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==治療 == | ==治療 == | ||
===薬物療法=== | ===薬物療法=== | ||
薬物療法は原因療法ではなく、対症療法である。不安全般に効果があるのは[[ベンゾジアゼピン]](BZD)系などの抗不安薬と、[[選択的セロトニン再取り込み阻害薬]]([[SSRI]])などの抗うつ薬である。これらは各々、[[GABA]]系、および[[セロトニン]]系の神経伝達を促進する薬物である。BZDは、作用発現が早いので初期短期間は使用する価値があるが、依存のリスクに注意が必要である。血中半減期の短いBZDは反跳性不眠などが生じやすく、依存のリスクがあるため、長期使用の場合は、血中半減期の長いBZDを用いる場合が多い。不安障害の基本薬は、むしろ[[選択的セロトニン再取り込み阻害薬]]([[SSRI]])である。本邦で上市されている4種類のSSRI([[フルボキサミン]]、[[パロキセチン]]、[[サートラリン]]、[[エスシタロプラム]])は、保険適用には違いはあるものの、効果には大きな違いはないことから、作用時間や副作用及び薬物相互作用の違いを考慮して処方される場合が多い。また、パニック障害の急性治療におけるプラシボに対するエフェクト・サイズはSSRIも一般の抗うつ薬も0.55で差はない<ref><pubmed> 11729014</pubmed></ref>。SSRIが[[三環系抗うつ薬]]に勝るのは副作用がやや少ないことのみである。 | |||
強迫性障害をはじめとする不安障害に、エビデンスは乏しいが、抗精神病薬が用いられる場合もある。 | 強迫性障害をはじめとする不安障害に、エビデンスは乏しいが、抗精神病薬が用いられる場合もある。 | ||
===認知行動療法=== | ===認知行動療法=== | ||
[[認知行動療法]] | [[認知行動療法]]の不安障害に対する有効性は、多くのエビデンスにより示されている。認知行動療法の効果に関する[[wikipedia:ja:メタ分析|メタ分析]]の結果によれば、最も効果量が多いのは強迫性障害で0.64-2.20、それに続き、社交不安障害で0.39-0.86、心的外傷後ストレス障害で0.28-0.96、全般性不安障害で0.05-0.97、パニック障害0.04-0.65であった<ref><pubmed> 18363421 </pubmed></ref>。多くの報告は薬物療法の併用を推奨している。 | ||
== 経過・予後 == | == 経過・予後 == | ||
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[[image:不安障害4.png|thumb|300px|'''図4.不安障害の生涯有病率と他の不安障害および気分障害との生涯併発率'''<br>社交不安障害を例にした表の読み方 社交不安障害の発症年齢は10歳前後、その生涯有病率は5.0%、何らかの不安障害の併発は55.0%、特定の恐怖症の併発は36.4%、全般性不安障害の併発は21.6%、パニック障害の併発は20.4%、大うつ病の併発は33.4%、何らかの気分障害の併発は55.0% ]] | [[image:不安障害4.png|thumb|300px|'''図4.不安障害の生涯有病率と他の不安障害および気分障害との生涯併発率'''<br>社交不安障害を例にした表の読み方 社交不安障害の発症年齢は10歳前後、その生涯有病率は5.0%、何らかの不安障害の併発は55.0%、特定の恐怖症の併発は36.4%、全般性不安障害の併発は21.6%、パニック障害の併発は20.4%、大うつ病の併発は33.4%、何らかの気分障害の併発は55.0% ]] | ||
図4には不安障害の生涯有病率を示した。発症年齢が高い障害ほど他の不安障害の併発率が高い。パニック障害は他の不安障害発症後、長い経過を経て生じてくることが多く、他の不安障害より重症で社会的障害度が高い。また、不安障害は何らかの気分障害を伴う確率が高く(42~75%)、発症が遅い不安障害ほどその併発率は高い。不安障害には気分障害が併発しやすい。多くは不安障害が気分障害に前駆する。[[大うつ]]病の4割以上が何らかの不安障害を併発(前駆)する。そのような気分障害は非定型であることが多い(貝谷、2011)<ref><pubmed></pubmed></ref>(編集コメント:文献をお願いいたします)。それ故、不安障害を論ずることなしに気分障害を論ずることはできない。 | |||
== 関連語 == | == 関連語 == |