「海馬」の版間の差分

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==== 歯状回====
==== 歯状回====
 [[分子層]]、[[顆粒細胞層]]、[[多形細胞層]]よりなる。横断面では、顆粒細胞層がCA3錐体細胞層を挟むように「つ」の字形を示し、開いた部分を[[門]](hilus)という。歯状回には興奮性細胞として顆粒細胞と苔状細胞があり、多形細胞層には多種の抑制性細胞がある。歯状回細胞の投射はすべて歯状回とCA3領域にとどまる。[[顆粒細胞]]は[[苔状線維]]によって苔状細胞とCA3錐体細胞に結合する。苔状線維終末は大きく、両種細胞の樹状突起基部にある[[棘状瘤]](thorny excresence) を包み囲むシナプスを作っている。苔状線維は、海馬長軸(中隔側頭葉軸)に直交する比較的幅の狭い(600 μm程度)領域内(ラメラ)を走行するが、CA3の遠位側に向かうほど長軸方向に広がる。歯状回門には歯状回を長軸方向に結合する興奮性及び抑制性と考えられる細胞が存在する。興奮性と考えられる苔状細胞の軸索は、起始部位から長軸方向に約1mm以上離れたレベルの歯状回分子層へ投射する。他方、抑制性と考えられる歯状回門の細胞は、起始細胞より長軸方向の前後にそれぞれ400μm以内のレベルの歯状回門および分子層に分布し、歯状回顆粒細胞と結合する。つまり、あるレベルの歯状回顆粒細胞が興奮すると、長軸方向に400 μm以内のレベルではネガティブフィードバックがかかり、それより遠位ではポジティブフィードバックがかかる結合構造になっている。
 [[分子層]]、[[顆粒細胞層]]、[[多形細胞層]]よりなる。横断面では、顆粒細胞層がCA3錐体細胞層を挟むように「つ」の字形を示し、開いた部分を[[門]](hilus)という。歯状回には興奮性細胞として顆粒細胞と苔状細胞があり、多形細胞層には多種の抑制性細胞がある。歯状回細胞の投射はすべて歯状回とCA3領域にとどまる。[[顆粒細胞]]は[[苔状線維]]によって苔状細胞とCA3錐体細胞に結合する。苔状線維終末は大きく、両種細胞の樹状突起基部にある[[棘状瘤]](thorny excrescence) を包み囲むシナプスを作っている。苔状線維は、海馬長軸(中隔側頭葉軸)に直交する比較的幅の狭い(600 μm程度)領域内(ラメラ)を走行するが、CA3の遠位側に向かうほど長軸方向に広がる。歯状回門には歯状回を長軸方向に結合する興奮性及び抑制性と考えられる細胞が存在する。興奮性と考えられる苔状細胞の軸索は、起始部位から長軸方向に約1mm以上離れたレベルの歯状回分子層へ投射する。他方、抑制性と考えられる歯状回門の細胞は、起始細胞より長軸方向の前後にそれぞれ400μm以内のレベルの歯状回門および分子層に分布し、歯状回顆粒細胞と結合する。つまり、あるレベルの歯状回顆粒細胞が興奮すると、長軸方向に400 μm以内のレベルではネガティブフィードバックがかかり、それより遠位ではポジティブフィードバックがかかる結合構造になっている。


==== 海馬(アンモン角)====
==== 海馬(アンモン角)====