「抑制性神経細胞」の版間の差分

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 中枢神経系には興奮性神経細胞の他に多数の抑制性神経細胞が存在する。大脳皮質では約20%の神経細胞がGABAを伝達物質としてもつ抑制性神経細胞である。大脳皮質の抑制性神経細胞の大多数は、局所回路における神経細胞を抑制することから介在神経細胞(interneuron)とも呼ばれ、興奮性神経細胞からの出力を調整し、出力の同期をとったり過剰興奮を防ぐなど重要な機能をもつ。大脳皮質における抑制性神経細胞は樹状突起上に棘突起が乏しい(aspiny)といった共通の特徴をもつものの、形態・機能・マーカータンパク質の発現など、非常な多様性をもつ。例えば大脳皮質のみでも、形態的には大型バスケット細胞、小型バスケット細胞、ネストバスケット細胞、シャンデリア細胞、紡錘細胞、ダブルブーケ細胞、マルチノッチ細胞などがある。抑制性神経細胞が興奮性神経細胞にシナプスを形成する部位にも、樹状突起、細胞体、軸索部分に分かれており、その機能と密接に関連する。軸索にシナプスを形成する場合は、興奮性神経細胞からの出力を強力に抑制し、シナプス前抑制と呼ばれる。遠位樹状突起に形成された抑制性シナプスは、その近くの樹状突起への興奮性入力を微調節する。マーカータンパク質としてはParvalbumin、Somatostatin、Calretinin、さらにCalretinin陽性細胞の中にはNeuropeptide YやVasoactive Intestinal Polypeptideなどを特異的に発現する抑制性神経細胞がそれぞれ存在する。
 中枢神経系には興奮性神経細胞の他に多数の抑制性神経細胞が存在する。大脳皮質では約20%の神経細胞がGABAを伝達物質としてもつGABA作動性抑制性神経細胞である。大脳皮質の抑制性神経細胞の大多数は、局所回路において作用することから介在神経細胞(interneuron)とも呼ばれ、興奮性神経細胞からの出力を調整し、出力の同期性を制御したり、過剰興奮を防ぐなど重要な機能をもつ。大脳皮質における抑制性神経細胞は樹状突起上に棘突起が乏しい(aspiny)といった共通の特徴を有するものの、形態・機能・マーカータンパク質の発現などの点からは非常な多様性をもつ。例えば大脳皮質には、形態的には大型バスケット細胞、小型バスケット細胞、ネストバスケット細胞、シャンデリア細胞、紡錘細胞、ダブルブーケ細胞、マルチノッチ細胞などが存在する。シナプスを形成する部位からは、興奮性神経細胞上の樹状突起、細胞体、軸索部分にそれぞれ特化した抑制性神経細胞が存在し、その機能と密接に関連する。軸索に形成された抑制性シナプスは、興奮性神経細胞からの出力を強力に抑制し、シナプス前抑制と呼ばれる。遠位樹状突起に形成された抑制性シナプスは、近傍の樹状突起への興奮性入力を局所的に微調節する。抑制性神経細胞が発現するマーカータンパク質からはParvalbumin、Somatostatin、Calretinin、さらにCalretinin陽性細胞の中にはNeuropeptide YやVasoactive Intestinal Polypeptideなどを発現する抑制性神経細胞に分類される。
 抑制性神経細胞から放出されたGABAやグリシンは、シナプス後膜において[[GABA<sub>A</sub>]]及び/もしくは[[グリシン]]受容体の活性化を介してClイオン透過性を上昇させる。Cl平衡電位が静止膜電位より深い場合には過分極応答を引き起こす。Cl平衡電位が静止膜電位と近い場合においても、Clイオン透過性の亢進によって膜抵抗が小さくなることによるシャント抑制によって、膜電位の伝播を抑制する。
 抑制性神経細胞から放出されたGABAやグリシンは、シナプス後膜において[[GABA<sub>A</sub>]]及び/もしくは[[グリシン]]受容体の活性化を介してClイオン透過性を上昇させる。Cl平衡電位が静止膜電位より深い場合には過分極応答を引き起こす。Cl平衡電位が静止膜電位と近い場合においても、Clイオン透過性の亢進によって膜抵抗が小さくなることによるシャント抑制によって、膜電位の伝播を抑制する。