている<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。
 Late spiking発火特性を持つのは、[[Neurogliaform細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する。多数分岐があり、細胞周辺のエリアに両者が非常に密に分布している。[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。


== 参考文献  ==
== 参考文献  ==


<references />
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