「コンドロイチン硫酸プロテオグリカン」の版間の差分

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 他方、CSは抑制性の効果ばかりではなく、異なる神経細胞にたいして多様な効果を示すことが報告されている。たとえば、CSは培養下の[[海馬]]神経細胞の神経突起伸長を促進し<ref name="ref20"><pubmed>9000441</pubmed></ref><ref name="ref21"><pubmed>9774473</pubmed></ref><ref name="ref22"><pubmed>10454148</pubmed></ref><ref name="ref23"><pubmed>7519189</pubmed></ref><ref name="ref24"><pubmed>7962187</pubmed></ref><ref name="ref25"><pubmed>9452446</pubmed></ref>、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]の網膜神経節細胞に対して標的由来[[栄養因子]]として機能することも報告されている<ref name="ref26"><pubmed>7691433</pubmed></ref>。[[マウス]]の[[一次視覚野]]における神経回路の[[可塑性]]におよぼすCSの効果が示されている<ref name="ref27"><pubmed>9045722</pubmed></ref><ref name="ref28"><pubmed>12424383</pubmed></ref><ref name="ref29"><pubmed>16709670</pubmed></ref><ref name="ref30"><pubmed>20566484</pubmed></ref>。これらのことはCSPGまたはCSは一つの分子エンティティーではあるが、その中には異なった機能特異性を有する多様な分子が含まれていることを示唆している。  
 他方、CSは抑制性の効果ばかりではなく、異なる神経細胞にたいして多様な効果を示すことが報告されている。たとえば、CSは培養下の[[海馬]]神経細胞の神経突起伸長を促進し<ref name="ref20"><pubmed>9000441</pubmed></ref><ref name="ref21"><pubmed>9774473</pubmed></ref><ref name="ref22"><pubmed>10454148</pubmed></ref><ref name="ref23"><pubmed>7519189</pubmed></ref><ref name="ref24"><pubmed>7962187</pubmed></ref><ref name="ref25"><pubmed>9452446</pubmed></ref>、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]の網膜神経節細胞に対して標的由来[[栄養因子]]として機能することも報告されている<ref name="ref26"><pubmed>7691433</pubmed></ref>。[[マウス]]の[[一次視覚野]]における神経回路の[[可塑性]]におよぼすCSの効果が示されている<ref name="ref27"><pubmed>9045722</pubmed></ref><ref name="ref28"><pubmed>12424383</pubmed></ref><ref name="ref29"><pubmed>16709670</pubmed></ref><ref name="ref30"><pubmed>20566484</pubmed></ref>。これらのことはCSPGまたはCSは一つの分子エンティティーではあるが、その中には異なった機能特異性を有する多様な分子が含まれていることを示唆している。  


 このような多様な機能はCSが構造多様性を示すこと関係があるかもしれない。CSのユニット組成の違いが神経突起の伸長や、[[大脳皮質]]の層形成に異なった効果を有することが報告されているが、どの様なレベルの構造多様性がどの様に神経細胞の振る舞いに影響を与えているかという機構については不明の点が多い。近年の研究は細胞が特定のCSの構造を識別していることを示唆している(<ref name="ref21" /> <ref name="ref25" /> <ref name="ref31"><pubmed>10871047</pubmed></ref><ref name="ref32"><pubmed>10978312</pubmed></ref><ref name="ref33"><pubmed>15936953</pubmed></ref><ref name="ref34"><pubmed>15673437</pubmed></ref>。CS結合タンパク質が8糖(4 units)や10糖(5 units)の長さにわたる特定のユニット配列を特異的に認識することが報告されており、従来に想定されていたようなCS鎖全体の長さや負の荷電量が非特異的に影響を与えているのではないと考えられるようになった <ref name="ref35"><pubmed>17260946</pubmed></ref><ref name="ref36"><pubmed>17317718</pubmed></ref><ref name="ref37"><pubmed>17284053</pubmed></ref><ref name="ref38"><pubmed>17884822</pubmed></ref><ref name="ref39"><pubmed>20467806</pubmed></ref>。これらの報告は細胞表面のCSの構造多様性を認識する受容体の探索という分野を導くこととなった。近年報告された[[膜貫通タンパク質チロシンホスファターゼ]] (transmembrane protein tyrosine phosphatase, PTPσ)と[[コンタクチン]]-1はCS特異的な受容体の候補分子として注目を集めている <ref name="ref40"><pubmed>19075012</pubmed></ref><ref name="ref41"><pubmed>19833921</pubmed></ref><ref name="ref42"><pubmed>21454754</pubmed></ref>。    
 このような多様な機能はCSが構造多様性を示すこと関係があるかもしれない。CSのユニット組成の違いが神経突起の伸長や、[[大脳皮質]]の層形成に異なった効果を有することが報告されているが、どの様なレベルの構造多様性がどの様に神経細胞の振る舞いに影響を与えているかという機構については不明の点が多い。近年の研究は細胞が特定のCSの構造を識別していることを示唆している<ref name="ref21" /><ref name="ref25" /><ref name="ref31"><pubmed>10871047</pubmed></ref><ref name="ref32"><pubmed>10978312</pubmed></ref><ref name="ref33"><pubmed>15936953</pubmed></ref><ref name="ref34"><pubmed>15673437</pubmed></ref>。CS結合タンパク質が8糖(4 units)や10糖(5 units)の長さにわたる特定のユニット配列を特異的に認識することが報告されており、従来に想定されていたようなCS鎖全体の長さや負の荷電量が非特異的に影響を与えているのではないと考えられるようになった <ref name="ref35"><pubmed>17260946</pubmed></ref><ref name="ref36"><pubmed>17317718</pubmed></ref><ref name="ref37"><pubmed>17284053</pubmed></ref><ref name="ref38"><pubmed>17884822</pubmed></ref><ref name="ref39"><pubmed>20467806</pubmed></ref>。これらの報告は細胞表面のCSの構造多様性を認識する受容体の探索という分野を導くこととなった。近年報告された[[膜貫通タンパク質チロシンホスファターゼ]] (transmembrane protein tyrosine phosphatase, PTPσ)と[[コンタクチン]]-1はCS特異的な受容体の候補分子として注目を集めている<ref name="ref40"><pubmed>19075012</pubmed></ref><ref name="ref41"><pubmed>19833921</pubmed></ref><ref name="ref42"><pubmed>21454754</pubmed></ref>。  


== 関連項目  ==
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