16,054
回編集
細 (→妄想の内容) |
細 (→自我障害) |
||
117行目: | 117行目: | ||
==自我障害== | ==自我障害== | ||
狭義の、すなわち統合失調症性の自我障害は、種々の心的行為が他の力によって「させられる」と感じる自己能動感の障害であり、すべて1級症状である。[[被影響体験]] (passivity experiences)、[[させられ体験]] (“made” experiences)とも呼ばれる。これらの[[自我障害]]は、ICD-10では妄想に含められ、DSM-5では「奇異な妄想」(その人の文化が物理的にありえないと見なす現象に関するもの)に含められる。自我障害は考想に関するもの、身体感覚に関するもの、その他のものに大別される。 | |||
===考想被影響体験=== | ===考想被影響体験=== | ||
思考に関する自我障害は[[考想被支配妄想]] (delusions of control of thought)とも呼ばれ、以下のものがある。 | |||
:;[[考想奪取]] (thought withdrawal) | |||
thought withdrawal | :自己の思考内容が他者に奪取されるという体験であり、「誰かに私の考えをとられる」などと訴えられる。 | ||
:;[[考想吹入]] (thought insertion) | |||
:他者の思考内容を保有させられるという体験であり、「誰かの考えを入れられる」などと訴えられる。考想奪取と逆方向の体験である。 | |||
:;[[考想伝播]] (thought broadcast) | |||
thought insertion | :自己の思考内容が媒介手段によらずに他者に感知されるという体験であり、「自分の頭の中が皆に知られている」などと訴えられる。媒介手段によらないとは、幻声(たとえば考想化声)、妄想知覚(たとえば他者の言動にそうした意味が付与される)、関係妄想(たとえば「テレビで自分のことが放送されている」)など他の症状に基づくものではないことである。なお、考想察知 thoughts being readは広く「人に考えを読まれている」という体験をさす用語であり、考想伝播のほか上記の媒介手段によるものも含まれる。 | ||
:;[[考想転移]] (thought transference) | |||
:他者の思考内容が媒介手段によらずに自己に感知されるものであり、「人が考えていることが分かる」などと訴えられる。考想伝播と逆方向の体験である。 | |||
thought broadcast | |||
thought transference | |||
===身体的被影響体験=== | ===身体的被影響体験=== | ||
146行目: | 137行目: | ||
===その他のさせられ体験・被影響体験=== | ===その他のさせられ体験・被影響体験=== | ||
[[意志]]、[[行動]]、[[感情]]、[[欲動]]も他者によってさせられたものと感じられることがある。単に「操られる」と訴えられることもあれば、外部からコントロールされる感じを電波やインターネットなどによって説明する被支配妄想delusion of controlが発展することもある。 | |||
==DSM-5における妄想の分類=== | ==DSM-5における妄想の分類=== |