「確信度」の版間の差分

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== 概要  ==
== 概要  ==


 例えば確信度評定を4段階で行う場合、評定段階を分ける3つの基準が用いられることになる。再認におけるOLD/NEW判断(既知刺激か新奇刺激か)は、2段階の確信度評定として捉えることもできる。実用的な評定基準数は5、6程度と考えられ、評定段階を多く増やしても確信度評定が厳密になるわけではない<ref><pubmed> 19159148 </pubmed></ref>。再認がrecollection(リコレクション)とfamiliarity(ファミリアリティ)の2つの処理過程から成るとする立場において、確信度はfamiliarityと同義に扱われるが、確信度が最大のOLD判断がrecollectionと同義というわけではない<ref><pubmed> 9673991 </pubmed></ref>。また、OLD判断における確信度と、NEW判断における確信度は別処理であるとも考えられ、再認判断全般から一様な確信度が得られるわけではないのかもしれない<ref><pubmed> 19159148 </pubmed></ref>。個人間の確信度の相関は低く<ref>'''Lindsay, R. C. L., Wells, G. L., & Rumpel, C.'''<br>Can people detect eyewitness identification accuracy within and across situations?<br>''J App Psychol'':1981, 66, 79-89.</ref>、高い(強い)確信度判断をしやすい人と、滅多に高い確信度判断をしない慎重な人がいるが、これは判断基準の問題であり、判断基準が慎重な場合は高い確信度判断が少なくなる。この判断基準は教示や要求される判断速度等によっても変化する<ref><pubmed> 19159148 </pubmed></ref>。判断に制限時間がある場合には正確さが低下することがある一方。早い判断ができる場合には遅い判断の場合よりも確信度が高くなる傾向がある。記憶へのアクセスのしやすさ(accessibility)と確信度は相関関係にある<ref><pubmed> 8255951 </pubmed></ref>。確信度が高いから早い判断が可能なのかもしれないし、早い判断ができたことが高い確信度につながるのかもしれない。    
 例えば確信度評定を4段階で行う場合、評定段階を分ける3つの基準が用いられることになる。再認におけるOLD/NEW判断(既知刺激か新奇刺激か)は、2段階の確信度評定として捉えることもできる。実用的な評定基準数は5、6程度と考えられ、評定段階を多く増やしても確信度評定が厳密になるわけではない<ref><pubmed> 19159148 </pubmed></ref>。再認がrecollection(リコレクション)とfamiliarity(ファミリアリティ)の2つの処理過程から成るとする立場において、確信度はfamiliarityと同義に扱われるが、確信度が最大のOLD判断がrecollectionと同義というわけではない<ref><pubmed> 9673991 </pubmed></ref>。また、OLD判断における確信度と、NEW判断における確信度は別処理であるとも考えられ、再認判断全般から一様な確信度が得られるわけではないのかもしれない<ref><pubmed> 19159148 </pubmed></ref>。個人間の確信度の相関は低く<ref>'''Lindsay, R. C. L., Wells, G. L., & Rumpel, C.'''<br>Can people detect eyewitness identification accuracy within and across situations?<br>''J App Psychol'':1981, 66, 79-89.</ref>、高い(強い)確信度判断をしやすい人と、滅多に高い確信度判断をしない慎重な人がいるが、これは判断基準の問題であり、判断基準が慎重な場合は高い確信度判断が少なくなる。この判断基準は教示や要求される判断速度等によっても変化する<ref><pubmed> 19159148 </pubmed></ref>。早い判断ができる場合には遅い判断の場合よりも確信度が高くなる傾向があり、記憶へのアクセスのしやすさ(accessibility)と確信度の高さは相関関係にある<ref><pubmed> 8255951 </pubmed></ref>。確信度が高いから早い判断が可能なのかもしれないし、早い判断ができたことが高い確信度につながるのかもしれない。    


== 正確さ  ==
== 正確さ  ==


 展望的確信度判断は想起成績と相関する<ref>'''Vesonder, G. T., & Voss, J. F.'''<br>On the ability to predict one's own responses while learning.<br>''J Mem Lang'':1985, 24, 363-376.</ref>、つまり想起できそうかという判断は、正しいことが多いとされる。一方、想起した情報に対する確信度と正確さの相関に影響を与える要因は、[[学習]]、学習と想起の状況、モニタリング等にあるとされる<ref><pubmed> 10780019 </pubmed></ref>。学習を繰り返すことは後の確信度を高く見積もることにつながるが、学習時間が長いことは後の確信度をあまり上昇させない<ref>'''Koriat, A.'''<br>Monitoring one's own knowledge during study: A cue-utilization approach to judgments of learning.<br>''J Exp Psychol Gen'':1997, 126, 349-370.</ref>。また、確信度が高い場合でもその判断が誤っている事態は容易に起きることが知られている<ref>'''Schacter, D., Verfaellie, M., & Pradere, D.'''<br>The neuropsychology of memory illusions: false recall and recognition in amnesic patients.<br>''J Mem Lang'':1996'', 35, 319-334.''</ref>。前頭葉損傷による錯話confabulationは、誤った想起内容に対して高い確信度判断をしている。  
 展望的確信度判断は想起成績と相関する<ref>'''Vesonder, G. T., & Voss, J. F.'''<br>On the ability to predict one's own responses while learning.<br>''J Mem Lang'':1985, 24, 363-376.</ref>、つまり想起できそうかという判断は、正しいことが多いとされる。一方、想起した情報に対する確信度と正確さの相関に影響を与える要因は、[[学習]]、学習と想起の状況、モニタリング等にあるとされる<ref><pubmed> 10780019 </pubmed></ref>。学習を繰り返すことは後の確信度を高く見積もることにつながるが、学習時間が長いことは後の確信度をあまり上昇させない<ref>'''Koriat, A.'''<br>Monitoring one's own knowledge during study: A cue-utilization approach to judgments of learning.<br>''J Exp Psychol Gen'':1997, 126, 349-370.</ref>。また、確信度が高い場合でもその判断が誤っている事態は容易に起きることが知られている<ref>'''Schacter, D., Verfaellie, M., & Pradere, D.'''<br>The neuropsychology of memory illusions: false recall and recognition in amnesic patients.<br>''J Mem Lang'':1996'', 35, 319-334.''</ref>。前頭葉損傷による錯話confabulationでは、誤った想起内容に対して高い確信度判断をしている。  


== 神経基盤  ==
== 神経基盤  ==
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