「電流源密度推定法」の版間の差分

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<math>\frac{\partial^2 \Phi}{\partial z^2} = - \frac{I(z)}{\sigma} \ \cdots \ (5)</math>  
<math>\frac{\partial^2 \Phi}{\partial z^2} = - \frac{I(z)}{\sigma} \ \cdots \ (5)</math>  


に簡単化される。 現実的には、例えば[[一次感覚野]]では[[層構造]]に直交する[[コラム構造]]の存在が知られており、x-y平面上の電位の一様性はかなり大胆な仮定であると言わざるを得ないが、実際の応用では最低次の近似として広く受け入れられている。 また、式(5)ではz座標は連続値を取るが、実際の電位測定では、例えば皮質表面に垂直に挿入された線状電極アレイ(linear electrode array)を用いて、z軸方向の離散的な点における電位の値が測定される。 それら測定値から各点における電位のz軸方向二階微分を推定し、それを式(5)に代入して電流源密度の推定値を得る<ref><pubmed>165272</pubmed></ref>。
に簡単化される。 現実的には、例えば[[一次感覚野]]では[[層構造]]に直交する[[コラム構造]]の存在が知られており、x-y平面上の電位の一様性はかなり大胆な仮定であると言わざるを得ないが、実際の応用では最低次の近似として広く受け入れられている。 また、式(5)ではz座標は連続値を取るが、実際の電位測定では、線状多電極アレイ(linear multi-electrode array)等を用いて、z軸方向の離散的な点における電位の値が測定される。 それら測定値から各点における電位のz軸方向二階微分を推定し、それを式(5)に代入して電流源密度の推定値を得る<ref><pubmed>165272</pubmed></ref>。


 [[活動電位]]やシナプス電位等の電気的活動が生じている最中であっても、個々の神経細胞は電気的に中性であり、細胞全体の電荷量は常にバランスしている。 これはすなわち、例えば興奮性シナプス後端で電荷の流入がある場合、それに見合う量の電荷の流出が、同一細胞の別の場所で起こっていることを意味する。 このため、電流源の1次元空間分布推定の結果として、特定の位置で電流の吸い込み(もしくは湧き出し)のみが単独で得られることはなく、それ以外の位置で湧き出し(もしくは吸い込み)も同時に見られることになる。 このようにして得られる湧き出し・吸い込みの空間分布から、その背後にある生理学的実態を推測するには、対象の解剖学的構造に関する知識を援用する必要がある。 例として、図にMitzdorfによるネコ一次視覚野における電流源密度推定を挙げる<ref name=mitzdorf></ref>。 ここでは、[[視床]]から皮質への投射の終端の位置や、皮質の[[錐体細胞]]の[[樹状突起]]形状等の解剖学的知識を元に、LFP信号から推定された電流の湧き出し・吸い込みがどのような生理学的過程に対応するかを詳細に議論している。
 [[活動電位]]やシナプス電位等の電気的活動が生じている最中であっても、個々の神経細胞は電気的に中性であり、細胞全体の電荷量は常にバランスしている。 これはすなわち、例えば興奮性シナプス後端で電荷の流入がある場合、それに見合う量の電荷の流出が、同一細胞の別の場所で起こっていることを意味する。 このため、電流源の1次元空間分布推定の結果として、特定の位置で電流の吸い込み(もしくは湧き出し)のみが単独で得られることはなく、それ以外の位置で湧き出し(もしくは吸い込み)も同時に見られることになる。 このようにして得られる湧き出し・吸い込みの空間分布から、その背後にある生理学的実態を推測するには、対象の解剖学的構造に関する知識を援用する必要がある。 例として、図にMitzdorfによるネコ一次視覚野における電流源密度推定を挙げる<ref name=mitzdorf></ref>。 ここでは、[[視床]]から皮質への投射の終端の位置や、皮質の[[錐体細胞]]の[[樹状突起]]形状等の解剖学的知識を元に、LFP信号から推定された電流の湧き出し・吸い込みがどのような生理学的過程に対応するかを詳細に議論している。
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