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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0096096 首藤 隆秀]、[http://researchmap.jp/Akinori_Nishi 西 昭徳]</font><br>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0096096 首藤 隆秀]、[http://researchmap.jp/Akinori_Nishi 西 昭徳*]</font><br>
''久留米大学医学部薬理学講座''<br>
''久留米大学医学部薬理学講座''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2016年3月30日 原稿完成日:2016年月日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2016年3月30日 原稿完成日:2016年7月27日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br>
 *corresponding author
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[[ファイル:Fig1 DARPP-32 構造.jpg|thumb|350px|'''図1.DARPP-32の構造とリン酸化サイト'''<br>マウスのDARPP-32アミノ酸配列とリン酸化サイトを上段に示す。Thr34がリン酸化されるとPP1活性を抑制し、Thr75がリン酸化されるとPKA活性を抑制する。また、P-Ser97は核外移行シグナル(NES)として機能する。下段には、ヒトのDARPP-32アミノ酸配列とt-DARPPアミノ酸配列を示す。<br>[[PKA]]: [[cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素]]、[[CK2]]: [[カゼインキナーゼ2]]、[[CK1]]: [[カゼインキナーゼ1]]、[[PP1]]: [[タンパク質脱リン酸化酵素1]]、[[PP2B]]: [[タンパク質脱リン酸化酵素2B]]/[[カルシニューリン]]]]
[[ファイル:Fig1 DARPP-32 構造.jpg|thumb|350px|'''図1.DARPP-32の構造とリン酸化サイト'''<br>マウスのDARPP-32アミノ酸配列とリン酸化サイトを上段に示す。Thr34がリン酸化されるとPP1活性を抑制し、Thr75がリン酸化されるとPKA活性を抑制する。また、P-Ser97は核外移行シグナル(NES)として機能する。下段には、ヒトのDARPP-32アミノ酸配列とt-DARPPアミノ酸配列を示す。<br>[[PKA]]: [[cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素]]、[[CK2]]: [[カゼインキナーゼ2]]、[[CK1]]: [[カゼインキナーゼ1]]、[[PP1]]: [[タンパク質脱リン酸化酵素1]]、[[PP2B]]: [[タンパク質脱リン酸化酵素2B]]/[[カルシニューリン]]]]


 194-205アミノ酸([[マウス]] 194; [[ラット]] 205; [[ヒト]] 204)より構成される酸性タンパク質である。[[リン酸化]]により機能が制御されるタンパク質であり、4つのリン酸化サイトThr34 ([[cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素]])、Thr75 ([[Cdk5]])、Ser97 ([[カゼインキナーゼ2]])、Ser130 ([[カゼインキナーゼ1]])(マウスアミノ酸配列による)]の機能的意義が明らかにされている<ref name=ref2 />(図1)。N末端の7-11アミノ酸配列(KKIQF)は[[PP1触媒サブユニット]]([[PP1c]])との結合する。さらに、スレオニン34(Thr34)を含む領域は、Thr34がリン酸化されるとPP1c活性部位と結合してPP1c活性を抑制する<ref><pubmed> 9651542 </pubmed></ref>。セリン(Ser)97近傍の103-111アミノ酸配列は[[核外移行シグナル]](nuclear export signal, NES)となっており、Ser97がリン酸化されたDARPP-32は[[chromosome region maintenance 1 protein]]([[CRM1]])と結合して核外に移行する<ref name=ref3><pubmed> 18496528 </pubmed></ref>。
 194-205アミノ酸([[マウス]] 194; [[ラット]] 205; [[ヒト]] 204)より構成される酸性タンパク質である。[[リン酸化]]により機能が制御されるタンパク質であり、4つのリン酸化サイトThr34 ([[cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素]])、Thr75 ([[Cdk5]])、Ser97 ([[カゼインキナーゼ2]])、Ser130 ([[カゼインキナーゼ1]])(マウスアミノ酸配列による)]の機能的意義が明らかにされている<ref name=ref2 />(図1)。N末端の7-11アミノ酸配列(KKIQF)は[[PP1触媒サブユニット]]([[PP1c]])と結合する。さらに、スレオニン34(Thr34)を含む領域は、Thr34がリン酸化されるとPP1c活性部位と結合してPP1c活性を抑制する<ref><pubmed> 9651542 </pubmed></ref>。セリン(Ser)97近傍の103-111アミノ酸配列は[[核外移行シグナル]](nuclear export signal, NES)となっており、Ser97がリン酸化されたDARPP-32は[[chromosome region maintenance 1 protein]]([[CRM1]])と結合して核外に移行する<ref name=ref3><pubmed> 18496528 </pubmed></ref>。


