「強迫症」の版間の差分

編集の要約なし
71行目: 71行目:
 また摂食障害の生涯併発率は約4.7-9.6%であり、摂食障害患者におけるOCDの併発も高率である<ref name="ref13" />。  
 また摂食障害の生涯併発率は約4.7-9.6%であり、摂食障害患者におけるOCDの併発も高率である<ref name="ref13" />。  


 さらにOCD患者では、[[wikipedia:ja:アルコール|アルコール]]、[[トランキライザー]]などの[[物質乱用]]の出現も、他の不安障害患者に比し高率である<ref name="ref14" />。その他、チック障害、トゥレット症候群、[[自閉症性スペクトラム障害]] ([[Autism Spectrum Disorders]]; [[ASDs]])など、通常幼少~児童期に出現する精神障害も少なくない。例えば、OCD患者でのASDsの有病率は3~7%とされ、これは一般人口中の出現率に比して6~14倍高い<ref name="ref17"><pubmed>17353211</pubmed></ref>。また、OCD患者の約20%に、臨床的に有意な自閉症性スペクトラム障害傾向を認め、これは一般人口での約10倍に相当する。前述したが、OCDとチック障害、あるいはトゥレット症候群とは、密接な関連性が存在する。特に、児童・青年期OCD患者においては、これらの併発率は20-59%と明らかに高率である<ref name="ref9" /> <ref name="ref10" />。しかし、チック障害、あるいはトゥレット症候群と強迫症状の長期経過は、必ずしもパラレルではなく、前者の多くは成人前に軽減するが、強迫症状は遷延しやすく、成人期に重症化することが少なくない<ref name="ref9" />。  
 さらにOCD患者では、[[wikipedia:ja:アルコール|アルコール]]、[[トランキライザー]]などの[[物質乱用]]の出現も、他の不安障害患者に比し高率である<ref name="ref14" />。その他、チック障害、トゥレット症候群、[[自閉症性スペクトラム障害]] ([[Autism Spectrum Disorders]]; [[ASDs]])など、通常幼少~児童期に出現する精神障害も少なくない。例えば、OCD患者での自閉症性スペクトラム障害の有病率は3~7%とされ、これは一般人口中の出現率に比して6~14倍高い<ref name="ref17"><pubmed>17353211</pubmed></ref>。また、OCD患者の約20%に、臨床的に有意な自閉症性スペクトラム障害傾向を認め、これは一般人口での約10倍に相当する。前述したが、OCDとチック障害、あるいはトゥレット症候群とは、密接な関連性が存在する。特に、児童・青年期OCD患者においては、これらの併発率は20-59%と明らかに高率である<ref name="ref9" /> <ref name="ref10" />。しかし、チック障害、あるいはトゥレット症候群と強迫症状の長期経過は、必ずしもパラレルではなく、前者の多くは成人前に軽減するが、強迫症状は遷延しやすく、成人期に重症化することが少なくない<ref name="ref9" />。  


 Ⅱ軸に分類されるパーソナリティー障害に関しては、OCD患者の36-88%に認めるとされ、中でも回避性(5-53%)、依存性(5-50%)、強迫性(5-28%)などcluster Cに分類されるパーソナリティー障害が、一貫して高率である<ref name="ref4" /> <ref name="ref12" /> <ref name="ref13" />。その他、cluster Aパーソナリティー障害では、統合失調型 (schizotypal PD; SPD)が5-19%と比較的高率で、cluster Bパーソナリティー障害では、演技性(5-20%)、境界性( 0-19%)などを高率に認める<ref name="ref4" /> <ref name="ref12" /> <ref name="ref13" />。しかしOCD患者でパーソナリティー障害を評価する場合、OCD自体や併存する抑うつ、不安状態などによる日常生活上の機能的問題が、人格的病理と混同される場合がしばしばあり、発症や治療前後の人格的変化を注意深く評価する必要がある。  
 Ⅱ軸に分類されるパーソナリティー障害に関しては、OCD患者の36-88%に認めるとされ、中でも回避性(5-53%)、依存性(5-50%)、強迫性(5-28%)などcluster Cに分類されるパーソナリティー障害が、一貫して高率である<ref name="ref4" /> <ref name="ref12" /> <ref name="ref13" />。その他、cluster Aパーソナリティー障害では、統合失調型 (schizotypal PD; SPD)が5-19%と比較的高率で、cluster Bパーソナリティー障害では、演技性(5-20%)、境界性( 0-19%)などを高率に認める<ref name="ref4" /> <ref name="ref12" /> <ref name="ref13" />。しかしOCD患者でパーソナリティー障害を評価する場合、OCD自体や併存する抑うつ、不安状態などによる日常生活上の機能的問題が、人格的病理と混同される場合がしばしばあり、発症や治療前後の人格的変化を注意深く評価する必要がある。


== 病因、病態仮説  ==
== 病因、病態仮説  ==