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頭頂葉は[[大脳皮質]]の四つの[[大脳葉]]の一つである。頭頂葉は[[中心溝]]の後部、[[外側溝]]([[シルビウス溝]])の上部、[[頭頂後頭溝]]の前方部に位置する。[[前頭葉]]とは中心溝で、側頭葉とは[[外側溝]]で、[[後頭葉]]とは内側面にある頭頂後頭溝で区切られる。脳の外側面では後頭葉との間にははっきりとした脳溝がない。頭頂葉の最前部である中心後回には[[一次体性感覚野]]がある。その後部には[[頭頂連合野]]があり、[[頭頂間溝]]によって[[上頭頂小葉]]と[[下頭頂小葉]]に分けられる。また、外側溝の中、[[頭頂弁]]蓋の内壁には[[二次体性感覚野]]がある。 | 頭頂葉は[[大脳皮質]]の四つの[[大脳葉]]の一つである。頭頂葉は[[中心溝]]の後部、[[外側溝]]([[シルビウス溝]])の上部、[[頭頂後頭溝]]の前方部に位置する。[[前頭葉]]とは中心溝で、側頭葉とは[[外側溝]]で、[[後頭葉]]とは内側面にある頭頂後頭溝で区切られる。脳の外側面では後頭葉との間にははっきりとした脳溝がない。頭頂葉の最前部である中心後回には[[一次体性感覚野]]がある。その後部には[[頭頂連合野]]があり、[[頭頂間溝]]によって[[上頭頂小葉]]と[[下頭頂小葉]]に分けられる。また、外側溝の中、[[頭頂弁]]蓋の内壁には[[二次体性感覚野]]がある。 | ||
[[ | [[wj:サル|サル]]を用いた単一ニューロン活動の記録実験により、領野ごとの機能的特性が明らかにされている。本稿ではサルで得られた知見を中心に、頭頂葉の領野区分と各領野の機能的特性について簡単に紹介する。 | ||
==体性感覚野== | ==体性感覚野== | ||
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二次体性感覚野は外側溝を上方から覆う頭頂弁蓋の内側壁に存在し、一次体性感覚野からの入力を受ける。二次体性感覚野のニューロンの受容野は一次体性感覚野のニューロンの受容野に比べて広いが、二次体性感覚野にもおおまかな体部位局在が存在する。触刺激の方位に対する選択性と受容野内での刺激位置に対する不変性を併せ持つニューロンが存在する<ref><pubmed>17192440</pubmed></ref>。 | 二次体性感覚野は外側溝を上方から覆う頭頂弁蓋の内側壁に存在し、一次体性感覚野からの入力を受ける。二次体性感覚野のニューロンの受容野は一次体性感覚野のニューロンの受容野に比べて広いが、二次体性感覚野にもおおまかな体部位局在が存在する。触刺激の方位に対する選択性と受容野内での刺激位置に対する不変性を併せ持つニューロンが存在する<ref><pubmed>17192440</pubmed></ref>。 | ||
[[ | [[wj:ヒト|ヒト]]を被験者にした[[fMRI実験]]から、一次体性感覚野は物理的な刺激が与えられないと賦活しないが、二次体性感覚野は実際の刺激が与えられなくても他人が触られている映像を観察しただけで賦活することが示されている<ref><pubmed>15091347</pubmed></ref>。また、「皮膚に注射針が刺された」画像などを観察して、痛みが想像できるような状況に置かれた場合でも二次体性感覚野は賦活する<ref><pubmed>16855007</pubmed></ref>。 | ||
== 頭頂連合野 == | == 頭頂連合野 == | ||
頭頂連合野は中心溝の後方にある一次体性感覚野、腹側前方にある二次体性感覚野を除く頭頂葉の部分である。[[空間認知]]、[[運動視覚]]、高次の[[体性感覚]]の処理、手や腕等の[[運動制御]]、[[言語機能]]等、様々な[[認知機能]]に関わる。頭頂連合野外側は頭頂間溝を境として上頭頂小葉と下頭頂小葉に分けられる。なお、[[ブロードマンの脳地図|ブロードマンの脳区分]]において、ヒトでは上頭頂小葉に[[5野]]と[[7野]]の両方が当てられているが、サルでは上頭頂小葉と下頭頂小葉がそれぞれ5野と7野とされているので、ヒトとサルの対応を考える場合には注意が必要である。 | 頭頂連合野は中心溝の後方にある一次体性感覚野、腹側前方にある二次体性感覚野を除く頭頂葉の部分である。[[空間認知]]、[[運動視覚]]、高次の[[体性感覚]]の処理、手や腕等の[[運動制御]]、[[言語機能]]等、様々な[[認知機能]]に関わる。頭頂連合野外側は頭頂間溝を境として上頭頂小葉と下頭頂小葉に分けられる。なお、[[ブロードマンの脳地図|ブロードマンの脳区分]]において、ヒトでは上頭頂小葉に[[5野]]と[[7野]]の両方が当てられているが、サルでは上頭頂小葉と下頭頂小葉がそれぞれ5野と7野とされているので、ヒトとサルの対応を考える場合には注意が必要である。 | ||
サルでは、ニューロン活動が示す性質から、頭頂連合野外側の頭頂間溝領域は[[LIP野]]([[外側頭頂間溝野]]、lateral intraparietal area)、[[MIP野]]([[内側頭頂間溝野]]、medial intraparietal area)、[[AIP野]]([[前頭頂間溝野]]、anterior intraparietal area)、[[VIP野]]([[腹側頭頂間溝野]]、ventral intraparietal area)、[[PIP野]]([[後頭頂間溝野]]、posterior intraparietal area)、[[CIP野]]([[尾側頭頂間溝野]], caudal intraparietal area)などに、下頭頂小葉は[[7野|7a野]]、[[7野|7b野]]に区分される。また、頭頂連合野内側は、頭頂後頭溝吻側壁に沿って腹側部が[[PO野]](parieto-occipital area)、背側部が[[POa野]]と呼ばれている。その前方の内側面は腹側部が[[7野|7m野]]、背側部の部分が[[MDP野]](medial dorsal parietal area)に区分される。 | |||
=== 5野 === | === 5野 === | ||
サルでは5野は上頭頂小葉と頭頂間溝内側壁に存在する。この領野には手や上肢への触刺激や上肢の関節角などの体性感覚に応答を示すニューロンが存在する<ref><pubmed>808592</pubmed></ref>。また、頭頂間溝内側壁には体性感覚の[[受容野]]近傍で呈示された視覚刺激に対して応答を示すニューロン群が存在する。遠方にある餌を手元に寄せることができるようにサルにレーキ(熊手のような道具)を使わせると、視覚性応答が得られる空間位置がレーキの先端部や到達可能な範囲にまで拡張される。このようなニューロン群は体性感覚と視覚を統合した身体像を表現していると考えられている<ref><pubmed>8951846</pubmed></ref><ref><pubmed>11377755</pubmed></ref>。 | |||
=== LIP野 === | === LIP野 === |