「進行性核上性麻痺」の版間の差分

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 最終臨床診断がPSPであった症例の中で病理診断がPSPは8割弱であり、non-PSPの約3分の2は大脳皮質基底核変性症corticobasal degeneration(CBD)、 多系統萎縮症multiple system atrophy(MSA)、 レヴィー小体病Lewy body disease(LBD)である<ref name=Osaki2004><pubmed>14978673</pubmed></ref><ref name=Josephs2003><pubmed>14502669</pubmed></ref> 。それ以外にも多様な疾患が含まれる。Non-PSPの中では[[αシヌクレオパチー]]である多系統萎縮症とレヴィー小体病を除外することが重要である。MDS基準の中ではPSP mimicsを除外するために、必須除外基準が設けられており<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 、それらの項目が鑑別診断上重要である。
 最終臨床診断がPSPであった症例の中で病理診断がPSPは8割弱であり、non-PSPの約3分の2は大脳皮質基底核変性症corticobasal degeneration(CBD)、 多系統萎縮症multiple system atrophy(MSA)、 レヴィー小体病Lewy body disease(LBD)である<ref name=Osaki2004><pubmed>14978673</pubmed></ref><ref name=Josephs2003><pubmed>14502669</pubmed></ref> 。それ以外にも多様な疾患が含まれる。Non-PSPの中では[[αシヌクレオパチー]]である多系統萎縮症とレヴィー小体病を除外することが重要である。MDS基準の中ではPSP mimicsを除外するために、必須除外基準が設けられており<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref> 、それらの項目が鑑別診断上重要である。
=== 多系統萎縮症 ===
=== 多系統萎縮症 ===
 パーキンソニズム、[[自律神経障害]]、[[小脳性運動失調]]が3大神経症候で、PSPと共通の所見は「[[レボドパ]]の効果が乏しい」、「自律神経障害の中の[[排尿障害]]」、「[[筋トーヌス]]低下、slurred speech([[不明瞭発語]])、[[不安定歩行]]など小脳性運動失調に関連する症候」である。PSPとの鑑別点は[[起立性低血圧]]の存在であり、「起立3分後に収縮期30mmHg以上、拡張期15mmHg以上の起立性低血圧」はMDS基準の必須除外項目に含まれている<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref>  ([http://plaza.umin.ac.jp/neuro2/pdffiles/CQ6-2table1.pdf MDS基準])。また、画像所見としては多系統萎縮症ではMRIにおいて橋の[[クロスサイン]]や[[被殻]]の[[slit sign]]など特徴的な所見が認められる。
 パーキンソニズム、[[自律神経障害]]、[[小脳性運動失調]]が3大神経症候で、PSPと共通の所見は「[[レボドパ]]の効果が乏しい」、「自律神経障害の中の[[排尿障害]]」、「[[筋トーヌス]]低下、slurred speech([[不明瞭発語]])、[[不安定歩行]]など小脳性運動失調に関連する症候」である。PSPとの鑑別点は[[起立性低血圧]]の存在であり、「起立3分後に収縮期30mmHg以上、拡張期15mmHg以上の起立性低血圧」はMDS基準の必須除外項目に含まれている<ref name=Höglinger2017><pubmed>28467028</pubmed></ref>  ([http://plaza.umin.ac.jp/neuro2/pdffiles/CQ6-2table2.pdf NINDS基準の和訳])。また、画像所見としては多系統萎縮症ではMRIにおいて橋の[[クロスサイン]]や[[被殻]]の[[slit sign]]など特徴的な所見が認められる。


=== レヴィー小体病 ===
=== レヴィー小体病 ===