== サブファミリー ==
== サブファミリー ==
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== 発現 ==
== 発現 ==
===組織分布===
===組織分布===
 中枢神経において、[[黒質]]と[[腹側被蓋野]]から多くのドーパミン神経の投射を受ける線条体([[背側線条体]];[[被殻]]と[[尾状核]] )、[[側坐核]]([[腹側線条体]])、[[嗅結節]]に高い発現がみられる。線条体では、[[直接路]](ドーパミン[[D1受容体]]を発現)と[[間接路]](ドーパミン[[D2受容体]]を発現)の2つのタイプの[[中型有棘神経細胞]](medium spiny neuron, MSN)に[[DARPP-32]]は発現しており、[[コリン]]作動性[[介在神経]]、[[GABA作動性]]介在神経、ドーパミン[[神経終末]]での発現は認められていない<ref name=ref2 /> <ref name=ref5><pubmed> 2191086 </pubmed></ref>。ドーパミン神経の投射が比較的少ない脳部位では、[[大脳皮質]]や[[海馬]]などで低いレベルではあるが発現を認める<ref><pubmed> 6319625 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 1353788 </pubmed></ref>。
 中枢神経において、[[黒質]]と[[腹側被蓋野]]から多くのドーパミン神経の投射を受ける線条体([[背側線条体]];[[被殻]]と[[尾状核]])、[[側坐核]]([[腹側線条体]])、[[嗅結節]]に高い発現がみられる。線条体では、[[直接路]](ドーパミン[[D1受容体]]を発現)と[[間接路]](ドーパミン[[D2受容体]]を発現)の2つのタイプの[[中型有棘神経細胞]](medium spiny neuron, MSN)にDARPP-32は発現しており、[[コリン]]作動性[[介在神経]]、[[GABA作動性]]介在神経、ドーパミン[[神経終末]]での発現は認められていない<ref name=ref2 /> <ref name=ref5><pubmed> 2191086 </pubmed></ref>。ドーパミン神経の投射が比較的少ない脳部位では、[[大脳皮質]]や[[海馬]]などで低いレベルではあるが発現を認める<ref><pubmed> 6319625 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 1353788 </pubmed></ref>。


===細胞内分布===
===細胞内分布===
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 Ser97、Ser130のリン酸化は、DARPP-32分子内メカニズムによりThr34リン酸化・脱リン酸化のキネティクスを調節している。CK2によるSer97のリン酸化はThr34のPKAによるリン酸化を促進し<ref><pubmed> 2557337 </pubmed></ref>、CK1によるSer130のリン酸化はThr34の[[タンパク質脱リン酸化酵素2B]] ([[PP2B]], [[カルシニューリン]])による脱リン酸化を抑制する<ref><pubmed> 9461512 </pubmed></ref>(図1)。その結果、Ser97、Ser130のリン酸化により、ドーパミンD<sub>1</sub>受容体/PKA/DARPP-32シグナルは促進される。
 Ser97、Ser130のリン酸化は、DARPP-32分子内メカニズムによりThr34リン酸化・脱リン酸化のキネティクスを調節している。CK2によるSer97のリン酸化はThr34のPKAによるリン酸化を促進し<ref><pubmed> 2557337 </pubmed></ref>、CK1によるSer130のリン酸化はThr34の[[タンパク質脱リン酸化酵素2B]] ([[PP2B]], [[カルシニューリン]])による脱リン酸化を抑制する<ref><pubmed> 9461512 </pubmed></ref>(図1)。その結果、Ser97、Ser130のリン酸化により、ドーパミンD<sub>1</sub>受容体/PKA/DARPP-32シグナルは促進される。


