「抑制性アミノ酸」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
132行目: 132行目:
===機能===
===機能===


 GABAは、[[GABAA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]]、[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]、[[GABAC受容体|GABA<sub>C</sub>受容体]]の3種の受容体に作用することによってその生理機能を発揮する。GABA<sub>A</sub>とGABA<sub>B</sub>受容体は中枢神経系に広く分布し、GABA<sub>C</sub>受容体は成熟[[wikipedia:ja:脊椎動物|脊椎動物]]ではほぼ[[網膜]]のみに限局して分布する。GABA<sub>A</sub>とGABA<sub>C</sub>受容体は[[イオンチャネル型受容体]]で、Cl-を透過させる。GABA<sub>A</sub>受容体はαサブユニット、βサブユニット、γサブユニット、δサブユニット、εサブユニットなどによって構成される五量体であるが、脳部位によってサブユニットの発現が異なっている。また、構成サブユニットの違いにより薬物に対する感受性も異なる。GABA<sub>C</sub>受容体は ρサブユニットで形成される五量体であり、GABA<sub>A</sub>受容体を抑制する[[ビククリン]]に感受性がないなど、GABA<sub>A</sub>受容体とは薬物感受性がかなり異なっている。
 GABAは、[[GABAA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]]、[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]、[[GABAC受容体|GABA<sub>C</sub>受容体]]の3種の受容体に作用することによってその生理機能を発揮する。GABA<sub>A</sub>とGABA<sub>B</sub>受容体は中枢神経系に広く分布し、GABA<sub>C</sub>受容体は成熟[[wikipedia:ja:脊椎動物|脊椎動物]]ではほぼ[[網膜]]のみに限局して分布する。GABA<sub>A</sub>とGABA<sub>C</sub>受容体は[[イオンチャネル型受容体]]で、Clイオンを主に透過させる。GABA<sub>A</sub>受容体はαサブユニット、βサブユニット、γサブユニット、δサブユニット、εサブユニットなどによって構成される五量体であるが、脳部位によってサブユニットの発現が異なっている。また、構成サブユニットの違いにより薬物に対する感受性も異なる。GABA<sub>C</sub>受容体は ρサブユニットで形成される五量体であり、GABA<sub>A</sub>受容体を抑制する[[ビククリン]]に感受性がないなど、GABA<sub>A</sub>受容体とは薬物感受性がかなり異なっている。


 GABA<sub>A</sub>およびGABA<sub>C</sub>受容体を介した抑制効果は、神経細胞内のCl-濃度により変化する。通常、成熟期の神経細胞内Cl-濃度は低く保たれており、Cl-の[[平衡電位]]は[[静止電位]]よりも[[過分極]]側にあるため、GABA<sub>A</sub>受容体およびGABA<sub>C</sub>受容体の応答は過分極性である。しかし、発達期においてGABAは[[脱分極]]作用(興奮性作用)を示すことがある。これは、細胞内からCl-を排出する役割を担うトランスポーターの機能や発現が、成熟期の神経細胞と異なるためである。
 GABA<sub>A</sub>およびGABA<sub>C</sub>受容体を介した抑制効果は、神経細胞内のCl濃度により変化する。通常、成熟期の神経細胞内Cl濃度は低く保たれており、Clの[[平衡電位]]は[[静止電位]]よりも[[過分極]]側にあるため、GABA<sub>A</sub>受容体およびGABA<sub>C</sub>受容体の応答は過分極性である。しかし、発達期においてGABAは[[脱分極]]作用(興奮性作用)を示すことがある。これは、細胞内からClを排出する役割を担うトランスポーターの機能や発現が、成熟期の神経細胞と異なるためである。


 GABA<sub>B</sub>受容体は、GABA<sub>B1</sub>およびGABA<sub>B2</sub>サブユニットからなる[[代謝型受容体]]で、GABAはGABA<sub>B1</sub>受容体に結合し、GABA<sub>B2</sub>受容体は[[Gi/oタンパク質]]を活性化する。GABA<sub>B</sub>受容体の生理機能としては、[[K+チャネル|K<sup>+</sup>チャネル]]の活性化、[[Ca2+チャネル|Ca2<sup>+</sup>チャネル]]の抑制、[[アデニル酸シクラーゼ]]の抑制などの作用がある。
 GABA<sub>B</sub>受容体は、GABA<sub>B1</sub>およびGABA<sub>B2</sub>サブユニットからなる[[代謝型受容体]]で、GABAはGABA<sub>B1</sub>受容体に結合し、GABA<sub>B2</sub>受容体は[[Gi/oタンパク質]]を活性化する。GABA<sub>B</sub>受容体の生理機能としては、[[K+チャネル|K<sup>+</sup>チャネル]]の活性化、[[Ca2+チャネル|Ca2<sup>+</sup>チャネル]]の抑制、[[アデニル酸シクラーゼ]]の抑制などの作用がある。

案内メニュー