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=== '''情動の末梢起源説''' === | === '''情動の末梢起源説''' === | ||
19世紀末、心理学者のウィリアム・ジェームズ(William James)(1894)<ref><pubmed> 8022957 </pubmed></ref> | 19世紀末、心理学者のウィリアム・ジェームズ(William James)(1894)<ref><pubmed> 8022957 </pubmed></ref>により提唱された情動理論は、カール・ランゲ(Carl Lange)(1885)の主張を包含したジェームズ-ランゲ説として包括され、今日は「情動の末梢起源説(peripheral theory of emotion)」として広く知られる。ジェームズは骨格筋と内臓の反応に、ランゲは血管循環に注目した点においてその内容は異なるが、彼らに共通するのは、刺激によって引き起こされた身体反応が脳に伝達されて主観的な情動経験(emotional experience)が成立すると主張する点にある。いずれも「悲しいから泣く」のではなく「泣くから悲しくなる」と考えるのである。 | ||
情動の末梢起源説は、情動の中枢起源説(1.2)により以下に述べる問題点が指摘され、さらには情動の二要因説(1.3)の登場によっておおよそ淘汰されたかのように見えた。しかしながら近年、顔面フィードバック説(facial feedback theory)やソマティック・マーカー(somatic marker)仮説等に見られるように、その理説が一部評価されて点で特徴的である。 | 情動の末梢起源説は、情動の中枢起源説(1.2)により以下に述べる問題点が指摘され、さらには情動の二要因説(1.3)の登場によっておおよそ淘汰されたかのように見えた。しかしながら近年、顔面フィードバック説(facial feedback theory)やソマティック・マーカー(somatic marker)仮説等に見られるように、その理説が一部評価されて点で特徴的である。 | ||
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=== '''パペッツの回路''' === | === '''パペッツの回路''' === | ||
感覚器官より入力された外界の情報は、脳において分析・統合され、情動体験へと結びつく。神経解剖学者のジェームス・パペッツ(James | 感覚器官より入力された外界の情報は、脳において分析・統合され、情動体験へと結びつく。神経解剖学者のジェームス・パペッツ(James Papez)により提唱された「パペッツの回路」は、情動に関わる仮説として古くから知られる<ref>"""Papez, J. W."""<br>A proposed mechanism of emotion.<br>Archives of Neurology and Psychiatry, 38, 725-743.1937</pubmed></ref>。ここでは、視床をはじめとして、視床下部(hypothalamus)、海馬(hippocampus)、帯状皮質(cingulate cortex)により形成される神経回路が情動を生ずると考える(Papez, 1937)。「パペッツの回路」が注目された後、げし類、霊長類に関する研究の積み重ねとともに、近年は、機能的核磁気共鳴装置(fMRI: Functional magnetic resonance imaging)や陽電子断層撮像法(PET: Positron emission tomography)等のヒトを対象とした神経イメージング法(Neuro-imaging)による成果を基に、扁桃体(amygdala)や島(insula)、腹内側前頭前野(ventro medial prefrontal cortex: VMPFC)などの脳領域と情動の関わりが注目されている。 | ||
=== <br>'''情動と扁桃体''' === | === <br>'''情動と扁桃体''' === | ||
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*ギャンブリング課題 | *ギャンブリング課題 | ||
<references/> | <references /> | ||
= '''参考文献''' = | = '''参考文献''' = |
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