「ゾーン構造」の版間の差分

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=== 主嗅覚系ゾーン構造の機能 ===
=== 主嗅覚系ゾーン構造の機能 ===


 主嗅覚系に見られるゾーン構造は生物学的にどのような意味を持つのであろうか?この問いに対する明確な答えはまだ得られていない。しかしながら、同じ匂い分子に応答する[[嗅細胞]]であっても、背側ゾーンに位置するものと腹側ゾーンに位置するもので異なる機能的を有するものがあることが知られている。背側ゾーンに配置する[[嗅細胞]]を選択的に遺伝子工学的に欠損させたマウスでは、トリメチルチアゾリン(TMT:キツネ糞由来の匂い分子で、TMTを嗅がせるとマウスに先天的な忌避行動を惹起する)に対する先天的な忌避行動が消えてしまうことが明らかになっている。一方この遺伝子操作マウスでもTMTを用いた匂い学習は成立し、TMTを認識することができた。これらの実験からTMTに応答する嗅細胞のうち、背側ゾーンにあるものは先天的な匂い忌避反応に、腹側ゾーンにあるものは後天的な匂い学習に寄与することが示された<ref ><pubmed>17989651</pubmed></ref>。これらの結果から、背側ゾーンの嗅細胞は先天的にコードされた、匂いに惹起される情動行動に、腹側ゾーンは経験・学習依存的にコードされる、匂いに惹起される行動反応に寄与する可能性が示唆されている。
 主嗅覚系に見られるゾーン構造は生物学的にどのような意味を持つのであろうか?この問いに対する明確な答えはまだ得られていない。しかしながら、同じ匂い分子に応答する[[嗅細胞]]であっても、背側ゾーンに位置するものと腹側ゾーンに位置するもので異なる機能的を有するものがあることが知られている。背側ゾーンに配置する[[嗅細胞]]を選択的に遺伝子工学的に欠損させたマウスでは、[[wikipedia:Trimethylthiazoline|トリメチルチアゾリン]](TMT:キツネ糞由来の匂い分子で、TMTを嗅がせると[[マウス]]に先天的な忌避行動を惹起する)に対する先天的な忌避行動が消えてしまうことが明らかになっている。一方この遺伝子操作マウスでもTMTを用いた匂い学習は成立し、TMTを認識することができた。これらの実験からTMTに応答する嗅細胞のうち、背側ゾーンにあるものは先天的な匂い忌避反応に、腹側ゾーンにあるものは後天的な匂い学習に寄与することが示された<ref ><pubmed>17989651</pubmed></ref>。これらの結果から、背側ゾーンの嗅細胞は先天的にコードされた、匂いに惹起される[[情動]]行動に、腹側ゾーンは経験・[[学習]]依存的にコードされる、匂いに惹起される行動反応に寄与する可能性が示唆されている。


== 副嗅覚系に見られるゾーン構造 ==
== 副嗅覚系に見られるゾーン構造 ==

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