「SNAP-25」の版間の差分

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 SNAP-25の翻訳領域は8つのエクソンから構成されるが、4億年前に起こった[[wikipedia:ja:硬骨魚|硬骨魚]]の出現初期にエクソン5の重複が起こり、SNAP-25aとSNAP-25bのスプライシングバリアントが作られた<ref name=ref7><pubmed>8112622</pubmed></ref>。SNAP-25のアミノ酸配列は良く保存されており、[[ヒト]]、[[マウス]]、[[ニワトリ]]では100%同一である。一方、[[wikipedia:ja:軟骨魚類|軟骨魚類]]である[[シビレエイ]](Torpedo)および[[wikipedia:ja:無脊椎動物|無脊椎動物]]である[[ショウジョウバエ]]のSNAP-25 はマウスのアミノ酸配列とそれぞれ81% および61% 同一である。SNAP-25の発現は神経系や[[内分泌]]細胞に特異的に見られるが<ref name=ref8><pubmed>21280044</pubmed></ref>、ユビキタスに発現するファミリー分子として[[SNAP-23]]が見出されている<ref name=ref9><pubmed>8663154</pubmed></ref>。
 SNAP-25の翻訳領域は8つのエクソンから構成されるが、4億年前に起こった[[wikipedia:ja:硬骨魚|硬骨魚]]の出現初期にエクソン5の重複が起こり、SNAP-25aとSNAP-25bのスプライシングバリアントが作られた<ref name=ref7><pubmed>8112622</pubmed></ref>。SNAP-25のアミノ酸配列は良く保存されており、[[ヒト]]、[[マウス]]、[[ニワトリ]]では100%同一である。一方、[[wikipedia:ja:軟骨魚類|軟骨魚類]]である[[シビレエイ]](Torpedo)および[[wikipedia:ja:無脊椎動物|無脊椎動物]]である[[ショウジョウバエ]]のSNAP-25 はマウスのアミノ酸配列とそれぞれ81% および61% 同一である。SNAP-25の発現は神経系や[[内分泌]]細胞に特異的に見られるが<ref name=ref8><pubmed>21280044</pubmed></ref>、ユビキタスに発現するファミリー分子として[[SNAP-23]]が見出されている<ref name=ref9><pubmed>8663154</pubmed></ref>。


 これら3種類のアイソフォームはいずれも神経伝達物質放出を引き起こす機能を持っているが、SNAP-25bのみが[[シナプトタグミン1]]および[[シナプトタグミン2|2]]と結合してCa<sup>2+</sup>依存的に起こる同期した放出を引き起こすことができる<ref name=ref10><pubmed>12859899</pubmed></ref> <ref name=ref11><pubmed>17728451</pubmed></ref>。それに対してSNAP-23は[[シナプトタグミン7]]と結合し、持続的に起こる同期しない放出に関わることが示されている<ref name=ref12><pubmed>25422940</pubmed></ref>。SNAP-25aは進化の過程でSNAP-23とSNAP-25が分かれた後に作られている。SNAP-25aはSNAP-23と同様に同期した放出を引き起こすことはない点でSNAP-23と似ているが、脳においてSNAP-23とどのような機能的な違いを持っているかについては明らではない<ref name=ref8 />。
 これら3種類のアイソフォームはいずれも神経伝達物質放出を引き起こす機能を持っているが、SNAP-25bのみが[[シナプトタグミン1]]および[[シナプトタグミン2|2]]と結合してCa<sup>2+</sup>依存的に起こる同期した放出を引き起こすことができる<ref name=ref10><pubmed>12859899</pubmed></ref> <ref name=ref11><pubmed>17728451</pubmed></ref>。それに対してSNAP-23は[[シナプトタグミン7]]と結合し、同期しない放出に関わることが示されている<ref name=ref12><pubmed>25422940</pubmed></ref>。SNAP-25aは進化の過程でSNAP-23とSNAP-25が分かれた後に作られている。SNAP-25aはSNAP-23と同様に同期した放出を引き起こすことはない点でSNAP-23と似ているが、脳においてSNAP-23とどのような機能的な違いを持っているかについては明らではない<ref name=ref8 />。


 分子内に2つのSNAREモチーフを持つタンパク質として[[SNAP-29]]<ref name=ref13><pubmed>9852078</pubmed></ref>と[[SNAP-47]]<ref name=ref14><pubmed>16621800</pubmed></ref>が知られている。これらのタンパク質は[[パルミトイル化]]された[[システイン]]残基を持っていない点でSNAP-25やSNAP-23とは異なるが、細胞内小胞輸送に関わる可能性が示唆されている。
 分子内に2つのSNAREモチーフを持つタンパク質として[[SNAP-29]]<ref name=ref13><pubmed>9852078</pubmed></ref>と[[SNAP-47]]<ref name=ref14><pubmed>16621800</pubmed></ref>が知られている。これらのタンパク質は[[パルミトイル化]]された[[システイン]]残基を持っていない点でSNAP-25やSNAP-23とは異なるが、細胞内小胞輸送に関わる可能性が示唆されている。