26
回編集
Masashiikeda (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Masashiikeda (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
||
3行目: | 3行目: | ||
はじめに | |||
== はじめに == | |||
統合失調症は、思春期・青年期に発症し、幻覚・妄想などの陽性症状、意欲低下・感情鈍麻などの陰性症状、認知機能障害などが認められる症候群である。有病率は1%と頻度は高く、いわゆる「ありふれた疾患」の一つである。患者の多くは慢性の経過をたどり、罹患すると個人のQOL低下は著しい。加えて、社会的損失の大きい疾患にもかかわらず、その原因は未だ不明なままである。 | 統合失調症は、思春期・青年期に発症し、幻覚・妄想などの陽性症状、意欲低下・感情鈍麻などの陰性症状、認知機能障害などが認められる症候群である。有病率は1%と頻度は高く、いわゆる「ありふれた疾患」の一つである。患者の多くは慢性の経過をたどり、罹患すると個人のQOL低下は著しい。加えて、社会的損失の大きい疾患にもかかわらず、その原因は未だ不明なままである。 | ||
9行目: | 12行目: | ||
候補遺伝子関連解析からゲノムワイド関連解析へ | == | ||
候補遺伝子関連解析からゲノムワイド関連解析へ == | |||
このように、連鎖解析では困難ではないかと行き詰まりを見せる中、統合失調症関連遺伝子を同定するための方法論は、1)ヒトゲノム計画により遺伝子配列の概要が判明したこと、また3)民族ごとのhaplotype mappingを目指した国際HapMap計画が開始されたことで状況が一変する。特に、機能的な関連を想定した“候補”を疾患との関連を症例対照研究で検討する「候補遺伝子関連解析」が主流となる。候補として特に検討されてきた遺伝子は、ドパミン系、セロトニン系などの神経伝達物質に関わる遺伝子や、神経発達障害仮説に関与する遺伝子群であった(http://www.szgene.org/)。 | このように、連鎖解析では困難ではないかと行き詰まりを見せる中、統合失調症関連遺伝子を同定するための方法論は、1)ヒトゲノム計画により遺伝子配列の概要が判明したこと、また3)民族ごとのhaplotype mappingを目指した国際HapMap計画が開始されたことで状況が一変する。特に、機能的な関連を想定した“候補”を疾患との関連を症例対照研究で検討する「候補遺伝子関連解析」が主流となる。候補として特に検討されてきた遺伝子は、ドパミン系、セロトニン系などの神経伝達物質に関わる遺伝子や、神経発達障害仮説に関与する遺伝子群であった(http://www.szgene.org/)。 | ||
16行目: | 21行目: | ||
CNV(Copy Number Variation)の関与 | |||
== CNV(Copy Number Variation)の関与 == | |||
また、GWASは、copy number Variation (CNV)が統合失調症と関連することも報告している。特に、1q21.1deletion、NRXN1 deletiion、VIPR2 duplication、15q13.3 deletion、16p11.2 duplication、22q11.21 deletionなどの領域は、統合失調症患者でCNVが統計的有意に多く認められており、この領域に位置する遺伝子もまた、統合失調症候補遺伝子として有望であると言える<ref><pubmed> 21285140 </pubmed></ref>。 | また、GWASは、copy number Variation (CNV)が統合失調症と関連することも報告している。特に、1q21.1deletion、NRXN1 deletiion、VIPR2 duplication、15q13.3 deletion、16p11.2 duplication、22q11.21 deletionなどの領域は、統合失調症患者でCNVが統計的有意に多く認められており、この領域に位置する遺伝子もまた、統合失調症候補遺伝子として有望であると言える<ref><pubmed> 21285140 </pubmed></ref>。 | ||
おわりに | |||
== おわりに == | |||
今後は、Whole-genome/exome resequencingなどパーソナルゲノム解析へシフトして行くと考えられる。しかし、現在までのところ、小規模のサンプル数を用いた報告しかなされておらず、真のリスクとなる稀な変異の評価は困難なままである。 | 今後は、Whole-genome/exome resequencingなどパーソナルゲノム解析へシフトして行くと考えられる。しかし、現在までのところ、小規模のサンプル数を用いた報告しかなされておらず、真のリスクとなる稀な変異の評価は困難なままである。 |
回編集