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正常な発生における髄鞘形成がなされたのち、神経軸索から髄鞘が脱落することを脱髄という<ref><pubmed>18558866</pubmed></ref>。[[脱髄性疾患]](demyelinating disease)では、髄鞘の消失により神経伝導速度が遅くなり、さまざまな神経症状が引き起こされる。脱髄が起こる場所により症状はさまざまである。[[wikipedia:ja:運動麻痺|運動麻痺]]、[[wikipedia:ja:感覚麻痺|感覚麻痺]]、[[wikipedia:ja:視力障害|視力障害]]などが起こる。 | 正常な発生における髄鞘形成がなされたのち、神経軸索から髄鞘が脱落することを脱髄という<ref><pubmed>18558866</pubmed></ref>。[[脱髄性疾患]](demyelinating disease)では、髄鞘の消失により神経伝導速度が遅くなり、さまざまな神経症状が引き起こされる。脱髄が起こる場所により症状はさまざまである。[[wikipedia:ja:運動麻痺|運動麻痺]]、[[wikipedia:ja:感覚麻痺|感覚麻痺]]、[[wikipedia:ja:視力障害|視力障害]]などが起こる。 | ||
中枢性脱髄疾患の中では[[多発性硬化症]](Multiple sclerosis;MS)が最も多くみられる。日本での有病率は2006年では10万人あたり8 - 9人程度と推定されている。若年成人での神経障害の主な原因である。約80-90%のMS患者が二十代後半で再発-[[寛解]]型になり、寛解期には共通して、ある一定程度神経障害が一過的に回復する。発病から数年後、多くの患者が実質上機能回復はなくなり第二ステージに移り、病状は進行型になる。そして、あとの残り10-20%の患者は初めから寛解を経験することのない進行型である<ref name=ref10><pubmed>22189514</pubmed></ref>。[[カルシウムチャネル]]ブロッカーである[[Fampridine]](Fampyra)はMS治療において初めて機能回復に成功した経口投与薬であるが、転倒する、背中が痛む、[[めまい]]がする、[[不眠]]、[[疲労感]]、[[悪心]]、[[平衡障害]]が副作用を伴うことが知られている<ref><pubmed>7354839</pubmed></ref> <ref><pubmed>6631441</pubmed></ref> <ref><pubmed>3001584</pubmed></ref> <ref><pubmed>2435223</pubmed></ref>。[[wikipedia:ja:インターフェロン|インターフェロン]]β(Interferon β)と[[wikipedia:ja:グラチマラー酢酸塩|グラチマラー酢酸塩]](Glatiramer acetate)が現在もっともよく用いられている。これらの薬剤は根本治療法であるが、おもに再発-寛解型の患者に用いられている<ref name=ref10 />。 | |||
また、末梢神経系では[[ギラン・バレー症候群]](Guillain-Barré syndrome)や[[慢性炎症脱髄性疾患多発神経炎]](Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy; CIDP)、などがある。また、最近の研究により[[統合失調症]]との関連が示唆されている<ref><pubmed>18538868</pubmed></ref> <ref><pubmed>20216548</pubmed></ref>。髄鞘形成が不完全な[[髄鞘形成不全疾患]](dysmyelinating disease)とは区別される。 | また、末梢神経系では[[ギラン・バレー症候群]](Guillain-Barré syndrome)や[[慢性炎症脱髄性疾患多発神経炎]](Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy; CIDP)、などがある。また、最近の研究により[[統合失調症]]との関連が示唆されている<ref><pubmed>18538868</pubmed></ref> <ref><pubmed>20216548</pubmed></ref>。髄鞘形成が不完全な[[髄鞘形成不全疾患]](dysmyelinating disease)とは区別される。 |