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(編集コメント:現在用いられていない診断基準はイントロに歴史的背景としてまとめて頂き、現在の診断基準を別に御記述ください) | (編集コメント:現在用いられていない診断基準はイントロに歴史的背景としてまとめて頂き、現在の診断基準を別に御記述ください) | ||
== | ==診断== | ||
DSM-5では、カタトニアは以下の12の症状項目のうち、3つ以上により特徴づけられる。 | |||
1 昏迷 | |||
2 カタレプシー | |||
3 蝋屈症 | |||
4 無言症 | |||
5 拒絶症 | |||
6 姿勢保持 | |||
7 衒奇症 | |||
8 常同症 | |||
9 外的刺激に影響されない焦燥 | |||
10 しかめ面 | |||
11 反響言語 | |||
12 反響動作<BR> | |||
カタトニアは、統合失調症、その他の精神病性障害、双極性障害、うつ病、発達障害などの精神疾患に伴って見られる。 | |||
これらに伴ってカタトニアが見られた場合、例えば「統合失調症に伴うカタトニア」と診断する。 | |||
==鑑別診断== | |||
脳腫瘍、頭部外傷、脳血管障害、脳炎等の脳疾患、高カルシウム血症、肝性脳症、ホモシステイン尿症、糖尿病性ケトアシドーシス等の内科疾患でもカタトニアを示すことがある。 | |||
こうした場合は、例えば「脳炎によるカタトニア」と診断する。<BR> | |||
また、抗精神病薬による悪性症候群でもカタトニア類似の状態を示すことがあり、注意が必要である。 | |||
==治療== | |||
抗精神病薬は避けるべきとされており、電気けいれん療法が有効とされている。また、ベンゾジアゼピンも有効とされている。 | |||
==病態生理== | |||
カタトニアの神経生物学的要因については、研究が少ない。 | |||
== カタトニア概念の歴史的変遷 == | == カタトニア概念の歴史的変遷 == | ||
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筆者は、カタトニアを基底疾患やその表現型に応じて多種多様な呼称で分裂させるよりも、様々な原因からなる一症候群として統一的に認識してゆくとするフィンクらの態度は慧眼であると考える。その理由は、カタトニアは統合失調症であるという従来の考えから離れて、治療選択肢が広がることにある。以前から幻覚[[妄想]]状態を神経遮断薬で治療しているとカタトニア症状がおこってくることがあり、これを緊張型統合失調症とするか神経遮断薬の副作用とするか気分障害によるカタトニア症状とするか、治療手段として神経遮断薬を増やしても状態は悪化し時に発熱や著しい自律神経症状を生じることがあるし、神経遮断薬を中止し抗パーキンソン薬を投与しても改善はみられないことをcatatonic dilemmaといいこの場合電気けいれん療法が有効であると報告がなされている<ref name=ref5><pubmed>6747176</pubmed></ref>。このような状況で、この症状についてカタトニア症候群として認識する視点があればジレンマに陥ることなく電気けいれん療法という治療選択肢をとることができると考える。しかし、ここで今度はカタトニア症候群では抗精神病薬投与は禁忌であり電気けいれん療法を選択しなければならぬという極端な単純化が起こると臨床における治療選択の硬直化がおこる。フィンクらも抗精神病薬の投与に懐疑的で電気けいれん療法の効用を強調してはいるが、これはカタトニアは統合失調症であるという従来の考えではなく躁うつ病に関係することを多少極端に述べる必要があったからのことだろう。フィンクらの本意はむしろ、カタトニア症候群を認識し、全身状態に注意を払いながら、原因(基底疾患)を考慮し(特に身体因)、状態に即応してカタトニアへの治療アプローチをとるか原因(基底疾患)への治療アプローチをとるという柔軟な態度が要請されるところにあるのではないだろうか。その際の心得として、抗精神病薬は使用することがあっても、深追いはせず電気けいれん療法を選択するということではないかと考える。このように病因と表現形態であるカタトニア症候群との“中間に立つ態度”ともいえる複眼的な治療アプローチを駆使することがカタトニアの臨床では大切である。 | 筆者は、カタトニアを基底疾患やその表現型に応じて多種多様な呼称で分裂させるよりも、様々な原因からなる一症候群として統一的に認識してゆくとするフィンクらの態度は慧眼であると考える。その理由は、カタトニアは統合失調症であるという従来の考えから離れて、治療選択肢が広がることにある。以前から幻覚[[妄想]]状態を神経遮断薬で治療しているとカタトニア症状がおこってくることがあり、これを緊張型統合失調症とするか神経遮断薬の副作用とするか気分障害によるカタトニア症状とするか、治療手段として神経遮断薬を増やしても状態は悪化し時に発熱や著しい自律神経症状を生じることがあるし、神経遮断薬を中止し抗パーキンソン薬を投与しても改善はみられないことをcatatonic dilemmaといいこの場合電気けいれん療法が有効であると報告がなされている<ref name=ref5><pubmed>6747176</pubmed></ref>。このような状況で、この症状についてカタトニア症候群として認識する視点があればジレンマに陥ることなく電気けいれん療法という治療選択肢をとることができると考える。しかし、ここで今度はカタトニア症候群では抗精神病薬投与は禁忌であり電気けいれん療法を選択しなければならぬという極端な単純化が起こると臨床における治療選択の硬直化がおこる。フィンクらも抗精神病薬の投与に懐疑的で電気けいれん療法の効用を強調してはいるが、これはカタトニアは統合失調症であるという従来の考えではなく躁うつ病に関係することを多少極端に述べる必要があったからのことだろう。フィンクらの本意はむしろ、カタトニア症候群を認識し、全身状態に注意を払いながら、原因(基底疾患)を考慮し(特に身体因)、状態に即応してカタトニアへの治療アプローチをとるか原因(基底疾患)への治療アプローチをとるという柔軟な態度が要請されるところにあるのではないだろうか。その際の心得として、抗精神病薬は使用することがあっても、深追いはせず電気けいれん療法を選択するということではないかと考える。このように病因と表現形態であるカタトニア症候群との“中間に立つ態度”ともいえる複眼的な治療アプローチを駆使することがカタトニアの臨床では大切である。 | ||
==疫学== | ==疫学== |