16,039
回編集
細編集の要約なし |
編集の要約なし |
||
1行目: | 1行目: | ||
英語名: calcium 独:Calcium, Kalzium 仏:calcium | 英語名: calcium 独:Calcium, Kalzium 仏:calcium | ||
{{Infobox calcium}} | |||
カルシウムは原子番号20の金属元素。元素記号はCa。[[wikipedia:ja:周期表|周期表]]第2族[[wikipedia:ja:アルカリ土類|アルカリ土類]]元素の一種で、[[wikipedia:ja:ヒト|ヒト]]を含む動物の代表的な[[wikipedia:ja:ミネラル|ミネラル]]([[wikipedia:ja:必須元素|必須元素]])である。[[wikipedia:ja:骨|骨]]や[[wikipedia:ja:歯|歯]]の形成のみならず、[[カルシウムイオン]](Ca<sup>2+</sup>)は細胞内[[シグナル伝達]]を担う代表的な[[セカンドメッセンジャー]]の一つであり、広範な細胞機能の制御に関与している。 | |||
[[脳神経]]系においても、[[神経伝達物質]]放出、[[シナプス可塑性]]、神経[[細胞死]]のトリガーとなるものであり、また各種[[グリア細胞]]機能の制御に不可欠である。本稿では、このCa<sup>2+</sup>依存性シグナルの基本的性質について解説する。 | |||
{| width="400" border="1" cellpadding="1" cellspacing="1" style="float:right" class="wikitable" | {| width="400" border="1" cellpadding="1" cellspacing="1" style="float:right" class="wikitable" | ||
|- | |- | ||
| <div class="thumb tright" style="width:450px;"><youtube>SssUVE1d9bY</youtube></div> | | <div class="thumb tright" style="width:450px;"><youtube>SssUVE1d9bY</youtube></div> | ||
|- | |- | ||
| ''' | | '''動画 培養アストロサイトのカルシウム反応'''<br>カルシウム感受性色素であるFura-2をロードした細胞に30 µMのATPを作用させている。 | ||
|} | |} | ||
52行目: | 52行目: | ||
==== イノシトール3リン酸受容体 ==== | ==== イノシトール3リン酸受容体 ==== | ||
[[イノシトール3リン酸受容体]]は、その活性化にセカンドメッセンジャーである[[イノシトール3リン酸]]と細胞質Ca<sup>2+</sup>の両方を必要とする小胞体膜上Ca<sup>2+</sup>チャネルである。特筆すべき点は、細胞質Ca<sup>2+</sup>濃度に対して二相性の反応曲線を示すことである<ref><pubmed>2373998</pubmed></ref>。つまり低Ca<sup>2+</sup>濃度域では濃度上昇に従い開口が促進されるが、ある濃度でそれがピークアウトし、それ以上の濃度域では濃度上昇に従い開口が阻害される。 | [[イノシトール3リン酸受容体]]は、その活性化にセカンドメッセンジャーである[[イノシトール3リン酸]]と細胞質Ca<sup>2+</sup>の両方を必要とする小胞体膜上Ca<sup>2+</sup>チャネルである。特筆すべき点は、細胞質Ca<sup>2+</sup>濃度に対して二相性の反応曲線を示すことである<ref><pubmed>2373998</pubmed></ref>。つまり低Ca<sup>2+</sup>濃度域では濃度上昇に従い開口が促進されるが、ある濃度でそれがピークアウトし、それ以上の濃度域では濃度上昇に従い開口が阻害される。 グリア細胞のような電気的に非[[興奮性]]の細胞においては、主要なCa<sup>2+</sup>供給経路となる。また神経細胞においてもCa<sup>2+</sup>シグナルに関与する。 イノシトール3リン酸とCa<sup>2+</sup>の両方を必要とする性質により、二種類の入力を統合する機能を持ち得る。実際、小脳[[プルキンエ細胞]]における[[長期抑圧]]誘導時に、二種類のシナプス入力の[[同期検出]]を担っている<ref><pubmed>11100147</pubmed></ref>。<br> | ||
小胞体以外の細胞内小器官では、[[ミトコンドリア]]が細胞内カルシウムストアとして重要な役割を果たしている。また小胞体-ミトコンドリア間の密接な接合構造が知られており、ここでCa<sup>2+</sup>のやり取りが行なわれていると考えられる。詳細については [[ミトコンドリア]] の項を参照のこと。 | 小胞体以外の細胞内小器官では、[[ミトコンドリア]]が細胞内カルシウムストアとして重要な役割を果たしている。また小胞体-ミトコンドリア間の密接な接合構造が知られており、ここでCa<sup>2+</sup>のやり取りが行なわれていると考えられる。詳細については [[ミトコンドリア]] の項を参照のこと。 |