「摂食制御の神経回路」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
39行目: 39行目:
*弓状核
*弓状核


弓状核は摂食行動制御の中心に位置すると考えられている。弓状核への主な入力は室傍核、内側視索前野、背内側核、外側野、前乳頭核、分界条床核、扁桃体内側核、中隔核であり、出力は室傍核、内側視索前野、背内側核に多い。弓状核には、摂食行動を促進するニューロペプチドY (Neuropeptide Y: NPY)およびアグーチ関連ペプチド(Agrouti-related peptide: AgRP)を産生する神経細胞と、摂食行動を抑制するαメラノサイト刺激ホルモン(α-melanocyte stimulating hormone: α-MSH)を産生する細胞が存在する。NPY産生神経細胞とAgRP産生神経細胞はほぼ同一の細胞集団であることからNPY/AgRP神経細胞と記載されることもある。α-MSH は、プロオピオメラノコルチン(proopiomelanocortin: POMC)神経細胞が産生する前駆体蛋白POMCが酵素によってプロセスされて生成される。POMC神経はコカイン・アンフェタミン調節転写産物(cocaine- and amphetamine-regulated transcript: CART)も産生することからPOMC/CART神経と記載されることもある。NPY、AgRP、α-MSHに加えて、摂食行動抑制作用を示すガラニン様ペプチド(galanin-like peptide: GALP)は視床下部では弓状核のみに発現している。また、弓状核はレプチン受容体やグレリン受容体が最も強く発現している部位である。レプチン受容体シグナルが活性化するとStat3がリン酸化されることからリン酸化Stat3はレプチンによる活性化の指標となっており、レプチン投与後弓状核でのリン酸化Stat3陽性細胞数が著増する。 [[Image:Med Hypo Network.png|right|500px|図1 摂食行動制御に関わる主な神経回路]]  
弓状核は摂食行動制御の中心に位置すると考えられている。弓状核への主な入力は室傍核、内側視索前野、背内側核、外側野、前乳頭核、分界条床核、扁桃体内側核、中隔核であり、出力は室傍核、内側視索前野、背内側核に多い。弓状核には、摂食行動を促進するニューロペプチドY (Neuropeptide Y: NPY)およびアグーチ関連ペプチド(Agrouti-related peptide: AgRP)を産生する神経細胞と、摂食行動を抑制するαメラノサイト刺激ホルモン(α-melanocyte stimulating hormone: α-MSH)を産生する細胞が存在する。NPY産生神経細胞とAgRP産生神経細胞はほぼ同一の細胞集団であることからNPY/AgRP神経細胞と記載されることもある。α-MSH は、プロオピオメラノコルチン(proopiomelanocortin: POMC)神経細胞が産生する前駆体蛋白POMCが酵素によってプロセスされて生成される。POMC神経はコカイン・アンフェタミン調節転写産物(cocaine- and amphetamine-regulated transcript: CART)も産生することからPOMC/CART神経と記載されることもある。NPY、AgRP、α-MSHに加えて、摂食行動抑制作用を示すガラニン様ペプチド(galanin-like peptide: GALP)は視床下部では弓状核のみに発現している。また、弓状核はレプチン受容体やグレリン受容体が最も強く発現している部位である。レプチン受容体シグナルが活性化するとStat3がリン酸化されることからリン酸化Stat3はレプチンによる活性化の指標となっており、レプチン投与後弓状核でのリン酸化Stat3陽性細胞数が著増する。
 
[[Image:Med Hypo Network.png|thumb|right|500px|図2 NPY/AgRP神経とPOMC神経を中心とした視床下部内の神経回路]] <br>


*&nbsp;   NPY/AgRP神経
*&nbsp;   NPY/AgRP神経
26

回編集