「カテニン」の版間の差分

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====α–カテニン====
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 (コメントH4:α-カテニンと悪性腫瘍についての情報を補足いたします。)
 (コメントH4:α-カテニンと悪性腫瘍についての情報を補足いたします。)
肺や卵巣、前立腺におけるがん細胞では、&alpha;-カテニン遺伝子の変異が見つかっている。また、皮膚由来の扁平上皮組織の悪性腫瘍の患者の半数以上(40検体のうち33検体)では&alpha;-カテニンに対する抗体染色が減少もしくは消失することが報告されている。後に挙げる&beta;-カテニン遺伝子の変異でも悪性腫瘍との関連は示唆されており、&beta;-カテニンのターンオーバーの調節の乱れががん化を引き起こすという捉え方がある。それは、大腸がんの細胞で、&beta;-カテニンのターンオーバーに関わるAPC遺伝子の変異が見られ、&beta;-カテニンの分解経路の阻害の指標となるβ-カテニンの核内局在の増加が観察されていることがそのような捉え方を支持する根拠となっているが、先に挙げた&alpha;-カテニンの細胞内量の減少が見られたほとんどのがん細胞ではそのような&beta;-カテニンの核内局在の増加は見られないため、&beta;-カテニンのターンオーバーの調節とは別の要因でがん化が起こっているという示唆もある<ref name=ref49><pubmed> 17084354 </pubmed></ref>。
肺や卵巣、前立腺におけるがん細胞では、&alpha;-カテニン遺伝子の変異が見つかっている。また、皮膚由来の扁平上皮組織の悪性腫瘍の患者の半数以上(40検体のうち33検体)では&alpha;-カテニンに対する抗体染色が減少もしくは消失することが報告されている。後に挙げる&beta;-カテニン遺伝子の変異でも悪性腫瘍との関連は示唆されており、&beta;-カテニンの分解の制御の乱れががん化を引き起こすという捉え方がある。それは、大腸がんの細胞で、&beta;-カテニンの分解に関わるAPC遺伝子の変異が見られ、&beta;-カテニンの分解経路の阻害と相関がみられるβ-カテニンの核内局在の増加が観察されていることがそのような捉え方を支持する根拠となっているが、先に挙げた複数のがん組織でみられた&alpha;-カテニンの免疫染色の減少・消失が見られたほとんどのがん細胞では&beta;-カテニンの核内局在の増加は見られないため、&alpha;-カテニンは、&beta;-カテニンの分解の制御とは独立してがん化抑制に寄与しているという解釈がなされる<ref name=ref49><pubmed> 17084354 </pubmed></ref>。


 第5染色体の欠損をもつ骨髄白血病患者からの細胞HL–60の解析から、&alpha;E–カテニン遺伝子座の[[メチル化]]と[[ヒストン脱アセチル化]]により、その発現が抑制されないままになることがみられている。この&alpha;E–カテニンの発現が維持されたままの細胞では、細胞増殖の低下やアポトーシスによる細胞死が見られている。また、[[wikipedia:ja:アフリカ系アメリカ人|アフリカ系アメリカ人]]の[[wikipedia:ja:乳がん|乳がん]]患者においても&alpha;E–カテニン遺伝子の中に変異が見つかっている。 
 第5染色体の欠損をもつ骨髄白血病患者からの細胞HL–60の解析から、&alpha;E–カテニン遺伝子座の[[メチル化]]と[[ヒストン脱アセチル化]]により、その発現が抑制されないままになることがみられている。この&alpha;E–カテニンの発現が維持されたままの細胞では、細胞増殖の低下やアポトーシスによる細胞死が見られている。また、[[wikipedia:ja:アフリカ系アメリカ人|アフリカ系アメリカ人]]の[[wikipedia:ja:乳がん|乳がん]]患者においても&alpha;E–カテニン遺伝子の中に変異が見つかっている。 
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