 Ser97のリン酸化はDARPP-32の細胞質—核内シャトリングの調節に重要である。CK2によるP-Ser97 DARPP-32は核外に輸送されるが、ドーパミンD1受容体刺激によってPKAが活性化されるとPP2Aが活性化されてP-Ser97が脱リン酸化され<ref name=ref64/>、DARPP-32が核内に蓄積する<ref name=ref3/>。
 Ser97のリン酸化はDARPP-32の細胞質—核内シャトリングの調節に重要である。CK2によりリン酸化されたP-Ser97 DARPP-32は核外に輸送されるが、ドーパミンD1受容体刺激によってPKAが活性化されるとPP2Aが活性化されてP-Ser97が脱リン酸化され、DARPP-32が核内に蓄積する<ref name=ref3/>。


=== DARPP-32の脱リン酸化調節 ===
=== DARPP-32の脱リン酸化調節 ===
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[[ファイル:Fig2 D32 MSN.jpg|thumb|350px|'''図2.線条体直接路および間接路神経におけるDARPP-32のリン酸化調節とその機能''']]
[[ファイル:Fig2 D32 MSN.jpg|thumb|350px|'''図2.線条体直接路および間接路神経におけるDARPP-32のリン酸化調節とその機能''']]


 線条体の[[GABA]]作動性投射神経である中型有棘神経細胞(medium spiny neuron, MSN)は、ドーパミンD<sub>1</sub>受容体を発現し黒質網様部(および淡蒼球内節)へ投射する直接路神経(D<sub>1</sub>タイプ; [[サブスタンスP]]陽性)と、ドーパミンD<sub>2</sub>受容体を発現し淡蒼球外節に投射する間接路神経(D<sub>2</sub>タイプ;エンケファリン陽性)の2種類が存在する。大脳基底核運動制御サーキットにおいて、直接路神経は脱抑制系を、間接路神経は抑制強化系を構成しており、黒質網様部から視床へのGABA作動性出力の調節を介して大脳皮質運動機能を調節している。DARPP-32は直接路および間接路神経の両方に発現している(図2)。
 線条体の[[GABA]]作動性投射神経である中型有棘神経細胞は、ドーパミンD<sub>1</sub>受容体を発現し黒質網様部(および淡蒼球内節)へ投射する直接路神経(D<sub>1</sub>タイプ; [[サブスタンスP]]陽性)と、ドーパミンD<sub>2</sub>受容体を発現し淡蒼球外節に投射する間接路神経(D<sub>2</sub>タイプ;エンケファリン陽性)の2種類が存在する。大脳基底核運動制御サーキットにおいて、直接路神経は脱抑制系を、間接路神経は抑制強化系を構成しており、黒質網様部から視床へのGABA作動性出力の調節を介して大脳皮質運動機能を調節している。DARPP-32は直接路および間接路神経の両方に発現している(図2)。


