「注意欠如・多動性障害」の版間の差分

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===薬物療法===
===薬物療法===
 日本でADHD治療薬として子どもと成人への適応が承認されている薬物は、[[メチルフェニデート]]徐放剤及び[[選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤]]である[[アトモキセチン]]である。メチルフェニデートの方がアトモキセチンよりも速やかに効果が発現する。メチルフェニデートは、実行機能と報酬系の障害への作用が期待されるが、[[依存]]やチックを誘発する恐れがある。一方、アトモキセチンは、主として実行機能の障害に作用して、依存やチックの誘発の危険はない。メチルフェニデートの副作用としては、上記の他に[[睡眠]]障害、食欲低下が高率であり、[[けいれん]]閾値の低下にも留意を要する。MTA研究では長期的に身長が3cm弱低くなったという。アトモキセチンの副作用としては、頭痛、食欲低下、傾眠があげられる。
 日本でADHD治療薬として子どもと成人への適応が承認されている薬物は、[[中枢神経刺激薬]]である[[メチルフェニデート]]徐放剤と[[リスデキサンフェタミンメシル酸塩]]、[[選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤]]である[[アトモキセチン]]、及び[[選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬|選択的α<sub>2A</sub>アドレナリン受容体作動薬]]である[[グアンファシン塩酸塩]]徐放剤である。リスデキサンフェタミンメシル酸塩は子ども(6歳以上18歳未満)のみに承認されているが、他の3剤は子どもにも成人にも承認されている。中枢神経刺激薬の2剤はADHD適正流通管理システムで管理されており、登録医しか処方ができず、処方する毎に各患者について処方を登録する必要がある。2剤とも[[ドーパミ]]ン及び[[ノルアドレナリン]]の再取り込み阻害作用があるが、リスデキサンフェタミンメシル酸塩はドーパミン及びノルアドレナリンの遊離促進作用も有している。4剤のうちでメチルフェニデートとアトモキセチンは小児のADHDへの適用が承認されてから10年以上が経過しており、使用経験が蓄積されている。メチルフェニデートの方がアトモキセチンよりも速やかに効果が発現する。メチルフェニデートは、[[実行機能]]と[[報酬系]]の障害への作用が期待されるが、[[依存]]やチックを誘発する恐れがある。一方、アトモキセチンは、主として実行機能の障害に作用して、依存やチックの誘発の危険はない。メチルフェニデートの副作用としては、上記の他に[[睡眠]]障害、食欲低下が高率であり、[[けいれん]]閾値の低下にも留意を要する。MTA研究では長期的に身長が3cm弱低くなったという。アトモキセチンの副作用としては、[[頭痛]]、食欲低下、傾眠があげられる。また、グアンファシンの副作用としては、血圧低下、傾眠、頭痛、[[めまい]]が、リスデキサンフェタミンメシル酸塩の副作用としては、食欲低下、[[不眠]]、頭痛があげられる。


 日本では適応外であるが、[[アドレナリンα2受容体]][[作動薬]]であるクロニジンもADHDに有効とされる。[[イミプラミン]]、[[ノルトリプチリン]]という[[三環系抗うつ薬]]もADHDに使用されてきた。
 日本では適応外であるが、[[アドレナリンα2受容体|アドレナリンα<sub>2</sub>受容体]][[作動薬]]であるクロニジンもADHDに有効とされる。[[イミプラミン]]、[[ノルトリプチリン]]という[[三環系抗うつ薬]]もADHDに使用されてきた。


 攻撃性や情動不安定が目立つ場合には、[[抗精神病薬]]や[[気分安定薬]]が使用されることもある。
 攻撃性や情動不安定が目立つ場合には、[[抗精神病薬]]や[[気分安定薬]]が使用されることもある。