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 初代培養のニューロンでは、TRPM2は[[wj:過酸化水素|過酸化水素]]により誘導される[[神経細胞死]]において重要な役割を担っている。また、TRPM2は海馬[[シナプス可塑性]]への関与の可能性も示唆されている。さらに、TRPM2は神経発達に関連しており、発達神経突起伸長において阻害的な役割を担う。
 初代培養のニューロンでは、TRPM2は[[wj:過酸化水素|過酸化水素]]により誘導される[[神経細胞死]]において重要な役割を担っている。また、TRPM2は海馬[[シナプス可塑性]]への関与の可能性も示唆されている。さらに、TRPM2は神経発達に関連しており、発達神経突起伸長において阻害的な役割を担う。


 脳における[[βアミロイド]]の蓄積による神経細胞死は、[[アルツハイマー病]]において重要な要因だと認識されているが、このβアミロイドの蓄積は、[[活性酸素]] ([[ROS]])産生とCa<sup>2+</sup>恒常性の調節異常と関連があると考えられている。アルツハイマー病モデルにおいて、TRPM2を欠損させることにより、[[小胞体ストレス]]反応や[[神経変性]]、異常なミクログリア活性などが減少し、空間記憶障害の改善など見られることから、TRPM2の異常な活性化がアルツハイマー病の病理学的事象につながると考えられている<ref name=Yamamoto2007><pubmed></pubmed></ref> 。
 脳における[[βアミロイド]]の蓄積による神経細胞死は、[[アルツハイマー病]]において重要な要因だと認識されているが、このβアミロイドの蓄積は、[[活性酸素]] ([[ROS]])産生とCa<sup>2+</sup>恒常性の調節異常と関連があると考えられている。アルツハイマー病モデルにおいて、TRPM2を欠損させることにより、[[小胞体ストレス]]反応や[[神経変性]]、異常なミクログリア活性などが減少し、空間記憶障害の改善など見られることから、TRPM2の異常な活性化がアルツハイマー病の病理学的事象につながると考えられている<ref name=Yamamoto2007><pubmed>17490865</pubmed></ref> 。


 また、酸化ストレスによるTRPM2の活性化は神経において細胞死につながることから<u>(編集部コメント:同様の文章が上にもあります)</u>、TRPM2は[[パーキンソン病]]に関係している可能性が考えられる。[[グアム型筋委縮性側索硬化症-パーキンソン認知症複合]](Guamanian amyotrophic lateral sclerosis-parkinsonism dementia complex: ALS/PDC)の患者では、TRPM2とTRPM7において変異が見つかっていることから、これらのチャネルを介したイオン流入が生理的に重要であり、その乱れが病態に関わっている可能性を示唆している<ref name=Hermosura2007><pubmed>17395433</pubmed></ref> 。しかし、ALS/PDCの患者が集積する紀伊半島南部における連鎖解析では、TRPM7遺伝子ローカスの関与を示すデータが得られなかったことから、TRPM7においてALS/PDCとは関係していないかもしれない<ref name=Hara2010><pubmed>19405049</pubmed></ref> 。
 また、酸化ストレスによるTRPM2の活性化は神経において細胞死につながることから<u>(編集部コメント:同様の文章が上にもあります)</u>、TRPM2は[[パーキンソン病]]に関係している可能性が考えられる。[[グアム型筋委縮性側索硬化症-パーキンソン認知症複合]](Guamanian amyotrophic lateral sclerosis-parkinsonism dementia complex: ALS/PDC)の患者では、TRPM2とTRPM7において変異が見つかっていることから、これらのチャネルを介したイオン流入が生理的に重要であり、その乱れが病態に関わっている可能性を示唆している<ref name=Hermosura2007><pubmed>17395433</pubmed></ref> 。しかし、ALS/PDCの患者が集積する紀伊半島南部における連鎖解析では、TRPM7遺伝子ローカスの関与を示すデータが得られなかったことから、TRPM7においてALS/PDCとは関係していないかもしれない<ref name=Hara2010><pubmed>19405049</pubmed></ref> 。