「強迫症」の版間の差分

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=== 薬物療法  ===
=== 薬物療法  ===


 薬物療法の第一選択は、OCDの保険適応を有しているSSRI([[フルボキサミン]]、[[パロキセチン]])、あるいは[[クロミプラミン]]([[アナフラニ―ル]])などの強力なセロトニン(セロトニン)再取り込み阻害作用をもつ抗うつ薬である。SSRIの副作用は、[[三環系]]など他の抗うつ薬に比し軽度で、より安全性に優れるが、吐き気や不安増強などを一過性に認めることがある。これらの標準的な初期用量や投与量を表2に示す<ref name="ref33"><pubmed>22527872</pubmed></ref>。  
 薬物療法の第一選択は、OCDの保険適応を有しているSSRI([[フルボキサミン]]、[[パロキセチン]])、あるいは[[クロミプラミン]]([[アナフラニ―ル]])などの強力なセロトニン再取り込み阻害作用をもつ[[抗うつ薬]]である。SSRIの副作用は、[[三環系]]など他の抗うつ薬に比し軽度で、より安全性に優れるが、吐き気や不安増強などを一過性に認めることがある。これらの標準的な初期用量や投与量を表2に示す<ref name="ref33"><pubmed>22527872</pubmed></ref>。  


<br> '''表2.生物学的根拠に基づく強迫性障害の薬物療法の流れ<br>18-68歳のOCD患者に推奨されるSSRIの使用量<br>  
<br> '''表2.生物学的根拠に基づく強迫性障害の薬物療法の流れ'''<br>18-68歳のOCD患者に推奨されるSSRIの使用量<br>  


{| width="512" cellspacing="1" cellpadding="1" border="1"
{| width="512" cellspacing="1" cellpadding="1" border="1"
|-
|-
|  
|  
| Starting dose
| 初期用量
| Target dose
| 目標用量
| Maximal approved dose
| 認可された最大用量
|-
|-
| パロキセチン  
| パロキセチン  
| 20mg/日  
| 20 mg/日  
| 40mg/日
| 40 mg/日
| 60mg/日
| 60 mg/日
|-
|-
| フルボキサミン  
| フルボキサミン  
| 50mg/日
| 50 mg/日
| 100-200mg/日
| 100-200 mg/日
| 300mg/日
| 300 mg/日
|-
|-
| セルトラリン  
| [[セルトラリン]]
| 50mg/日
| 50 mg/日
| 200mg/日
| 200 mg/日
| 200mg/日
| 200 mg/日
|-
|-
| エスシタロプラム  
| [[エスシタロプラム]]
| 10mg/日
| 10 mg/日
| 20mg/日
| 20 mg/日
| 30mg/日
| 30 mg/日
|}
|}


 これらの効果が不十分な場合、診断の再確認など原因を検討して治療法を再考する。薬物療法では、他のSSRIへの変更、SSRIに少量の抗精神病薬を付加投与する方法などを試みる<ref name="ref12" /> <ref name="ref26" />。また観念のみ認める場合、認知的歪みや洞察の修正、治療的動機づけの強化などが必要な場合などでは認知療法が、心理・社会的、人格的要因などの関与が考えられる場合では家族療法など他の精神療法が、それぞれ有効となる。  
 これらの効果が不十分な場合、診断の再確認など原因を検討して治療法を再考する。薬物療法では、他のSSRIへの変更、SSRIに少量の抗精神病薬を付加投与する方法などを試みる<ref name="ref12" /> <ref name="ref26" />。また観念のみ認める場合、認知的歪みや洞察の修正、治療的動機づけの強化などが必要な場合などでは認知療法が、心理・社会的、人格的要因などの関与が考えられる場合では家族療法など他の精神療法が、それぞれ有効となる。


=== 認知行動療法===
=== 認知行動療法===