「GSK-3β」の版間の差分

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==構造==
==構造==


Gsk-3βは、多くの”activation-segment”タンパクキナーゼと同様にアミノ末端βシートドメインとカルボシキル末端αへリックスドメインを持つ(Fig.1)。Gsk-3betaの基質は、グリコーゲン合成酵素、translation initiation factor elF2B, C/EBFα転写因子、βカテニンなどがあげられる。Gsk-3βの基質は、本来のリン酸化部位のカルボシキル末に位置する”priming”残基が先にリン酸化を受けることによって効率よくリン酸化を受ける。Gsk-3βの活性中心(P0)に隣接するアルギニン96、アルギニン180、リシン205からなるpositively charged pocket(P+4)に”priming”残基のリン酸基が結合する(Fig.2)。この結合によってGsk-3βのキナーゼドメインの方向が最適化され、基質がGsk-3βの活性中心の適切な位置にはまりリン酸化を受ける[4]。Gsk-3βはダイマーとして結晶化されることより、ダイマー構造をとっていると考えられる[4] (Fig.3)。
Gsk-3βは、多くの”activation-segment”タンパクキナーゼと同様にアミノ末端βシートドメインとカルボシキル末端αへリックスドメインを持つ(Fig.1)
 
==活性調節==
 
===基質のプライミングリン酸化による調節===
Gsk-3betaの基質は、グリコーゲン合成酵素、translation initiation factor elF2B, C/EBFα転写因子、βカテニンなどがあげられる。Gsk-3βの基質は、本来のリン酸化部位のカルボシキル末に位置する”priming”残基が先にリン酸化を受けることによって効率よくリン酸化を受ける。GSK-3βのactivation loop (T-loop)に位置するスレオニン216のリン酸化により基質結合部位が開き、その活性中心(P0)に隣接するアルギニン96、アルギニン180、リシン205からなるpositively charged pocket(P+4)に”priming”残基のリン酸基が結合する(Fig.2)。この結合によってGsk-3βのキナーゼドメインの方向が最適化され、基質がGsk-3βの活性中心の適切な位置にはまりリン酸化を受ける[4]。Gsk-3βはダイマーとして結晶化されることより、ダイマー構造をとっていると考えられる[4] (Fig.3)。
インスリンシグナルは、PKB/AktによるGsk-3βのセリン9のリン酸化を引き起こしGsk-3βのキナーゼ活性を抑制する。これはGsk-3βのセリン9がpositively charged pocket(P+4)を占領することでリン酸化されたGsk-3βのアミノ末端がcompetitive pseudosubstrateとしてGsk-3βの活性中心に結合するためでないかと考えられる[4]。
インスリンシグナルは、PKB/AktによるGsk-3βのセリン9のリン酸化を引き起こしGsk-3βのキナーゼ活性を抑制する。これはGsk-3βのセリン9がpositively charged pocket(P+4)を占領することでリン酸化されたGsk-3βのアミノ末端がcompetitive pseudosubstrateとしてGsk-3βの活性中心に結合するためでないかと考えられる[4]。