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プリン受容体

1,251 バイト追加, 2013年6月14日 (金) 22:20
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(P2X2 receptor、遺伝子名:P2RX2(ヒト)、P2rx2ラット、マウス))
 P2X受容体の中で最も広範に発現する受容体であり、中枢([[嗅球]]、[[大脳皮質]]、基底核、間脳、中脳、小脳、延髄および脊髄後角)および末梢神経系(感覚神経節および自律神経節)に特に高発現している[1, 36]<ref name=ref1 /> <ref name=ref36><pubmed>22547202</pubmed></ref>。一方で、P2X2受容体欠損マウスでは、低酸素に対する換気応答への関与が示されているものの[37]<ref name=ref37><pubmed>14672995</pubmed></ref>、著明な神経活動の異常は認められないため、その生理的役割には不明な点が多い。末梢では、網膜や[[蝸牛]]、味蕾などに発現が見られる[1, 38]<ref name=ref1 /> <ref name=ref38><pubmed>16322458</pubmed></ref>。蝸牛においては、蝸牛内電位の調節に関与することが分かっており、騒音による発現上昇や難聴への関与が報告されている[39, 40]<ref name=ref39><pubmed>12858039</pubmed></ref> <ref name=ref40><pubmed>23345450</pubmed></ref>。また、P2X2受容体は、P2X3受容体とヘテロ三量体(P2X2/3ヘテロマー受容体)を形成することも知られており[41]<ref name=ref41><pubmed>7566120</pubmed></ref>、痛み信号の発生や膀胱反射機能に関与している[42, 43]<ref name=ref42><pubmed>10899177</pubmed></ref> <ref name=ref43><pubmed>15961431</pubmed></ref>。最近では、[[前頭葉]]皮質のP2X2受容体を刺激することでうつ病様行動が抑制されることがマウスの実験で示されている[44]<ref name=ref44><pubmed>23644515</pubmed></ref>
====P2X3受容体====
(P2X3 receptor、遺伝子名:P2RX3(ヒト)、P2rx3ラット、マウス))
 一次求心性感覚神経の主に[[C線維]]に高発現する[45]<ref name=ref45><pubmed>7566119</pubmed></ref>。侵害刺激が加わると活動電位を引き起こし、侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛に関与する。また、P2X2/3ヘテロ受容体としても存在し、[[Aδ]]線維において機械的[[アロディニア]]の発生に関与する[42]<ref name=ref42 />。P2X3受容体欠損マウスでは疼痛[[行動の抑制]][46, 47]<ref name=ref46><pubmed>11069181</pubmed></ref> <ref name=ref47><pubmed>11069182</pubmed></ref>、さらにP2X3受容体選択的拮抗薬(A317491)による鎮痛効果が報告されている[48]<ref name=ref48><pubmed>12482951</pubmed></ref>。第3世代ビスホスホネート製剤であるミノドロン酸は、P2X2/3受容体阻害作用と鎮痛作用を示す[49]<ref name=ref49><pubmed>18565509</pubmed></ref>。生理的機能としては、蠕動反射や膀胱容量反射への関与が明らかとなっており[46]<ref name=ref46 />、過敏性腸症候群や尿路機能障害への関与も報告されている[1, 2]<ref name=ref1 /> <ref name=ref2 />
====P2X4受容体====
(P2X4 receptor、遺伝子名:P2RX4(ヒト)、P2rx4ラット、マウス))
 P2X4受容体は、他のP2X受容体より[[カルシウム]]透過性が高いことが特徴である[50]<ref name=ref50><pubmed>11171941</pubmed></ref>。また、腸管糞[[線虫]]症の駆虫薬イベルメクチンによりアロステリックにATPの作用が増強される[51]<ref name=ref51><pubmed>12270951</pubmed></ref>。P2X4受容体は、ヒトにおいて脳や脊髄、心臓、肺、肝臓、腎臓など幅広い器官に発現している[52]<ref name=ref52><pubmed>9016352</pubmed></ref>。[[ゼブラフィッシュ]]由来P2X4受容体の閉状態に相当するアポ型や開状態に相当するATP結合型のX線結晶構造も明らかとなっている[53, 54]<ref name=ref53><pubmed>19641588</pubmed></ref> <ref name=ref54><pubmed> 22535247</pubmed></ref>。細胞内での分布は、[[リソソーム]]に局在する特徴を持つが、リソソーム内腔側のP2X4受容体にある複数の糖鎖のためタンパク分解を免れている[55]<ref name=ref55><pubmed>17940064</pubmed></ref>。脊髄のミクログリア細胞のP2X4受容体が神経障害性疼痛に重要であること[56]<ref name=ref56><pubmed>12917686</pubmed></ref>や、マクロファージのP2X4受容体が炎症性疼痛に関与することが報告されている[57]<ref name=ref57><pubmed>20562826</pubmed></ref>。また、血管内皮細胞に発現するP2X4受容体は血管拡張反応や血流変化により誘導される血管のリモデリングにも関与する[58]<ref name=ref58><pubmed>16327800</pubmed></ref>。[[パロキセチン]]などの[[抗うつ薬]]がP2X4受容体に対して阻害作用を有することも認められている[59]<ref name=ref59><pubmed>19389225</pubmed></ref>
