53
回編集
Yukoyotsumoto (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Yukoyotsumoto (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
12行目: | 12行目: | ||
メタ認知は1970年代に広まった概念で、メタ認知という用語はFlavell (1976)<ref>''' J H Fravell '''<br>Metacognitive aspects of problem solving.<br>''Nature of intelligence. ''1976, 12;231-236</ref> において初めて用いられた。 | メタ認知は1970年代に広まった概念で、メタ認知という用語はFlavell (1976)<ref>''' J H Fravell '''<br>Metacognitive aspects of problem solving.<br>''Nature of intelligence. ''1976, 12;231-236</ref> において初めて用いられた。 | ||
'' | ''「メタ認知とは認知過程及びその関連事物(情報やデータなど)に関する自分自身の知識をさす。例えば、私がAよりもBの方が学習が困難であると気づいたとしたり、あるいはCが事実であると認める前にそれについて再確認しようと思いついたとしたら、それはメタ認知を行っているということだ。」—J. H. Flavell (1976, p. 232)'' | ||
自己の認知活動のモニタリングはメタ認知の根幹を成す。それは基本的な感覚応答から、行動目標を達成する上で複雑に組み合わされる脳内処理過程(高次認知機能)にまで及ぶ。モニタリングされた情報を意識的または無意識的に吟味することで、様々な認知活動の制御が可能となる。例えば、自分の能力と作業の難易度を照合し今後の行動に関して適切な判断を下すこと、行動目標に対して適切な課題を設定すること、状況に応じて適切な方略または道具を選ぶこと、モニタリングそのものを効率的に行うことなどである。これらの適応的な認知活動は、複雑な問題の解決にあたり、いつどのような知識に基づき行動するべきかを把握し実行する能力によって支えられている<ref name=ref1 /><ref>''' T O Nelson, L Narens '''<br>Metamemory: A theoretical framework and new findings.<br>''Academic Press. ''1990</ref><ref>''' J Dunlosky, M J Serra, J M C Baker '''<br>Handbook of applied cognition, Chapter6. <br>''Academic Press. ''2007</ref>。<br> | 自己の認知活動のモニタリングはメタ認知の根幹を成す。それは基本的な感覚応答から、行動目標を達成する上で複雑に組み合わされる脳内処理過程(高次認知機能)にまで及ぶ。モニタリングされた情報を意識的または無意識的に吟味することで、様々な認知活動の制御が可能となる。例えば、自分の能力と作業の難易度を照合し今後の行動に関して適切な判断を下すこと、行動目標に対して適切な課題を設定すること、状況に応じて適切な方略または道具を選ぶこと、モニタリングそのものを効率的に行うことなどである。これらの適応的な認知活動は、複雑な問題の解決にあたり、いつどのような知識に基づき行動するべきかを把握し実行する能力によって支えられている<ref name=ref1 /><ref>''' T O Nelson, L Narens '''<br>Metamemory: A theoretical framework and new findings.<br>''Academic Press. ''1990</ref><ref>''' J Dunlosky, M J Serra, J M C Baker '''<br>Handbook of applied cognition, Chapter6. <br>''Academic Press. ''2007</ref>。<br> | ||
39行目: | 39行目: | ||
意思決定に関するメタ認知的知識と意思決定の間には、強い関連があることが示唆されている<ref><pubmed>1744255</pubmed></ref>。また、思考活動に注意を向け意識化することは、認知能力に大きく影響する。したがって、メタ認知は、さまざまな状況において優れた意思決定を下すために必要な能力であると言える。 | 意思決定に関するメタ認知的知識と意思決定の間には、強い関連があることが示唆されている<ref><pubmed>1744255</pubmed></ref>。また、思考活動に注意を向け意識化することは、認知能力に大きく影響する。したがって、メタ認知は、さまざまな状況において優れた意思決定を下すために必要な能力であると言える。 | ||
問題解決においては自分の理解の状況をモニターすることが必要である。Metcalfeは、問題解決の場面で「なんとなくできそうな感じ」を「もう少しでわかりそうな感じ(Feeling of Warmth:FOW)」とよび、FOWで推定されるメタ認知の機構が記憶検索の過程とは独立である可能性を示した<ref>''' J Metcalfe '''<br>Premonitions of insight predict impending error. <br>''Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory and Cognition. ''1986, 12;623-634</ref>。 | |||
<br> | <br> |
回編集