 直接路神経では、D<sub>1</sub>受容体刺激はPKA/P-Thr34 DARPP-32シグナルの活性化によりPP1を抑制し、グルタミン酸シグナルを増強することにより直接路神経を活性化する。一方、間接路神経では、アデノシンA<sub>2A</sub>受容体刺激がPKA/P-Thr34 DARPP-32シグナルを活性化するのに対して、D<sub>2</sub>受容体刺激はPKA/P-Thr34 DARPP-32シグナルを減弱させる。その結果、D<sub>2</sub>受容体刺激はPP1を活性化し、グルタミン酸シグナルを抑制することにより間接路神経の活性を低下させる<ref name=ref2 /> <ref name=ref6 /> <ref name=ref8><pubmed> 18622401 </pubmed></ref>。
 直接路神経では、D<sub>1</sub>受容体刺激はPKA/P-Thr34 DARPP-32シグナルの活性化によりPP1を抑制し、グルタミン酸シグナルを増強することにより直接路神経を活性化する。一方、間接路神経では、アデノシンA<sub>2A</sub>受容体刺激がPKA/P-Thr34 DARPP-32シグナルを活性化するのに対して、D<sub>2</sub>受容体刺激はPKA/P-Thr34 DARPP-32シグナルを減弱させる。その結果、D<sub>2</sub>受容体刺激はPP1を活性化し、グルタミン酸シグナルを抑制することにより間接路神経の活性を低下させる<ref name=ref2 /> <ref name=ref6 /> <ref name=ref8><pubmed> 18622401 </pubmed></ref>。
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 線条体や側坐核の間接路神経に発現するDARPP-32はドーパミンD<sub>2</sub>受容体作用に対して拮抗的に作用するため<ref name=ref6 /> <ref name=ref8 />、[[抗精神病薬]]の主な薬理作用であるドーパミンD<sub>2</sub>受容体アンタゴニストと類似の作用([[陽性症状]]の改善)を持つと考えられる。線条体の間接路神経において、定型抗精神病薬であるハロペリドールの投与によりP-Thr34 DARPP-32が増加し<ref name=ref9 />、その結果、[[カタレプシー]]の発現を増強する<ref name=ref8 />。つまり、間接路神経でのDARPP-32作用は、抗精神病薬の副作用である[[錐体外路症状]]にも関係している。一方、DARPP-32は[[前頭葉]]([[前頭前皮質]])においてもドーパミンD<sub>1</sub>受容体によるリン酸化調節を受けており<ref><pubmed> 16687181 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 21833500 </pubmed></ref>、[[陰性症状]]や認知機能障害の原因とされる[[中脳]]—皮質ドーパミン系の低活動や、抗精神病薬の陰性症状や認知機能障害に対する治療効果にも関与すると考えられる。
 線条体や側坐核の間接路神経に発現するDARPP-32はドーパミンD<sub>2</sub>受容体作用に対して拮抗的に作用するため<ref name=ref6 /> <ref name=ref8 />、[[抗精神病薬]]の主な薬理作用であるドーパミンD<sub>2</sub>受容体アンタゴニストと類似の作用([[陽性症状]]の改善)を持つと考えられる。線条体の間接路神経において、定型抗精神病薬であるハロペリドールの投与によりP-Thr34 DARPP-32が増加し<ref name=ref9 />、その結果、[[カタレプシー]]の発現を増強する<ref name=ref8 />。つまり、間接路神経でのDARPP-32作用は、抗精神病薬の副作用である[[錐体外路症状]]にも関係している。一方、DARPP-32は[[前頭葉]]([[前頭前皮質]])においてもドーパミンD<sub>1</sub>受容体によるリン酸化調節を受けており<ref><pubmed> 16687181 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 21833500 </pubmed></ref>、[[陰性症状]]や認知機能障害の原因とされる[[中脳]]—皮質ドーパミン系の低活動や、抗精神病薬の陰性症状や認知機能障害に対する治療効果にも関与すると考えられる。


