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''<sup>2</sup> 長崎大学創薬研究教育センター''<br> | ''<sup>2</sup> 長崎大学創薬研究教育センター''<br> | ||
<sup>*</sup> equally contributed to this work<br> | <sup>*</sup> equally contributed to this work<br> | ||
DOI:<selfdoi /> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2016年4月21日 原稿完成日:2016年6月22日<br> | ||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br> | ||
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== 構造および活性化機構 == | == 構造および活性化機構 == | ||
[[ファイル:ROCK1. | [[ファイル:ROCK1.jpg|300px|サムネイル|右|'''図1. マウスのROCKアイソフォームのドメイン構造''']] | ||
どちらのアイソフォームもN末端側からキナーゼ領域、[[コイルド・コイル]]領域、Rho結合領域、[[PHドメイン|PH]]([[プレックスリン相同ドメイン|プレックスリン相同]])領域、高システイン領域を有する(図1)。 | どちらのアイソフォームもN末端側からキナーゼ領域、[[コイルド・コイル]]領域、Rho結合領域、[[PHドメイン|PH]]([[プレックスリン相同ドメイン|プレックスリン相同]])領域、高システイン領域を有する(図1)。 | ||
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===神経系での機能=== | ===神経系での機能=== | ||
====神経管形成==== | ====神経管形成==== | ||
[[神経管]]は外胚葉に由来する[[神経板]]が背側方向に閉鎖することで形成されるが、この過程には神経板を構成する[[神経上皮細胞]]の頂端側での[[アクトミオシン]]収縮力が必要である。神経上皮細胞の頂端側で見られるミオシン軽鎖のリン酸化がROCK-IとROCK-IIの阻害薬である[[ | [[神経管]]は外胚葉に由来する[[神経板]]が背側方向に閉鎖することで形成されるが、この過程には神経板を構成する[[神経上皮細胞]]の頂端側での[[アクトミオシン]]収縮力が必要である。神経上皮細胞の頂端側で見られるミオシン軽鎖のリン酸化がROCK-IとROCK-IIの阻害薬である[[Y-27632]]<ref name=ref10 />により消失すること<ref name=ref21 />、さらにY-27632や[[ミオシンII]]の特異的[[阻害薬]]である[[ブレビスタチン]]がトリやマウスの胚の神経管閉鎖を阻害することが示された<ref name=ref21><pubmed>26040287</pubmed></ref> <ref name=ref22><pubmed>11532918</pubmed></ref>。以上の結果は、ROCKによるアクトミオシン収縮が神経管閉鎖に重要であることを示唆している。さらなる研究により、[[アダプタータンパク質]][[Shroom3]]により神経管内腔側(神経上皮細胞の頂端側に相当する)にROCKが局在化し、さらに[[PDZ-RhoGEF]]により活性化されたRhoがROCKを活性化することが示されている<ref name=ref23><pubmed>18339671</pubmed></ref> <ref name=ref24><pubmed>22632972</pubmed></ref>。 | ||
====神経突起の伸展==== | ====神経突起の伸展==== | ||
[[ファイル:rock2. | [[ファイル:rock2.jpg|300px|サムネイル|右|'''図2. 神経突起伸展開始制御におけるRho-ROCKシグナル経路の関与''']] | ||
[[ファイル:ROCK3. | [[ファイル:ROCK3.jpg|300px|サムネイル|右|'''図3. EphAによる軸索退縮へのRho-ROCKシグナル経路の関与''']] | ||
神経突起の形成と伸展は、突起先端の[[成長円錐]]でのアクチン細胞骨格の再編成と、それに引き続く微小管の配向、安定化から成る。成長円錐は高い運動性を持った扇形の構造であり、[[軸索ガイダンス]]因子による軸索の伸長や退縮、さらに軸索伸長の方向の制御に深く関わる(''詳細は[[成長円錐]]の項目参照'')。 | 神経突起の形成と伸展は、突起先端の[[成長円錐]]でのアクチン細胞骨格の再編成と、それに引き続く微小管の配向、安定化から成る。成長円錐は高い運動性を持った扇形の構造であり、[[軸索ガイダンス]]因子による軸索の伸長や退縮、さらに軸索伸長の方向の制御に深く関わる(''詳細は[[成長円錐]]の項目参照'')。 |