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 視床下部を構成する灰白質は第三脳室と接している視床下部脳室周囲層、その外側の視床下部内側野、最も外側に位置する視床下部外側野の3領域に分けられ、それぞれに神経核群が存在している。視床下部は下垂体門脈と呼ばれる血管系を介して下垂体とつながっている。下垂体は甲状腺、副腎皮質、性腺といった下位の内分泌腺を刺激するホルモンを分泌する上位の内分泌器官であるが、視床下部で産生される視床下部ホルモンは下垂体門脈を経由してこの下垂体からのホルモン分泌を調節している。また、視床下部の一部では[[血液脳関門]]が無い領域が存在し、視床下部に存在する神経細胞が血液、[[脳脊髄液]]に含まれる生理活性分子の濃度変化をモニタリングするのに役立っている。以下、視床下部に存在する多くの神経核のうち、主なものを記す。
 視床下部を構成する灰白質は第三脳室と接している視床下部脳室周囲層、その外側の視床下部内側野、最も外側に位置する視床下部外側野の3領域に分けられ、それぞれに神経核群が存在している。視床下部は下垂体門脈と呼ばれる血管系を介して下垂体とつながっている。下垂体は甲状腺、副腎皮質、性腺といった下位の内分泌腺を刺激するホルモンを分泌する上位の内分泌器官であるが、視床下部で産生される視床下部ホルモンは下垂体門脈を経由してこの下垂体からのホルモン分泌を調節している。また、視床下部の一部では[[血液脳関門]]が無い領域が存在し、視床下部に存在する神経細胞が血液、[[脳脊髄液]]に含まれる生理活性分子の濃度変化をモニタリングするのに役立っている。以下、視床下部に存在する多くの神経核のうち、主なものを記す。


=== 弓状核(Arcuate nucleus: ARC) ===
=== 弓状核===
 
Arcuate nucleus: ARC
 ホメオスタシスは自律神経系とホルモン系との協調作用によって保たれており、視床下部はこのホルモン系を制御している。ホルモン系調節の中心は視床下部と下垂体をつなげる漏斗と呼ばれる部位に存在する弓状核(別名を漏斗核)である。弓状核は下垂体前葉からのホルモン分泌を促進させる各種の放出ホルモン(成長ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、プロラクチン放出ホルモン)あるいは、分泌を抑制する各種の放出抑制ホルモン(成長ホルモン抑制ホルモン、プロラクチン抑制ホルモン)を分泌している。
 ホメオスタシスは自律神経系とホルモン系との協調作用によって保たれており、視床下部はこのホルモン系を制御している。ホルモン系調節の中心は視床下部と下垂体をつなげる漏斗と呼ばれる部位に存在する弓状核(別名を漏斗核)である。弓状核は下垂体前葉からのホルモン分泌を促進させる各種の放出ホルモン(成長ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、プロラクチン放出ホルモン)あるいは、分泌を抑制する各種の放出抑制ホルモン(成長ホルモン抑制ホルモン、プロラクチン抑制ホルモン)を分泌している。