 [[アンフェタミン]]([[覚せい剤]]、ドーパミン神経伝達の亢進)、[[<small>D</small>-リセルグ酸ジエチルアミド]](LSD、セロトニン神経伝達の亢進)、[[フェンシクリジン]](PCP、グルタミン酸神経伝達の抑制)などの薬物は、それぞれ異なる機序で実験動物に統合失調症様の行動異常を引き起こす。これらの薬物をDARPP-32欠損マウス<ref name=ref10 />、DARPP-32点変異マウス(T34A、T75A、S130A)<ref><pubmed> 14631045 </pubmed></ref>に投与しても統合失調症様の行動異常が起きないことから、統合失調症の病態にDARPP-32の関与が示唆される。
 [[アンフェタミン]]([[覚せい剤]]、ドーパミン神経伝達の亢進)、[[ <small>D</small>-リセルグ酸ジエチルアミド]](LSD、セロトニン神経伝達の亢進)、[[フェンシクリジン]](PCP、グルタミン酸神経伝達の抑制)などの薬物は、それぞれ異なる機序で実験動物に統合失調症様の行動異常を引き起こす。これらの薬物をDARPP-32欠損マウス<ref name=ref10 />、DARPP-32点変異マウス(T34A、T75A、S130A)<ref><pubmed> 14631045 </pubmed></ref>に投与しても統合失調症様の行動異常が起きないことから、統合失調症の病態にDARPP-32の関与が示唆される。


 [[統合失調症]]患者において、抗精神病薬治療とは関係なく、前頭前皮質の神経細胞でDARPP-32タンパク質が減少していることが報告されている<ref><pubmed> 12150646 </pubmed></ref> <ref name=ref15><pubmed> 17521792 </pubmed></ref>。DARPP-32 mRNAについては、発現が前頭前皮質で低下しているという報告があるが<ref><pubmed> 18573638 </pubmed></ref>、不変<ref><pubmed> 16786528 </pubmed></ref>あるいは増加<ref><pubmed> 20874815 </pubmed></ref>という報告もあり、意見の一致を見ていない。また、双極性障害患者においても前頭前皮質におけるDARPP-32発現の低下が報告されている<ref name=ref15 />。さらに、統合失調症および[[双極性障害]]の前頭前皮質でDARPP-32のN末端を欠失した[[スプライスバリアント]]であるt-DARPP (truncated isoform of DARPP) [[mRNA]]が増加しているという報告がある<ref><pubmed> 23295814 </pubmed></ref>。[[動物実験]]では、出生前の[[リポ多糖]]類暴露による統合失調症モデル動物において前頭前皮質のDARPP-32の減少が見られるが<ref><pubmed> 17180123 </pubmed></ref>、すべての統合失調症モデル動物においてDARPP-32の発現が低下するわけではない<ref><pubmed> 22820052 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 16132062 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 23313709 </pubmed></ref>。
 [[統合失調症]]患者において、抗精神病薬治療とは関係なく、前頭前皮質の神経細胞でDARPP-32タンパク質が減少していることが報告されている<ref><pubmed> 12150646 </pubmed></ref> <ref name=ref15><pubmed> 17521792 </pubmed></ref>。DARPP-32 mRNAについては、発現が前頭前皮質で低下しているという報告があるが<ref><pubmed> 18573638 </pubmed></ref>、不変<ref><pubmed> 16786528 </pubmed></ref>あるいは増加<ref><pubmed> 20874815 </pubmed></ref>という報告もあり、意見の一致を見ていない。また、双極性障害患者においても前頭前皮質におけるDARPP-32発現の低下が報告されている<ref name=ref15 />。さらに、統合失調症および[[双極性障害]]の前頭前皮質でDARPP-32のN末端を欠失した[[スプライスバリアント]]であるt-DARPP (truncated isoform of DARPP) [[mRNA]]が増加しているという報告がある<ref><pubmed> 23295814 </pubmed></ref>。[[動物実験]]では、出生前の[[リポ多糖]]類暴露による統合失調症モデル動物において前頭前皮質のDARPP-32の減少が見られるが<ref><pubmed> 17180123 </pubmed></ref>、すべての統合失調症モデル動物においてDARPP-32の発現が低下するわけではない<ref><pubmed> 22820052 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 16132062 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 23313709 </pubmed></ref>。

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