「小胞体ストレス」の版間の差分

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[[Image:図4. アルツハイマー病.jpg|thumb|right|300px|'''図4.アルツハイマー病''']]  
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 [[アルツハイマー病]]患者の脳では、不溶化した[[アミロイドβ]](Aβ)が神経細胞の間隙に蓄積してできた[[老人班]]と、神経細胞内に細線維が束をなして凝集する[[神経原線維変化]][[リンクの名前]]が特徴的な病理変化として観察される。病変が見られる領域、特に[[大脳皮質]][[連合野]]および[[海馬]]・[[扁桃体]]などの[[辺縁系]]の神経細胞は死滅脱落し、さらに進行すると脳の萎縮につながる。家族性アルツハイマー病(FAD)の原因遺伝子として[[アミロイド前駆体タンパク質]](APP)、[[プレセニリン]]1(PS1)、プレセニリン2(PS2)が同定されている。このうちPS1変異で起こるケースが大半を占めている。変異PS1は小胞体ストレスセンサーの活性化を阻害することで小胞体ストレス感受性を亢進させて神経を細胞死に導く<ref><pubmed> 10587643 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11331887 </pubmed></ref>。 一方、孤発性アルツハイマー病(SAD)はPERK-eIF2α経路<ref><pubmed> 16691116 </pubmed></ref><ref><pubmed> 19264902 </pubmed></ref>や[[ユビキチンリガーゼ]][[wikipedia:HRD1|HRD1]]などがその発症に関わることが示唆されている<ref><pubmed> 20237263 </pubmed></ref>。
 [[アルツハイマー病]]患者の脳では、不溶化した[[アミロイドβ]](Aβ)が神経細胞の間隙に蓄積してできた[[老人斑]]と、神経細胞内に細線維が束をなして凝集する[[神経原線維変化]][[リンクの名前]]が特徴的な病理変化として観察される。病変が見られる領域、特に[[大脳皮質]][[連合野]]および[[海馬]]・[[扁桃体]]などの[[辺縁系]]の神経細胞は死滅脱落し、さらに進行すると脳の萎縮につながる。家族性アルツハイマー病(FAD)の原因遺伝子として[[アミロイド前駆体タンパク質]](APP)、[[プレセニリン]]1(PS1)、プレセニリン2(PS2)が同定されている。このうちPS1変異で起こるケースが大半を占めている。変異PS1は小胞体ストレスセンサーの活性化を阻害することで小胞体ストレス感受性を亢進させて神経を細胞死に導く<ref><pubmed> 10587643 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11331887 </pubmed></ref>。 一方、孤発性アルツハイマー病(SAD)はPERK-eIF2α経路<ref><pubmed> 16691116 </pubmed></ref><ref><pubmed> 19264902 </pubmed></ref>や[[ユビキチンリガーゼ]][[wikipedia:HRD1|HRD1]]などがその発症に関わることが示唆されている<ref><pubmed> 20237263 </pubmed></ref>。


===筋萎縮性側索硬化症 ===
===筋萎縮性側索硬化症 ===