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Yamatokikkawa (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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英:basement membrane | 英:basement membrane, basal lamina | ||
基底膜は、上皮組織(内皮や中皮を含む)と[[wikipedia:ja: 結合組織|結合組織]]の境界、筋細胞・脂肪細胞および神経組織の周囲に見られるシート状の[[wikipedia:ja: 細胞外マトリックス|細胞外マトリックス]]である。そして組織構造維持のための機械的な足場、物質の選択的透過性を司る障壁として働くのに加え、細胞の極性形成・代謝・生存・増殖・分化・移動などとも深く関わる機能的な構造である。中枢神経では、血液-[[wikipedia:ja: 脳関門|脳関門]] (BBB: blood-brain-barrier)および血液—脳脊髄液関門(BCSFB: blood-CSF barrier)の形成とその機能にも関与している。また、脳室の近傍ではフラクトン(fractone)と呼ばれる基底膜様構造があり、これが成体脳の神経幹細胞にニッチを提供していると考えられている。 | 基底膜は、上皮組織(内皮や中皮を含む)と[[wikipedia:ja: 結合組織|結合組織]]の境界、筋細胞・脂肪細胞および神経組織の周囲に見られるシート状の[[wikipedia:ja: 細胞外マトリックス|細胞外マトリックス]]である。そして組織構造維持のための機械的な足場、物質の選択的透過性を司る障壁として働くのに加え、細胞の極性形成・代謝・生存・増殖・分化・移動などとも深く関わる機能的な構造である。中枢神経では、血液-[[wikipedia:ja: 脳関門|脳関門]] (BBB: blood-brain-barrier)および血液—脳脊髄液関門(BCSFB: blood-CSF barrier)の形成とその機能にも関与している。また、脳室の近傍ではフラクトン(fractone)と呼ばれる基底膜様構造があり、これが成体脳の神経幹細胞にニッチを提供していると考えられている。 | ||
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基底膜は組織に高度に組み込まれた構造であるため生化学的な調製が難しく、その研究はなかなか進展しなかった。70年代後半になり、マウス肉腫 (Engelbreth-Holm-Swarm sarcoma) が種々の基底膜成分を含むゲル(マトリゲルmatrigel) を産生することがわかり、これによって個々の分子について研究が進展した<ref><pubmed> 15975825 </pubmed></ref>。また、マトリゲルやそれから精製されたラミニン111をもちいることにより初代培養を含む様々の神経系細胞のin vitro研究が格段に進んだ。近年、ヒト ES 細胞をマトリゲル上で培養し、ROCK 阻害剤 Y-27632 で処理することにより、中枢神経系細胞であるドーパミン作動性ニューロンへ高い効率で誘導することが可能であることが示されている<ref><pubmed> 17529971 </pubmed></ref>。 | 基底膜は組織に高度に組み込まれた構造であるため生化学的な調製が難しく、その研究はなかなか進展しなかった。70年代後半になり、マウス肉腫 (Engelbreth-Holm-Swarm sarcoma) が種々の基底膜成分を含むゲル(マトリゲルmatrigel) を産生することがわかり、これによって個々の分子について研究が進展した<ref><pubmed> 15975825 </pubmed></ref>。また、マトリゲルやそれから精製されたラミニン111をもちいることにより初代培養を含む様々の神経系細胞のin vitro研究が格段に進んだ。近年、ヒト ES 細胞をマトリゲル上で培養し、ROCK 阻害剤 Y-27632 で処理することにより、中枢神経系細胞であるドーパミン作動性ニューロンへ高い効率で誘導することが可能であることが示されている<ref><pubmed> 17529971 </pubmed></ref>。 | ||
< | == 参考文献 == | ||
<references /> | |||
(執筆者:吉川大和、門谷裕一、野水基義 担当編集委員:河西春郎) |