「底板」の版間の差分

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 そして近年、分子細胞生物学の技術的な進展を受けて底板の性質が徐々に明らかにされてきた。1990年、[[wikipedia:Dodd J|Dodd]]と[[wikipedia:Thomas Jessell|Jessell]]らのグループは[[wikipedia:ja:ニワトリ|ニワトリ]]胚を用いた実験で、異所的に新たに移植された[[脊索]]によって神経管背側や側方部に異所的な底板が分化誘導されること、また底板形成前に脊索を除去することで底板の形成が阻害されることを示した<ref name=ref3><pubmed>2237443</pubmed></ref>。これらの結果から、脊索に発現される何らかの分泌因子が底板の分化誘導に重要であることが示唆された。
 そして近年、分子細胞生物学の技術的な進展を受けて底板の性質が徐々に明らかにされてきた。1990年、[[wikipedia:Dodd J|Dodd]]と[[wikipedia:Thomas Jessell|Jessell]]らのグループは[[wikipedia:ja:ニワトリ|ニワトリ]]胚を用いた実験で、異所的に新たに移植された[[脊索]]によって神経管背側や側方部に異所的な底板が分化誘導されること、また底板形成前に脊索を除去することで底板の形成が阻害されることを示した<ref name=ref3><pubmed>2237443</pubmed></ref>。これらの結果から、脊索に発現される何らかの分泌因子が底板の分化誘導に重要であることが示唆された。


 その後[[ショウジョウバエ]]のパターン形成遺伝子hh(hedgehog)の脊椎[[動物]]相同遺伝子が3つ報告され、その内の1つであるshhがコードするタンパク質SHH(Sonic hedgehog)が、脊索から分泌されて底板の発生分化に不可欠な分子であることが明らかにされた<ref name=ref4><pubmed>8124714</pubmed></ref> <ref name=ref5><pubmed>8837770</pubmed></ref>。
 その後[[ショウジョウバエ]]のパターン形成遺伝子hh([[hedgehog]])の[[脊椎動物]]相同遺伝子が3つ報告され、その内の1つである[[shh]]がコードするタンパク質[[SHH]]([[Sonic hedgehog]])が、[[脊索]]から分泌されて底板の発生分化に不可欠な分子であることが明らかにされた<ref name=ref4><pubmed>8124714</pubmed></ref> <ref name=ref5><pubmed>8837770</pubmed></ref>。


 また、[[ノックアウトマウス]]などの変異[[マウス]]の解析から、Shhシグナルによる底板の発生分化に際してはその下流で、[[7回膜貫通型タンパク質]][[Smoothened]](Smo)や[[wikipedia:ja:ジンクフィンガー|ジンクフィンガー]]型[[転写調節因子]][[Gli2]]の神経管腹側正中部での発現が必須であることが報告された<ref name=ref6><pubmed>12435628</pubmed></ref> <ref name=ref7><pubmed>9636069</pubmed></ref> <ref name=ref8><pubmed>9655799</pubmed></ref>。
 また、[[ノックアウトマウス]]などの変異[[マウス]]の解析から、Shhシグナルによる底板の発生分化に際してはその下流で、[[7回膜貫通型タンパク質]][[Smoothened]](Smo)や[[wikipedia:ja:ジンクフィンガー|ジンクフィンガー]]型[[転写調節因子]][[Gli2]]の神経管腹側正中部での発現が必須であることが報告された<ref name=ref6><pubmed>12435628</pubmed></ref> <ref name=ref7><pubmed>9636069</pubmed></ref> <ref name=ref8><pubmed>9655799</pubmed></ref>。