「有髄線維」の版間の差分

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[[Image:跳躍伝導(有髄).png|thumb|350px|'''図3.跳躍伝導'''<br>髄鞘が絶縁体の役割を果たし、活動電位の伝達が早くなる。]]  
[[Image:跳躍伝導(有髄).png|thumb|350px|'''図3.跳躍伝導'''<br>髄鞘が絶縁体の役割を果たし、活動電位の伝達が早くなる。]]  


 神経軸索の起始部で髄鞘に覆われていない部分は[[初節]](axon initial segment; AISと略される)とよばれ、電位依存性ナトリウムチャネルが高密度に集積しており、通常[[活動電位]]が最初に発火する<ref><pubmed>20631711</pubmed></ref>。AISで発現するチャネルは発達に伴い、あるいは病態時にその発現や分布が変化する<ref><pubmed>22103418</pubmed></ref>。AIS以降の軸索では、ほぼ等間隔にランヴィエ絞輪が現れる。ランヴィエ絞輪の電位依存性ナトリウムチャネルにより、活動電位は再生される。ある節に起こった脱分極は、受動的伝播によって即座に次の節に伝わり、活動電位は髄鞘化された神経軸索上を節から節へ伝わっていくので、跳躍伝導(saltatory conduction)と呼ばれる。この伝播様式は活動電位が速く伝わるうえ、興奮が軸索の細胞膜上の狭いランヴィエの絞輪に限定されるので、代謝エネルギーの節約にもなる。
 神経軸索の起始部で髄鞘に覆われていない部分は[[初節]](axon initial segment; AISと略される)とよばれ、電位依存性ナトリウムチャネルが高密度に集積しており、通常[[活動電位]]が最初に発火する<ref><pubmed>20631711</pubmed></ref>。AISで発現するチャネルは発達に伴い、あるいは病態時にその発現や分布が変化する<ref><pubmed>22103418</pubmed></ref>。AIS以降の軸索では、ほぼ等間隔にランヴィエ絞輪が現れる。AISやランヴィエ絞輪で発生した活動電位は、受動的伝播(電気緊張電位)によって次のランヴィエ絞輪に伝わる。髄鞘の絶縁性が高いために電位変化の減衰度合いは小さく押さえられる。そのため無髄軸索よりも離れた距離でも臨界脱分極を越える。またランヴィエ絞輪では電位依存性ナトリウムチャネルが集積しているため、活動電位が発生しやすい。この2つの効果によって跳躍伝導(saltatory conduction)が起こる。跳躍伝導は、活動電位の伝導速度を速く保つとともに、活動電位発生がランヴィエ絞輪に限局されるために、代謝エネルギーの節約にもなる。


== 脱髄性疾患==
== 脱髄性疾患==

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