「Hodgkin-Huxley方程式」の版間の差分

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== Two-state model: 基礎的な考え方*  ==
== Two-state model: 基礎的な考え方*  ==


状態が2つの系(例えばOpenとClosed)で、他の状態に移る率が一定の場合、次の性質がある。<br>  
OpenとClosedの2つの状態がある系で、他の状態に移る率が一定の場合、次の性質がある。<br>  


*指数関数的に変化する  
*指数関数的に変化する  
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2つの状態1と2をとる事の出来る系を考え、それぞれの状態にある確率を''p''<sub>1</sub>と''p''<sub>2</sub>とする。''p''<sub>1</sub>と''p''<sub>2</sub>は時刻''t''の関数であり、''p''<sub>1</sub>(''t'')と''p''2(''t'')と表わすとする。''p''<sub>1</sub>(''t'')と''p''<sub>2</sub>(''t'')は確率であるから、
OpenとClosedの2つの状態がある系を考え、Openの状態にある確率を''p''とする。Closedの状態にある確立は,
1-''p''となる。''p''は時刻''t''の関数であり、''p''(''t'')とと表わすとする。


::<math>p1(t) + p2(t) = 1\, </math>
いま状態Closedから状態Openへ移っていく単位時間での割合(遷移率)をαとし、状態Openから状態Closedへの遷移率をβとする。 ''p''(''t'')の時間的経過を表わす微分方程式は、


<br> の関係が常に成り立つ。いま状態1から状態2へ移っていく単位時間での割合(遷移率)をαとし、状態2から状態1への遷移率をβとする。 ''p''<sub>1</sub>(''t'')と''p''<sub>2</sub>(''t'')の時間的経過を表わす微分方程式は、
::<math> \frac{dp(t)}{dt} = \alpha (1-p(t)) - \beta p(t)\, </math>
 
::<math> \frac{dp_1(t)}{dt} = -\alpha p_1(t) + \beta p_2(t)</math>
::<math> \frac{dp_2(t)}{dt} = \alpha p_1(t) - \beta p_2(t)</math>


と表される。αとβが定数であるとして、定常状態になれば、  
と表される。αとβが定数であるとして、定常状態になれば、  


::<math> \frac{dp_1(\infty)}{dt} = -\alpha p_1(\infty) + \beta p_2(\infty) = 0\, </math>
::<math> \frac{dp(\infty)}{dt} = \alpha (1-p(\infty)) - \beta p(\infty) = 0\, </math>
::<math> \frac{dp_2(\infty)}{dt} = \alpha p_1(\infty) - \beta p_2(\infty) = 0\, </math>
 
ここで、
 
::<math>p_1(\infty) + p_2(\infty) = 1\, </math>


であるから、  
であるから、  


::<math>p_1(\infty) = \frac{\beta}{\alpha+\beta}\, </math>
::<math>p(\infty) = \frac{\alpha}{\alpha+\beta}\, </math>
::<math>p_2(\infty) = \frac{\alpha}{\alpha+\beta}\, </math>


となる。また微分方程式は解析的に解けて、  
となる。また微分方程式は解析的に解けて、  


::<math>p_1(t) = \left(p_1(0)-\frac{\beta}{\alpha+\beta}\right) e^{-(\alpha+\beta)t} + \frac{\beta}{\alpha+\beta}\, </math>
::<math>p(t) = \left(p(0)-\frac{\alpha}{\alpha+\beta}\right) e^{-(\alpha+\beta)t} + \frac{\alpha}{\alpha+\beta}\, </math>
::<math>p_2(t) = \left(p_2(0)-\frac{\alpha}{\alpha+\beta}\right) e^{-(\alpha+\beta)t} + \frac{\alpha}{\alpha+\beta}\, </math>


となる。 これらの式は次のことを示している。  
となる。 これらの式は次のことを示している。  


*''p''<sub>1</sub>(''t'')と''p''<sub>2</sub>(''t'')はそれぞれ指数関数的に''p''<sub>1</sub>(∞)と''p''<sub>2</sub>(∞)に近づいていく  
*''p''(''t'')はそれぞれ指数関数的に''p''(∞)に近づいていく  
*その時定数(time constant)τは1/(α+β)である  
*その時定数(time constant)τは1/(α+β)である  
*これらの値''p''<sub>1</sub>(∞)、''p''<sub>2</sub>(∞)、τは、初期値''p''<sub>1</sub>(0)、''p''<sub>2</sub>(0)に依存しない。
*これらの値''p''、τは、初期値''p''(0)に依存しない。


さらに、  
さらに、  


::<math>q_1(t) = p_1(t) - \frac{\beta}{\alpha+\beta}\, </math>
::<math>q(t) = p(t) - \frac{\alpha}{\alpha+\beta}\,  </math>
::<math>q_2(t) = p_2(t) - \frac{\alpha}{\alpha+\beta}\,  </math>


と表すとすると、  
と表すとすると、  


::<math> q_1(t) = q_1(0)e^{-(\alpha + \beta)}\, </math>
::<math> q(t) = q(0)e^{-(\alpha + \beta)}\, </math>
::<math> q_2(t) = q_2(0)e^{-(\alpha + \beta)}\, </math>


とより単純な形式となる。この関係は微分方程式の数値計算でよく用いられる。  
とより単純な形式となる。この関係は微分方程式の数値計算でよく用いられる。  
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