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== 機能 == | == 機能 == | ||
フェロモン受容体に特異的なフェロモンが結合すると、[[フェロモン受容体]]が共役している[[三量体Gタンパク質]]を介し細胞内にシグナルが伝達され、鋤鼻細胞の[[脱分極]]を引き起こす。鋤鼻細胞から発せられた情報は、[[副嗅球]]を経て、[[扁桃体]]の内側部に至り、最後は[[視床下部]]に到達する神経路をたどり、ホルモンの分泌などを促しているとされる。 しかし現在までに、フェロモン受容体から始まるフェロモン認識機構についての全容は明らかとなっていない。 | |||
(編集コメント:マウスでの知見はいかがでしょうか。) | (編集コメント:マウスでの知見はいかがでしょうか。) | ||
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ヒトのフェロモン受容については、さらに未解明な部分が多い。 まずヒトにフェロモンがあるかどうかが議論の的となっている。 | ヒトのフェロモン受容については、さらに未解明な部分が多い。 まずヒトにフェロモンがあるかどうかが議論の的となっている。 | ||
1971年に[[wikipedia:ja: | 1971年に[[wikipedia:ja:寄宿舎効果|ドミトリー(寄宿舎)効果]]がヒトの[[wikipedia:ja:性フェロモン|性フェロモン]]を原因として生じているのではないかと報告されたことで、ヒトにもフェロモンがあると考えられるようになった<ref><pubmed>9515961</pubmed></ref>。ドミトリー効果は女性が同じ建物などで生活をすると月経周期が同期するという生理現象である。その発見の後、女性の被験者に対し、 ヒトの腋の下から抽出した汗を一定期間嗅がせることで被験者たちの月経周期が変化したことから、ヒトにおけるフェロモンの存在が認められるようになった。 | ||
[[wikipedia:ja:涙|涙]]にもフェロモンが含まれているだろうと言われている。マウスなどでは異性に自分の存在を知らせるフェロモンが涙にふくまれており、涙腺から涙とともに分泌させているということが分かっている。ヒトのように感情の変化で涙を流す動物は珍しく、その生理機構の詳細は解明されていない。ネガティブな感情状態の女性の涙が、男性の性的アピールを阻害することが分かっている。具体的には悲しい感情の女性の涙が、男性の自己の性的興奮具合、生理学的に分析された興奮具合、さらには[[テストステロン]]の分泌レベルのいずれも減少させることが明らかとなった。女性の涙が男性の脳に刺激を与えているようである。具体的な物質は明らかとなっていないが、これらのことより、ヒトも涙にはフェロモンが含まれており、涙を流す感情状態により分泌されるフェロモンが違うという可能性が示唆されている<ref><pubmed>21212322</pubmed></ref>。 | [[wikipedia:ja:涙|涙]]にもフェロモンが含まれているだろうと言われている。マウスなどでは異性に自分の存在を知らせるフェロモンが涙にふくまれており、涙腺から涙とともに分泌させているということが分かっている。ヒトのように感情の変化で涙を流す動物は珍しく、その生理機構の詳細は解明されていない。ネガティブな感情状態の女性の涙が、男性の性的アピールを阻害することが分かっている。具体的には悲しい感情の女性の涙が、男性の自己の性的興奮具合、生理学的に分析された興奮具合、さらには[[テストステロン]]の分泌レベルのいずれも減少させることが明らかとなった。女性の涙が男性の脳に刺激を与えているようである。具体的な物質は明らかとなっていないが、これらのことより、ヒトも涙にはフェロモンが含まれており、涙を流す感情状態により分泌されるフェロモンが違うという可能性が示唆されている<ref><pubmed>21212322</pubmed></ref>。 | ||
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[[wikipedia:ja:真核単細胞生物|真核単細胞生物]]である[[wikipedia:ja:酵母|酵母]]もフェロモン受容体を有する。酵母のフェロモンは哺乳類のオス・メスに当たる2種の[[wikipedia:ja:接合型|接合型]]があり、それぞれの酵母から産生されるフェロモンを一方が受容することで両者の接合をはじめとする作用を引き起こす。酵母のフェロモン受容体は1980年代にその存在が同定されている<ref><pubmed>2839507</pubmed></ref><ref><pubmed>3001640</pubmed></ref>。哺乳類のフェロモン受容体と同様にGタンパク質共役型受容体に属し、7回膜貫通型構造を取っている。またこれらは二量体を形成して機能していることもこれまでに明らかとなっている。 | [[wikipedia:ja:真核単細胞生物|真核単細胞生物]]である[[wikipedia:ja:酵母|酵母]]もフェロモン受容体を有する。酵母のフェロモンは哺乳類のオス・メスに当たる2種の[[wikipedia:ja:接合型|接合型]]があり、それぞれの酵母から産生されるフェロモンを一方が受容することで両者の接合をはじめとする作用を引き起こす。酵母のフェロモン受容体は1980年代にその存在が同定されている<ref><pubmed>2839507</pubmed></ref><ref><pubmed>3001640</pubmed></ref>。哺乳類のフェロモン受容体と同様にGタンパク質共役型受容体に属し、7回膜貫通型構造を取っている。またこれらは二量体を形成して機能していることもこれまでに明らかとなっている。 | ||
酵母では、対となる接合型の酵母のフェロモンを受容すると、細胞内のGタンパク質を介しMAPキナーゼ伝達を活性化させることで、下流の遺伝子発現を促しているなどそのシグナル伝達経路の詳細も現在までに明らかになっている<ref><pubmed>10725354</pubmed></ref>。 | 酵母では、対となる接合型の酵母のフェロモンを受容すると、細胞内のGタンパク質を介しMAPキナーゼ伝達を活性化させることで、下流の遺伝子発現を促しているなどそのシグナル伝達経路の詳細も現在までに明らかになっている<ref><pubmed>10725354</pubmed></ref>。 | ||
==関連項目== | |||
*[[鋤鼻器官]] | |||
*[[副嗅球]] | |||
*[[嗅覚受容体]] | |||
== 参考文献 == | == 参考文献 == |