「音韻ループ」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/daisuke_matsuyoshi 松吉 大輔]</font><br>
''東京大学 先端科学技術研究センター''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2012年7月10日 原稿完成日:2012年7月17日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0048432 定藤 規弘](自然科学研究機構 生理学研究所 大脳皮質機能研究系)<br>
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英語名:phonological loop 独:phonologische Schleife 仏:boucle phonologique
英語名:phonological loop 独:phonologische Schleife 仏:boucle phonologique


 '''音韻ループ '''(おんいんるーぷ) とは、Baddeleyの[[ワーキングメモリー]]モデルにおける[[中央実行系]]に隷属するサブシステムの1つであり、[[言語]]・[[音韻]]情報を保持する[[記憶]]貯蔵庫である<ref name=ref1>'''A D Baddeley, G J Hitch'''<br>Working memory<br>''G A Bower (Eds) "The Psychology of Learning and Motivation: Advances in Research and Theory" Academic Press (New York)'':1974</ref>。言語の獲得に重要であると考えられている。
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 音韻ループ (おんいんるーぷ) とは、Baddeleyの[[ワーキングメモリー]]モデルにおける[[中央実行系]]に隷属するサブシステムの1つであり、[[言語]]・[[音韻]]情報を保持する[[記憶]]貯蔵庫である<ref name=ref1>'''A D Baddeley, G J Hitch'''<br>Working memory<br>''G A Bower (Eds) "The Psychology of Learning and Motivation: Advances in Research and Theory" Academic Press (New York)'':1974</ref>。言語の獲得に重要であると考えられている。
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==音韻ループの構造==
==音韻ループの構造==
 音韻ループは、他のワーキングメモリー要素に比べ、最も研究が進んでいるとされる。[[ファイル:PhonologicalLoop.jpg|300x250px|thumb|'''図.音韻ループの構造'''<br>Baddeley (1986, 2003, 2012)<ref name=ref5 /><ref name=ref2><pubmed>14523382</pubmed></ref><ref name=ref3><pubmed>21961947</pubmed></ref> を参考に作成。]]Baddeley (1986)<ref name =ref5>'''A D Baddeley'''<br>Working Memory<br>''Oxford University Press'':1986</ref> によれば、音韻ループは、音韻ループは'''[[音韻貯蔵庫]]''' (phonological store) と、'''[[構音リハーサル]]''' (arituclatory rehearsal) という大きく2つのシステムから構成されている。入力信号は音韻貯蔵庫と出力バッファとの間で構音リハーサルを繰り返しながら[[記憶痕跡]]を強め、中央実行系の指令を受けて音声として出力される。このモデルによれば、[[聴覚]]呈示された音声入力は音韻貯蔵庫へと直接入力されるのに対し、[[視覚]]呈示された文字や語は貯蔵庫には直接入らず、視覚コードから聴覚コードへの変換後に構音リハーサルされることで音韻貯蔵庫へと入力されるのだという<ref name=ref2 />。
 音韻ループは、他のワーキングメモリー要素に比べ、最も研究が進んでいるとされる。[[ファイル:PhonologicalLoop.jpg|300x250px|thumb|'''図.音韻ループの構造'''<br>Baddeley (1986, 2003, 2012)<ref name=ref5 /><ref name=ref2><pubmed>14523382</pubmed></ref><ref name=ref3><pubmed>21961947</pubmed></ref> を参考に作成。]]Baddeley (1986)<ref name =ref5>'''A D Baddeley'''<br>Working Memory<br>''Oxford University Press'':1986</ref> によれば、音韻ループは、音韻ループは[[音韻貯蔵庫]] (phonological store) と、[[構音リハーサル]] (arituclatory rehearsal) という大きく2つのシステムから構成されている。入力信号は音韻貯蔵庫と出力バッファとの間で構音リハーサルを繰り返しながら[[記憶痕跡]]を強め、中央実行系の指令を受けて音声として出力される。このモデルによれば、[[聴覚]]呈示された音声入力は音韻貯蔵庫へと直接入力されるのに対し、[[視覚]]呈示された文字や語は貯蔵庫には直接入らず、視覚コードから聴覚コードへの変換後に構音リハーサルされることで音韻貯蔵庫へと入力されるのだという<ref name=ref2 />。


 ただし、音韻ループに関する研究のほぼ全ては言語や音声に関するものであり、非言語の聴覚刺激(環境音や音楽等)がどのように音韻ループで処理されるかについては、今後の研究が待たれる<ref name=ref3 />。
 ただし、音韻ループに関する研究のほぼ全ては言語や音声に関するものであり、非言語の聴覚刺激(環境音や音楽等)がどのように音韻ループで処理されるかについては、今後の研究が待たれる<ref name=ref3 />。
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==参考文献==
==参考文献==


<references />  
<references />
 
 
(執筆者:松吉大輔 担当編集委員:定藤規弘)

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