「機能的磁気共鳴画像法」の版間の差分

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英:functional magnetic resonance imaging 英略称:fMRI 独:Funktionelle Magnetresonanztomographie 仏:Imagerie par résonance magnétique fonctionnelle
英:functional magnetic resonance imaging 英略称:fMRI 独:Funktionelle Magnetresonanztomographie 仏:Imagerie par résonance magnétique fonctionnelle
{{box|text= 1段落程度の抄録をお願いいたします。}}
{{box|text= 機能的磁気共鳴画像は、磁気共鳴画像 (magnetic resonance imaging; MRI)を用いて1990年代から脳機能を解明するための研究する技術として使用され、ヒト脳の機能解明に大きく貢献した。当初は脳局所の機能解明法として使用されてきたが、2010年以後は脳局所機能に加え、連絡性を調べる技術として使用されるようになり、その後も全脳の機能・構築・連絡性(コネクトーム)を解明する技術、脳がつかさどる心理状態を解読(デコーディング)する技術、神経難病や精神病態を診断(自動画像診断) する技術 などの開発が急速に進んでいる。まだ臨床診断法として確立した技術ではなく、あくまで研究用として使用されている。}}


== はじめに ==
== はじめに ==
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 3テスラMRI装置でのfMRIにおいて、神経活動による信号変化は全信号変動の約7パーセント程度とされる。生体や装置の熱ノイズが約50%を占め、残りはMRI装置の不完全性による信号ドリフトや、非撮像体の動き等に由来するアーチファクトとされる<ref><pubmed> 23707591</pubmed></ref>。頭部の動きは画像位置合わせにより補正(motion correction/realignment)することが通常であるが、この処理では補正しきれないMRI信号変動が残存する。加えて心拍や呼吸などの生理的要因による信号変動も存在するため、これら非神経性の信号を可能な限り分離・除去することが重要である('''図3''')。古典的には、頭部動き補正の後、安静時・課題fMRIともに一定の周波数帯域の信号を除去するフィルター(high pass filterやlow pass filter)をかけることでノイズ除去が行われてきた。しかしこの方法では、関心ある神経活動信号も除去してしまうため、独立成分分析によるノイズ同定・軽減への期待が高い<ref><pubmed> 24389422</pubmed></ref>(後述「[[機能的磁気共鳴画像法#fMRIの統計解析|fMRIの統計解析]]」参照)。
 3テスラMRI装置でのfMRIにおいて、神経活動による信号変化は全信号変動の約7パーセント程度とされる。生体や装置の熱ノイズが約50%を占め、残りはMRI装置の不完全性による信号ドリフトや、非撮像体の動き等に由来するアーチファクトとされる<ref><pubmed> 23707591</pubmed></ref>。頭部の動きは画像位置合わせにより補正(motion correction/realignment)することが通常であるが、この処理では補正しきれないMRI信号変動が残存する。加えて心拍や呼吸などの生理的要因による信号変動も存在するため、これら非神経性の信号を可能な限り分離・除去することが重要である('''図3''')。古典的には、頭部動き補正の後、安静時・課題fMRIともに一定の周波数帯域の信号を除去するフィルター(high pass filterやlow pass filter)をかけることでノイズ除去が行われてきた。しかしこの方法では、関心ある神経活動信号も除去してしまうため、独立成分分析によるノイズ同定・軽減への期待が高い<ref><pubmed> 24389422</pubmed></ref>(後述「[[機能的磁気共鳴画像法#fMRIの統計解析|fMRIの統計解析]]」参照)。
    
    
[[File:Hanakawa_fMRI_Fig3.png|thumb|right|'''図3. fMRIデータの前処置―動き補正・ノイズ減弱の効果'''<br>'''左.''' 前処理していない元fMRI画像(TR=1.5秒で5分間撮影したデータのうち15秒間のデータのみ提示)<br>'''中.''' 剛体変換による数学的な動き補正(motion correction/realignment)のみを行ったfMRI画像。動きはある程度補正されているものの、撮像中の頭部の動きは大きなMRI信号の変動を引き起こすためにノイズ軽減処理はまだ十分ではないことが見て取れる。<br>'''右.''' 動き補正に続き、独立成分分析によるノイズ軽減処理と脳外組織のマスク除去を行った後の画像。頭部の動きによる画像アーチファクトは目立たない。いずれも脳標準空間への位置合わせを行い、38倍速で表示している。]]
[[File:Hanakawa_fMRI_Fig3.gif|thumb|right|'''図3. fMRIデータの前処置―動き補正・ノイズ減弱の効果'''<br>'''左.''' 前処理していない元fMRI画像(TR=1.5秒で5分間撮影したデータのうち15秒間のデータのみ提示)<br>'''中.''' 剛体変換による数学的な動き補正(motion correction/realignment)のみを行ったfMRI画像。動きはある程度補正されているものの、撮像中の頭部の動きは大きなMRI信号の変動を引き起こすためにノイズ軽減処理はまだ十分ではないことが見て取れる。<br>'''右.''' 動き補正に続き、独立成分分析によるノイズ軽減処理と脳外組織のマスク除去を行った後の画像。頭部の動きによる画像アーチファクトは目立たない。いずれも脳標準空間への位置合わせを行い、30倍速で表示している。]]
[[File:Hanakawa_fMRI_Fig4.png|thumb|right|'''図4. 機能的MRI画像の歪み補正の効果'''<br>fMRI画像で用いるEPI画像は、主に撮像時の位相方向の設定と静磁場不均一性に依存して歪みが生じる。<br>'''A, B.''' 位相方向を前⇒後(矢印)、および後⇒前(矢印)に設定した場合のEPI画像。それぞれの画像が前後軸に沿ってに逆方向に歪んでいることがわかる。<br>'''C.''' 歪み補正を行った後のEPI画像<br>'''D.''' 同じ位置での高解像度T1強調画像の断面像。歪み補正により画像内の各脳部位の位置がほぼ一致している。<br>'''E.''' 歪み補正により推定した位置ズレ(shift)の大きさを示す画像。歪み補正する前と後では同断面内で最大15mmの位置ズレがみられた。]]
[[File:Hanakawa_fMRI_Fig4.png|thumb|right|'''図4. 機能的MRI画像の歪み補正の効果'''<br>fMRI画像で用いるEPI画像は、主に撮像時の位相方向の設定と静磁場不均一性に依存して歪みが生じる。<br>'''A, B.''' 位相方向を前⇒後(矢印)、および後⇒前(矢印)に設定した場合のEPI画像。それぞれの画像が前後軸に沿ってに逆方向に歪んでいることがわかる。<br>'''C.''' 歪み補正を行った後のEPI画像<br>'''D.''' 同じ位置での高解像度T1強調画像の断面像。歪み補正により画像内の各脳部位の位置がほぼ一致している。<br>'''E.''' 歪み補正により推定した位置ズレ(shift)の大きさを示す画像。歪み補正する前と後では同断面内で最大15mmの位置ズレがみられた。]]