====P2X5受容体====
(P2X5 receptor、遺伝子名:P2RX5(ヒト)、P2rx5ラット、マウス))
 ニワトリおよびカエル由来のP2X5受容体はATPに応答するものの、哺乳類やゼブラフィッシュP2X5受容体は非常に小さい応答しか示さない[36]<ref name=ref36 />。また、ヒトP2X5受容体はエクソン10が欠損しているため、機能的な受容体にはならない。一方で、P2X5受容体は、ASIC3と分子複合体を形成し、pH感受性を増加させ、筋肉虚血による低pHやATPの感知に関与していることが報告されている[60]<ref name=ref60><pubmed>21092862</pubmed></ref>。神経系における役割は不明である。
====P2X6受容体====
(P2X6 receptor、遺伝子名:P2RX6(ヒト)、P2rx6ラット、マウス))
 P2X6受容体はATPに対して非常に微弱な応答しか誘発せず、ホモ三量体を形成できないという報告もある[36]<ref name=ref36 />。中枢や末梢神経系におけるP2X6受容体の発現分布がP2X2やP2X4受容体と類似していることから、P2X6はこれらのP2X受容体とヘテロ三量体受容体として機能している可能性が考えられている。しかし、P2X6受容体の機能や役割は明らかになっていない。
====P2X7受容体====
(P2X7 receptor、遺伝子名:P2RX7(ヒト)、P2rx7ラット、マウス))
 以前はP2Zとも呼ばれていた。他のP2X受容体に比べて細胞内のC末端が非常に長いのが特徴的であり、他のタンパク質と物理的に相互作用することが報告されている[61]。作動薬としてBzATP、拮抗薬としてPPADSやBBGが知れているが、最近では、多くの選択的拮抗薬(A-317491、A-438079、AZ11645373など)が開発されている[62]。P2X7受容体は、マクロファージやミクログリア、単球、肥満細胞、リンパ球および表皮ランゲルハンス細胞など主に免疫系の細胞で多く発現している[63]。P2X7受容体はサイトカイン産生やアポトーシスを制御することが知られ、[[アルツハイマー病]]やパーキンソン病、[[多発性硬化症]]、骨粗しょう症、神経障害性疼痛など様々な病態に関与する[63-66]。また、P2X7受容体をコードする遺伝子のコーディング配列内の変動が、マウスとヒトの両方で慢性疼痛の感受性に影響を及ぼすことも報告されている[67]。P2X7受容体機能は複数の研究グループにより樹立されたP2X7遺伝子欠損マウスで解析されているが、P2X7受容体機能が完全に欠失していないものもあり、表現型の解釈には注意が必要である[36]<ref name=ref36 />
(P2Y1 receptor、遺伝子名:P2RY1(ヒト)、P2ry1(ラット、マウス))
 P2Y1受容体は主にADPをリガンドとするGq/11共役型の受容体である。生体内で広範に発現し、主に上皮細胞、内皮細胞、血小板、免疫細胞や破骨細胞に発現する。P2Y1受容体欠損マウスを用いた解析から、出血時間の増加やADP誘発の血小板の凝集および血栓形成に異常が見られることから血小板の機能に重要な役割を果たしていると考えられる[68, 69]。また、中枢神経系において[[視床下部]]におけるP2Y1受容体の発現が食物摂取に関与することが示唆されている[70]。P2Y1受容体はA1受容体とヘテロ受容体を形成し[5]<ref name=ref5 />、海馬ニューロンからのグルタミン酸放出を抑制性に制御している[71]。さらに、アストロサイトに発現するP2Y1受容体の活性化により、酸化ストレスによるアストロサイトのダメージが抑制され[72]、脳虚血/再灌流時における脳障害も抑制する[73]。
====P2Y2受容体====
(P2Y6 receptor、遺伝子名:P2RY6(ヒト)、P2ry6(ラット、マウス))
 主にGq/11と共役しIP3受容体を介した細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こす[1]<ref name=ref1 />。また、心筋細胞ではG12/13を活性化する[87]。内因性リガンドはUDPであり、比較的高濃度のUTPやADPも部分的作動活性を示す。生体内では幅広い組織で発現が確認されている[1]。P2Y6受容体ノックアウトマウスでは、定常状態での著明な表現型はないものの、骨組成の変化やUDP刺激によるマクロファージからのサイトカイン産生や血管平滑筋収縮能が欠失している[88]。LPSや腫瘍壊死因子α(TNFα)刺激後の血管内皮細胞、チオグリコール酸誘導腹腔マクロファージ、脳虚血再灌流後のミクログリアで発現が増加するなど、炎症時に発現が変化する[89]。また、ミクログリアのP2Y6受容体は、死細胞の貪食応答に関与する[90]。
====P2Y11受容体====
(P2Y11 receptor、遺伝子名:P2RY11(ヒト))
 主にGq/11と共役しIP3受容体を介した細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こす。内因性リガンドの中で、ATPへの選択性が高く、UTPやUDPには応答しない。高濃度のリガンド存在時はアデニル酸シクラーゼの活性化を引き起こすという報告もある。マウス、ラットのゲノムには存在しておらずカニクイザルのP2Y11受容体はヒト受容体と70%の相同性であるがATPよりもADPによって強く活性化される。生理学的な役割はいまだ明らかにされておらず、顆粒球の分化過程、樹状細胞の成熟や移動能についての報告がある。ヒト組織での発現は脾臓、肝臓、腸管、脳、脳下垂体で報告されている<ref name=ref1 />[1, 91]。
====P2Y12受容体====

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