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== Hsc70の発現と神経変性疾患 == | == Hsc70の発現と神経変性疾患 == | ||
Hsc70は神経組織において発現が高い。ALSの病変となる脊髄では比較的高いレベルのHsc70が発現しているが、ADの病変となる[[海馬]] | Hsc70は神経組織において発現が高い。ALSの病変となる脊髄では比較的高いレベルのHsc70が発現しているが、ADの病変となる[[海馬]]や[[内嗅皮質]]においては低レベルの発現が見られる。そしてPDの病変箇所である[[黒質]]においては中間の発現レベルであることが確認されており、丁度それぞれの疾患の発症頻度とよく逆相関しているため、Hsc70の神経変性疾患における神経保護作用が示唆されている<ref><pubmed> 17441507 </pubmed></ref>。 | ||
== [[wikipedia:ja:自己免疫疾患|自己免疫疾患]]とHsp70 == | == [[wikipedia:ja:自己免疫疾患|自己免疫疾患]]とHsp70 == | ||
Hsp70は[[wikipedia:ja:抗原|抗原]]に結合して[[wikipedia:ja:主要組織適合遺伝子複合体|MHCI、MHCII]]依存経路どちらにおいても[[wikipedia:ja:抗原|抗原]]性を高めると報告されている[1]。また[[多発性硬化症]](multiple sclerosis; | Hsp70は[[wikipedia:ja:抗原|抗原]]に結合して[[wikipedia:ja:主要組織適合遺伝子複合体|MHCI、MHCII]]依存経路どちらにおいても[[wikipedia:ja:抗原|抗原]]性を高めると報告されている[1]。また[[多発性硬化症]](multiple sclerosis; MS)の動物モデルである実験的[[自己免疫性脳脊髄炎]](experimental autoimmune encephalomyelitis; EAE)の誘導および進展にHsp70が関わると報告されている[1]。実際に[多発性硬化症患者の[[脳脊髄液]]からはHsp70に対する自己抗体が、運動神経疾患の患者と比較して有意に多く観察されている。そして多発性硬化症検体において、自己抗原である[[ミエリン塩基性タンパク質]](myelin basic protein; MBP)や[[Myelin proteolipid protein]](PLP)とHsp70との会合も観察されている。しかし一方でHsp70が[[wikipedia:ja:ナチュラルキラー細胞|ナチュラルキラー細胞]]に働きかけて自己免疫性脳脊髄炎の進展を抑制するとの報告もあるため、[[中枢神経系]]の[[wikipedia:ja:自己免疫疾患|自己免疫疾患]]における病因と保護両者に関わる二面性が議論されている[1]。 | ||
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<references /> | <references /> | ||
執筆者:石井宏史、山下俊英 担当編集委員:柚崎通介 | 執筆者:石井宏史、山下俊英 担当編集委員:柚崎通介 |